【IBD食事のキホン】NGフードについてちゃんと知りたい!
ライフ・はたらく | 2023/5/2 更新
みなさんから「IBDの食事についてもっと学びたい」という声がたくさん寄せられています。そこで「IBDレシピ」でおなじみ、栄養士のIzumi Ohbaさんに、食事や栄養に関するさまざまなギモンにお答えいただきました。今回は、IBDの食事に関する基礎知識と、NGフードについてお伝えします。
ポイントまとめ
- ファーストフードやスナック菓子など「質の悪い油」に注意
- 食べるとゴワっとするものは控え目に
- 赤ちゃんのうんちにそのまま出てくるものは残渣が多い
- 大腸内視鏡検査前の注意書きにある「食べてはいけないもの」は普段から控える
Q:IBD患者さん全員が知っておくべき「食べ方」のキホンは?
脂質は寛解期でも栄養成分表示を見ることを心がけ、1日30~40g以内にしていただくのが良いでしょう。食物繊維は一般的に1日20g程度とされていますが、普通に食べても15g程度しかいかないと思うので、そこまで神経質になる必要はありません。ご飯は柔らかめに炊くことを心がけていただくと良いと思います。
食べることを控えてしまうと「低栄養」状態に陥りやすくなります。IBD患者さんでは、食事を制限し過ぎて「低栄養」になってしまう人がしばしば見られます。栄養が足りないと、炎症などの回復力も落ちてしまいます。特に、潰瘍性大腸炎で寛解状態の人は刺激物を除き、そこまで神経質になる必要はないと考えます。
また、IBDとは少し別の視点で注意していただきたいのは「糖質」の取り過ぎです。肉などの脂質を控えたり、野菜などの食物繊維を控えようとすると、どうしてもおにぎりやうどんなど「糖質寄りの食事」になってしまいますよね。糖質寄りの食事は、腸には安心でも「血糖値が上がりやすい体質」になってしまうリスクがあるので、できるだけバランス良く食べるようにしましょう。
Q:脂質と食物繊維に関する注意点、NGフードは?
病状に関わらず気を付けた方がいいのは「質の悪い油を使っている高脂質の食べ物」 ですね。「ファーストフードのフライドポテト」とか「スナック菓子」など、これらは少量でも注意が必要だと思います。
食物繊維に関して、「この食べ物は食物繊維が多いからNG、少ないからOK」という考え方をしている方は注意が必要です。おなかに優しいとされる水溶性食物繊維が多く含まれるリンゴでも、水溶性食物繊維の「ペクチン」と、不溶性食物繊維の「セルロース」が含まれています。反対に、不溶性食物繊維のかたまりと言われるゴボウにも、水溶性食物繊維が含まれています。つまり、食べ物は水溶性と不溶性に分けられるものではないのです。あえて言うなら「含まれている割合が違う」ということですね。
ですから、ご自身で「これを食べたらおなかの中でゴワっとしそう。おなかの中で残りそう」と思うようなものを取り除いてもらうのが良いと、個人的には思っています。例えばブドウであれば、中の果実は水溶性食物繊維が多いですが、皮は不溶性食物繊維が多いです。今は皮ごと食べられるブドウがありますよね。あのようなものは不溶性食物繊維を多く取ることになるので注意が必要です。また、本によっては柿がNGフードに入っていたりしますが、品種によって食感が異なりますし、また、未熟、完熟でも食感が異なります。また、熟すと水溶性食物繊維が増えて、渋み成分のタンニンは減少します。柿と一括りにせずに考えていただければと思います。
子育てをされた方は、赤ちゃんの離乳食をイメージしてみてください。ほうれん草の葉がそのままうんちに出てきたという経験があるかと思います。そういったものは消化されにくい、つまり残渣が多いと考えて良いと思います。
また、みなさん大腸内視鏡検査を受けていると思いますが、その際に配られる注意書きに「数日前から食べてはいけないもの」が書かれていると思います。それらの食べ物を普段から控え目にしていただくと、低残渣になると思います。
※患者さん個々人の状況によって食べられるもの・食べられないものが大きく異なるため、記事の内容が全員に該当するわけではありません。医師や栄養士など、専門家によく相談しましょう。
(IBDプラス編集部)
監修者プロフィール
管理栄養士
Izumi Ohba
病院栄養士、調理師養成専門学校教員などを経て、現在は介護福祉施設栄養士。家族がIBD患者。得意分野は嚥下調整食。簡単で、すぐできて、おいしいレシピ作りを心がけています。彩り豊かで楽しいお食事を!!IBDプラスからのお知らせ
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