コレチメント(一般名:ブデソニド)
潰瘍性大腸炎の治療で使用する主なお薬一覧 | 2023/9/25
潰瘍性大腸炎は大腸粘膜で原因不明の炎症が起こる疾患で、強い腹痛や血便などの症状が出る活動期と、病気の症状がおさまる寛解を繰り返します。治療は、症状を抑えて寛解を維持し生活の質を改善、合併症を抑えることなどが目標となります。近年、症状を抑制するための新しいお薬がいくつも開発され、治療選択肢が増えています。潰瘍性大腸炎の活動期薬物療法において、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)は重要なお薬の一種で、コレチメントもこれに分類されます。
監修者:薬剤師 谷本かおり
効能・効果
重症を除く活動期潰瘍性大腸炎の症状を抑える目的で使用します。ブデソニドは、合成された副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)で、炎症を抑える効果があります。コレチメントは有効成分のブデソニドを、患部である大腸で持続的に放出するよう設計されており、大腸粘膜の炎症を抑制します。
コレチメントの特徴
ステロイドは体内に吸収されるとさまざまな副作用が現れることがありますが、ブデソニドは消化管から体内に吸収される際に活性の弱い物質に代謝されるため、全身へのステロイド関連作用が軽減されると考えられています。また、コレチメントは有効成分が大腸でゆっくりと放出されるように設計されており、大腸粘膜で持続的に効果を発揮します。その後、体内に吸収されると速やかに代謝されて活性が弱まることから、ステロイド関連の副作用軽減が期待されるお薬です。
使用上の注意
- 以前に薬や食べ物で、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある方、感染症にかかっている方、B型肝炎ウイルスキャリアである方、肝機能障害がある方は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。
- この薬を服用している間は感染症にかかりやすくなっているので注意が必要です。感染症が疑われる場合は直ちに受診してください。
- 妊娠、授乳中または妊娠している可能性のある方は、医師に伝えて下さい。
- 服用中のお薬がある場合は医師や薬剤師に伝えてください。
- 生ワクチンを接種する場合は、事前に医師に相談してください。
併用禁忌・併用注意
薬の作用が強まるおそれがありますので、グレープフルーツ、グレープフルーツジュースの摂取は避けてください。他にも薬の作用を強めたり弱めたりする医薬品や食品があります。医療機関での受診や、一般医薬品を購入する際には、このお薬を服用していることを伝えてください。
用法・用量
通常、成人は1回1錠(主成分として9mg)を1日1回朝に服用します。必ず指示された服用方法に従ってください。大腸で溶けて成分を放出する薬剤ですので、噛まずに飲んでください。飲み忘れに気付いた場合には、気付いたときに1回分を飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は1回飛ばして、次の時間に1回分飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。また、医師の指示無しに、飲むのを止めないでください。
副作用
主な副作用として、潰瘍性大腸炎の悪化、頭痛、吐き気、上腹部痛、腹部膨満、不眠症、にきびなどが報告されています。
コラム
コレチメントの有効成分であるブデソニドは、局所作用を発揮した後、体内に吸収されると速やかに代謝され、全身への影響の軽減が期待される「アンテドラッグ」型ステロイドです。ステロイドには、体内に吸収され全身で効果を発揮するステロイドと、局所でのみ効果を発揮し、体内に吸収されると作用が軽減される「アンテドラッグ」型ステロイドがあります。ステロイドを高用量で長期間使用すると、消化管潰瘍、骨密度の減少、ムーンフェイス、糖尿病、緑内障など、さまざまな副作用が起こることがあります。アンテドラッグ型ステロイドは、このような副作用の軽減を目指して開発されたものであり、コレチメントのような消化管内に使用する薬のほか、皮膚疾患で使用されるステロイド軟膏も、このアンテドラッグ型ステロイドに該当します。
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