【開催レポート】「IBDとはたらく」ライブセッション 5月19日

月別のイベント2021/6/1

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IBDについて何も知らない人にこそ聞いてほしい!「IBD落語」とは?

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ヤンセンファーマ株式会社は「世界IBDデー」にあたる5月19日、「ワークシックバランス(仕事と病の両立)」をテーマとしたオンラインイベント「『IBDとはたらく』ライブセッション」を開催。北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター副センター長の小林拓先生、人気落語家の林家彦いち氏、慶應義塾大学大学院教授の岸 博幸氏、IBD患者さんのランさん、そしてMCとして、クローン病のお笑い芸人・お侍ちゃんが登壇されました。

オープニングを盛り上げたのは、林家彦いち氏の「IBD落語」。働くIBD患者さんの実体験を取り入れた演目が披露されました。内容は、一八(いっぱち)という太鼓持ちが、不思議なだんごを食べて小さくなり、IBD患者である若旦那の身体の中に入るというお話。一八は身体の中で大腸、小腸と会話しながら、IBDがどんな病気であるかを学びます。さらに若旦那のUC(潰瘍性大腸炎)から、「同じ病気の人がたくさんいること」「見た目ではわからず、無理して元気に振舞っているために、大したことのない病気だと誤解されている人がいること」「薬を飲みたいのに、飲む暇もない人がいること」などがいることを教えられます。そして最後に、このことを多くの人に広めてほしいと頼まれます。一八は若旦那の身体から抜け出すと、周囲の人たちにIBDという病気のこと、そして患者さんたちの現状を正しく伝えます。その内容は人から人へと伝わり、IBDという疾患への理解が深まっていきます―。

落語を数えるくらいしか見たことのないIBDプラス編集部ですが、伝統芸能の楽しくわかりやすく「伝える力」の凄さを、身をもって体感させていただきました。

IBDであることが「仕事に影響がない」と答えたのは、わずか10%という現実

続いて行われたのはトークセッション。小林先生、岸氏、ランさん、お侍ちゃんが、「仕事と病の両立」の観点から、IBD患者さんのこれからの働き方について、IBD専門医、行政・経済の専門家、IBD患者というそれぞれの観点から議論を深めました。

ランさんは、落語にもあったIBDが“外見からわからない病気”であることの苦労について「見た目でわからない分、他の病気に比べて採用に至りやすいのかもしれないけれど、入ってから大変な部分もある。私自身、体調管理には非常に気を使い、努力してキープしているけれど、その努力もなかなか理解されない」と述べました。一方で、時が経つにつれて病気との付き合い方がわかってきて、自信もついてきたそうです。ランさんは「今つらい人はたくさんいると思うけれど、この時期がずっと続くわけではない。あまり先のことは心配し過ぎなくてよいと思う」と、語りました。

また、イベント中はリアルタイムでアンケートも実施されました。現在もしくは過去に就労していたIBD患者さんに、(IBDの仕事への影響について)自身の考えに最も近いものを選んでもらう質問では、「IBDがもたらす仕事への影響が大きいと感じている」が46%、「仕事に影響が出る時もあるが、うまく調整して働いている」が44%、「特に仕事には影響がなく働くことができている」が10%という結果でした。

この結果を受けて岸氏は「アンケートが物語っているのは、仕事に影響がない人が10%しかいないということ。政府は、これまでずっと人口減少に伴い、高齢者が長く働けるような環境を作るべく政策を行ってきた。しかし、IBDでがんばっている人が、よりいろいろな形で働けるように支援してきたのかという点では疑問が残る。行政の支援が行き届いていないところがあるのではないか」と、苦言を呈すとともに、社会への理解を求めました。

ワークシックバランスを満足いくものにするために

最後に、小林先生は「かつては治療法も少なかった病気なので、ワークシックバランスのシック(病気の治療)にばかり目が向くのも仕方なかったと思う。しかし、これだけ治療法が進歩した今、治療以外のことにどんどん目を向けることができるような時代になってきたと思う。私たち医療者こそ、ワークシックバランスのシック以外のところに目を向けて患者さんと接していこうと伝えたい」と述べました。さらに、IBDを持ちながら仕事をしている人・就活中の人に対して「ワークシックバランスというのは、シックのためにワークを我慢する。または、ワークのためにシックを我慢するというようなことではない。私たちが目指しているのは、シックの部分を限りなくゼロにしていくことだと考えているし、患者さんたちもそれが必ず達成されると信じて生活していってほしい」と、締めくくりました。

IBD患者さんのワークシックバランスを満足いくものにするには、まだまだたくさんの力が必要だと感じました。IBDプラスもその力となれるよう、これからも真っすぐに患者さんたちの「想い」を広く伝えていきたいと思います。

(IBDプラス編集部)

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