抗生物質で腸内細菌の多様度が下がったり量が減ったりすると聞いたことがありますが、IBD患者さんでは元に戻るまでにどのくらいかかりますか?

抗生物質でいなくなった腸内細菌が、潰瘍性大腸炎の患者さんでは8週間経っても元に戻らないことがわかっています。そのため、IBD患者さんでは抗生物質の腸内環境への影響が少なくとも2か月程度続くと考えて良いでしょう。

WHO(世界保健機関)は、抗生物質の乱用が細菌の耐性を促進することから、適正使用を指針を策定しています。しかし、我が国では比較的安易に抗生物質が処方される傾向があります。例えば、風邪には抗生物質は効きません。なぜなら、風邪のほとんどはウイルスによって引き起こされるためです。IBD以外の病院で抗生物質が出された際には、IBDの主治医の先生に一度確認されるのが良いと思います。

(IBDプラス編集部)

石川大先生
順天堂大学 消化器内科 准教授
石川大先生
2001年 岩手医科大学医学部卒業、順天堂大学医学部附属順天堂医院研修医
2004年 順天堂大学医学部消化器内科学講座入局
2009年 米国Case Western Reserve University, IBD Research Center留学
2011年 順天堂大学大学院医学研究科修了博士(医学)
2011年 順天堂東京江東高齢者医療センター消化器内科学助教
2014年 順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科学講座助教
2016年 順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科学講座准教授

〈資格・所属学会〉
医学博士
日本内科学会(認定医)
日本医師会(認定産業医)
日本消化器病学会(専門医・指導医)
日本消化器内視鏡学会(専門医・指導医)
日本炎症性腸疾患学会
消化器免疫学会
国際粘膜免疫学会
日本消化器病学会(関東支部評議員)

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