ジセレカ（一般名：フィルゴチニブマレイン酸塩）

中等症から重症の潰瘍性大腸炎の患者さんが1日1回服用するお薬です。潰瘍性大腸炎では一般的に、最初に5-ASA製剤と呼ばれるメサラジンやサラゾスルファピリジンなどの飲み薬で治療を開始し、効果が不十分であればステロイド治療、免疫抑制剤や生物学的製剤の使用など、より強い治療を検討します。近年は、新しい治療薬の登場で病気のコントロールが上手くいく例が増加していますが、「なかなか効果がみられない」「一度効果があってもその効果が弱まっていく」患者さんもいます。このお薬は、ステロイドや免疫抑制剤等による治療を受けた患者さんで、潰瘍性大腸炎の症状が残っている場合に使用されます。

監修者：薬剤師　谷本かおり

効能・効果

潰瘍性大腸炎は、身体を守る免疫系が過剰に働き、サイトカインという生体物質が炎症を引き起こすと考えられています。ヤヌスキナーゼ（JAK）は、サイトカインが炎症を引き起こすことに関わる酵素です。ジセレカはこのJAKを阻害することにより、炎症や痛みの発現にかかわっている複数の物質に作用し、症状を改善します。

ジセレカの特徴

潰瘍性大腸炎の薬は「寛解導入」と「寛解維持」するための2通りの目的で使われます。ジセレカは、この両方に効果があります。

使用上の注意

以下に該当する患者さんは、使用する前に医師、薬剤師にお伝えください。

• 過去に薬や食べ物で、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある方。
• 感染症（肺炎、敗血症、ウイルス感染など）、活動性結核、B型肝炎の方、帯状疱疹にかかったことがある方。
• 妊娠、授乳中、または妊娠している可能性のある方。
• 腎機能や肝機能が低下している方。
• 妊娠可能な女性は、服用期間中および服用終了後一定期間は、適切な避妊を行ってください。
• 男性は服用により、妊孕（にんよう）性低下の可能性があります。
• 血液成分の検査値に異常があらわれることがあるので、服用前や服用期間中は定期的な血液検査を受けます。
• 服用期間は生ワクチン［BCG、麻疹（はしか）、風疹（ふうしん）、麻疹・風疹混合（MR）、水痘（みずぼうそう）、おたふくかぜなど］の接種はできません。必要がある場合は、医師に相談してください。

併用禁忌・併用注意

免疫を抑える作用のあるお薬と併用すると、感染症にかかるリスクが高まると考えられています。また、他のお薬と併用するとお互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もあります。服用中のお薬があれば市販薬も含め、医師や薬剤師に伝えてください。

用法・用量

【ジセレカ錠200mg／ジセレカ錠100mg】通常、成人は1回200mgを1日1回服用します。維持療法では、状態に応じて1回100mgを1日1回服用することもあります。また、腎機能が低下している患者さんでは減量することがあります。いずれの場合も医師の指示にしたがって服用し、自分の判断で量を変更したり、服用を中止したりしないでください。

副作用

比較的起きやすいのは、吐き気、頭痛、のどの痛みなど、風邪のような症状です。このような症状に気づいたら、医師または薬剤師に相談してください。 まれに下記のような症状があらわれますが、[　]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。すぐに医師の診療を受けてください。

• 痛みを伴う小水疱が帯状に生じる発疹、発熱、寒気、倦怠感 [感染症]
• 激しい腹痛、吐き気、嘔吐[消化管穿孔]
• 突然の高熱、のどの痛み、倦怠感、めまい、頭痛[好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少]
• 倦怠感、食欲不振、吐き気[肝機能障害]
• 発熱、咳、息苦しい[間質性肺炎]
• 発熱、皮膚が青紫や暗紫色になる、下肢の痛み[静脈血栓塞栓症]