治験参加も自分の「意思」で。 医師任せではなく、病気についてきちんと学ぶことが大切

IBDの治験体験談2022/7/13 更新

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電話をする男性

※写真はイメージです

再燃と寛解の繰り返し…それでも「完治する日」を信じて

最初に症状が出たのは19歳の頃でした。腹痛、下痢、下血が始まり、トイレの回数も30回以上になってきたため、近隣の病院を受診しました。そこではバリウム検査をしただけで内視鏡検査はしなかったため病名はわかりませんでしたが、不思議なことに、それ以降症状はピタッと治まり、2~3年は治療もせず元気に過ごしていました。その後、就職して一人暮らしを始めてからも、数年おきに同じようなことが起こりましたが、放っておけば自然と治っていました。

しかし24歳の頃に、それまでとは桁外れの激しい症状が起こり、仕事もできないような状態になりました。その時、知り合いの看護師さんから「潰瘍性大腸炎なのではないか」と言われ、大きい病院で内視鏡検査を受けたところ、すぐに潰瘍性大腸炎と診断されました。絶食してステロイド治療を行い、2か月程で退院しました。その後は5-ASA製剤とステロイド治療を続け、やがて寛解。また5年くらい治療もせずに過ごし、28歳頃に再燃しました。

再燃時の腹痛はいつもと違うので、「これはマズイ」とわかるんです。今思えば、異変を感じたらすぐに受診し、1週間くらい入院して、きちんと休めばよかったんでしょうね。でも、「何日かすれば良くなるはず」と自分に言い訳をして、病院に行くのを先延ばしにしてしまっていました。30歳を過ぎた頃には、少量のステロイドでは効かず、救急車で運ばれたこともありました。昔のように寛解することもなくなり、劇症というより慢性化してしまった感じでしたね。

医師から手術の話もされましたが拒否していました。知り合いの研究者から、「あと数年したら、潰瘍性大腸炎の新薬がたくさん出てくる」と教えてもらっていたんです。そのため、「必ず完治する日が来る」と信じ、手術はせずに頑張ると決めていました。

つらかった症状が2週間も経たずに改善。治療選択肢がない人はチャレンジしてみては

そんな中、たまたま主治医のいない日に、IBD専門医で治験の責任者でもある医師に診てもらう機会がありました。その先生から「治験に参加してみるのもいいと思う。その前にまず、今飲んでいる薬を増量してみよう」というアドバイスをいただき、しばらく薬を増やして様子を見ましたが改善しなかったため、再度治験について相談しました。不安もありましたが、飲み薬の治験と聞いて「働きながら続けられる!」と思い、参加を決意しました。プラセボに当たっても、しばらくしたら実薬に切り替えられるというのも安心につながりました。

治験開始当初はプラセボに当たったのか、全く効果が感じられませんでした。でも、約半年後の、全部実薬の試験となったタイミングからは、それまでの症状が2週間も経たないうちに治まりました。試験中毎日行うことになっていた電子日誌の記録も、音声ダイヤルにかけて回答するだけだったので楽でした。また、治験コーディネーターには、気軽に体調の相談などができましたし、必要があれば主治医の先生に確認してくれました。治験参加中は、治療費がかからないという点もありがたかったですね。

大変だったのは急性腎炎になったことです。何とか大丈夫でしたが、「2週間以上入院したら治験は続けられない」と言われました。また、定期的に検便を提出しなければならなかったのですが、量が多く、しかも24時間以内のものを提出という決まりがありました。僕の場合は病院が会社に近かったので問題ありませんでしたが、遠方だったら続けられなかったかもしれません。あとは、治験参加中に風邪などで近くの病院を受診した際、「治験参加カード」を見せると怖がってしまって薬を出してもらえないということが一度ありました。しかし、これらを差し引いても、僕は治験に参加して良かったと思っています。特に、今の治療が効かず、もう治療選択肢がないという人はチャレンジしてみる価値があると思います。

全てを医師任せにするのではなく、病気について調べ「意思」を伝えていくことが大切

難病である限り、その病気と何十年も付き合っていかなければなりません。ですから、全てを医師任せにするのではなく、自分の病気についてきちんと調べ、希望や意思を伝えていくことが大切だと思います。

そして頑張り過ぎている人がたくさんいるので、「セカンドオピニオンを受けてみる」「病院の近くに引っ越す」など、できる範囲で「自分が楽になる方法」を試してみるのをお勧めします!

※試験により実薬とプラセボの使用有無や通院間隔、施設によって負担軽減費が変わります。

治験参加者のプロフィール

ウメダさん

年齢
46歳
性別
男性
病歴
潰瘍性大腸炎歴27年

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