IBDで腸に炎症が起こることで、腸内細菌が住みづらくなるようなことはありますか?

はい、あります。腸内細菌は腸の粘膜が分泌する「粘液」の中に主に住んでいます。口の中の粘膜を想像してみてください。ツルツルしていますよね。あのようにツルツルした腸が腸内細菌にとって住みやすい状態であり、潰瘍や炎症などができて粘膜が荒れてしまうと腸内細菌にとっては住みづらくなります。

実際に私たちの研究では、「潰瘍性大腸炎の重症度が進むほど、特定の腸内細菌の種類と数が減る」ことが確認されています。特に「全大腸炎型」の潰瘍性大腸炎患者さんの腸内細菌は、様相がガラリと変わっていました。一方で、重症でも炎症が局所的な場合は、そこまで大きな変化は見られませんでした。

これらの結果から、おそらく「潰瘍性大腸炎の重症度×領域の広さ」で腸内細菌叢が決まってくるのではないかと考えています。40兆と言われる腸内細菌の数を正しく把握するのは困難ですが、割合で見たときに腸内細菌の「多様度」が下がっているのは間違いありません。クローン病も一部(小腸型クローン病など)を除き、同じ傾向があると考えて良いと思います。

(IBDプラス編集部)

石川大先生
順天堂大学 消化器内科 准教授
石川大先生
2001年 岩手医科大学医学部卒業、順天堂大学医学部附属順天堂医院研修医
2004年 順天堂大学医学部消化器内科学講座入局
2009年 米国Case Western Reserve University, IBD Research Center留学
2011年 順天堂大学大学院医学研究科修了博士(医学)
2011年 順天堂東京江東高齢者医療センター消化器内科学助教
2014年 順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科学講座助教
2016年 順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科学講座准教授

〈資格・所属学会〉
医学博士
日本内科学会(認定医)
日本医師会(認定産業医)
日本消化器病学会(専門医・指導医)
日本消化器内視鏡学会(専門医・指導医)
日本炎症性腸疾患学会
消化器免疫学会
国際粘膜免疫学会
日本消化器病学会(関東支部評議員)

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