リンヴォック(一般名:ウパダシチニブ水和物)
潰瘍性大腸炎の治療で使用する主なお薬一覧 | 2022/12/15
リンヴォックは、1日1回服用する錠剤のお薬です。一般的に潰瘍性大腸炎では、まず5-ASA製剤とよばれるサラゾピリンやペンタサ、アサコール、リアルダ(いずれも製品名)などの飲み薬で治療を開始し、効果が不十分であればステロイド治療、免疫抑制剤や生物学的製剤など、経過に応じてより強い治療が選択されます。リンヴォックは、これらのお薬を使用しても十分な効果が得られない、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の方が寛解導入及び維持療法のために服用するお薬です。
監修者:薬剤師 谷本かおり
効能・効果
このお薬は、ヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素を阻害することにより、炎症や痛みの発現に関わっている複数の物質の働きを抑え、下痢や血便などの潰瘍性大腸炎の症状を改善します。
リンヴォックの特徴
潰瘍性大腸炎は、炎症による症状がある「活動期」と、治療により症状がおさまっている「寛解期」を繰り返す病気です。活動期には適切な治療によって早期に寛解を目指し、その後はできるだけ長く寛解を維持することが大切です。潰瘍性大腸炎のお薬は、活動期に寛解を導くためと寛解を維持するための、2通りの目的で使われます。
使用上の注意
- 以前に薬や食べ物で、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある方は医師や薬剤師に伝えてください。
- 妊娠中、授乳中、または妊娠している可能性のある方は医師や薬剤師に伝えてください。
- 腎機能障害、肝機能障害がある方は、医師や薬剤師に伝えてください。
- この薬を服用している間は感染症にかかりやすく、感染症が悪化するおそれがあり注意が必要です。
- この薬を服用している期間は、生ワクチン接種を受けられません。
併用禁忌・併用注意
併用するとリンヴォックの作用が強く出る可能性のあるお薬(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)や、リンヴォックの作用が弱くなる可能性のあるお薬(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン等)があります。服用中の薬があれば、市販薬も含め医師や薬剤師に伝えてください。
用法・用量
通常、導入療法では、成人は45mgを1日1回8週間服用します。なお、効果不十分な場合はさらに8週間服用することがあります。維持療法では、成人は15mgを、1日1回服用します。状態に応じて30mgを1日1回服用することもあります。必ず医師に指示された服用方法を守り、医師の指示なしに飲むのを止めないでください。飲み忘れに気付いた場合には、気付いたときに1回分を飲んでください。ただし、次の飲む時間が近い場合は1回飛ばして、次の時間に1回分飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
副作用
比較的起きやすいのは頭痛や発熱、のどの痛み等の風邪のような症状、発疹などです。このような症状に気づいたら、医師や薬剤師に相談してください。 まれに下記のような症状があらわれることがあり、これは[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。このような症状に気づいたら、すぐに担当の医師または薬剤師に相談してください。
- 発熱、寒気、痛みを伴う小水疱が帯状に生じる発疹 [感染症]
- 吐き気、嘔吐、激しい腹痛 [消化管穿孔]
- 突然の高熱、のどの痛み、めまい、体がだるい [好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少]
- 倦怠感、吐き気、食欲不振[肝機能障害]
- 咳、息苦しさ、発熱 [間質性肺炎]
- 発熱、皮膚が青紫~暗紫色になる、下肢や胸の痛み [静脈血栓塞栓症]
- 呼吸困難、蕁麻疹、目や口唇周囲の腫れ、意識障害 [重篤な過敏症]
コラム
服薬治療中、“発熱”は手軽に自分で知ることのできる、体調変化のバロメーターです。医学的には、37.5度以上が“発熱”とされています。しかし、平熱が36度より低い方にとっては、37度でもだるさや熱っぽさが感じられることがあり、“37.5度未満は発熱ではない”とは言えません。37.5度に届かなくても、平熱より1度以上高い状態が続いている、だるさや熱っぽさ、頭痛などの他の症状がある場合は、医師に伝えるようにしてください。また、夜に微熱が出て朝には下がるというような繰り返しの発熱が見られる場合も、「いつもそのうち下がるから大丈夫」と自己判断せず、医師に相談してください。
IBDプラスからのお知らせ
治療の選択肢が広がる「治験」に参加してみませんか?IBD治験情報サービスへの無料登録はこちら会員限定の情報が手に入る、IBDプラスの会員になりませんか?
IBDプラス会員になるとこんな特典があります!
- 1. 最新のニュースやお得な情報が届く
- 2. 会員限定記事が読める
- 3. アンケート結果ダウンロード版がもらえる