FPに聞いてみた「医療保険の選び方 “引き受け基準緩和型”とは」
マネー | 2023/1/26 更新
病気や健康に不安があっても保険に入れる?
難病である潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)をはじめ、持病などがあって、医療保険の加入を断られてしまった・・・。完治が難しい病気とうまくつきあっていく方法を学んで現在寛解していても、もし将来症状が再燃したり入院することがあったら、治療費が心配。そんな方のために、通常の医療保険よりも加入しやすい医療保険が存在します。今回、そんな引き受け条件が緩和された「引き受け基準緩和型」の医療保険を解説します。
1)医療保険における「告知」とは?
保険に加入する際には、必ず健康状態の診査があります。生命保険では、その保障額の高さから、医師による健康診断の結果表の提出などが必須となる場合がほとんどですが、医療保険では、自己申告(告知)で済むことが一般的です。ただし、告知内容によっては、医療保険の加入を断られてしまうこともあります。
では、なぜ告知制度が必要なのでしょうか?
保険商品は、加入者が払っている保険料が実際の支払いの原資になっています。加入者の中に入院や手術を受けるリスクが高い方がいると、加入者間で公平を欠いてしまいます。つまり、告知制度によって、加入者間の公平性を担保しているのです。
もちろん健康状態や疾病歴について告知義務があり、持病があったり、過去に大病をしたからといって、医療保険に加入できない訳ではありません。保険会社が診査を行った結果、無条件で加入できることもありますし、条件付きで加入できることもあります。
その条件とは “不担保”という考え方で、「告知内容の疾病が原因で入院や手術をした際には、保障しない」ということを意味します。保険会社によっては、「部位」自体が不担保(特定部位不担保)になることもありますが、それ以外の疾病時には、もちろん医療保険を利用することができます。ただし、告知内容が事実と違った場合は、「告知義務違反」となって、契約の解除や給付金が受け取れなかったりすることがあるので、その点は注意しましょう。
2)引き受け基準緩和型とは?
一般の医療保険に加入できなかったり、厳しい条件がついてしまった場合、例えば、持病をお持ちの方などは、持病に対する保障は諦めないといけないのでしょうか?答えは「NO」です。
こうした方のために「引き受け基準緩和型」という商品が存在します。その名の通り、潰瘍性大腸炎やクローン病など持病がある人でも加入できるように、引き受けの基準を緩和している商品です。内容は、通常の医療保険と同様に入院と手術の保障がついています。保障期間は、85歳までなど年齢によって区切られていたり、一生涯保障(終身)などがあります。
引き受け基準緩和型のメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。まず最大のメリットは、持病がある人でも加入がしやすいということです。単純に加入がしやすくなるというだけではなく、通常の医療保険であれば、条件が付くようなケースでも無条件で加入することもできます。そのため、持病を持っている人が、入院や手術になっても、きちんと保障を受けることが出来るわけです。
デメリットは、価格面です。引き受け基準を緩和している分、通常の医療保険と比較して、保険料自体は割高になり、保険料が倍近くになるケースもあります。あなたにとって本当に必要な保障かどうか、ファイナンシャルプランナーなどに相談してプランの見直しをしたり、おすすめの商品を聞くのもよいでしょう。また、加入後1年程度は、入院や手術になっても受けとれる給付金額が半分になるなど若干の制限が発生することがあります。もちろん、当該期間を過ぎた後の入院や手術は、普通に給付を受けることが可能です。
このように引き受け基準緩和型の商品は、病気がある人の保険選びの際に身近な商品と言えるでしょう。
3)引き受け基準緩和型を選ぶ際のポイント
それでは、引き受け基準緩和型を検討する際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか?まず、注意するべき点は、「引き受け基準を緩和しているからと言って、だれでも加入できるわけではない」という点です。例えば、既往症や「過去2年以内に入院したことがありますか?」といった項目など、引き受け基準を緩和していても、告知自体は必要になり、告知項目の有無や内容は保険会社ごとに異なります。そのため、「A社では加入できなかったが、B社であれば加入可能」となる場合があります。
潰瘍性大腸炎やクローン病といったIBDについては、以前は生命保険契約の引き受け対象とはなっていませんでしたが、2007年に三井生命(現:大樹生命)が日本炎症性腸疾患協会と連携して、重症度や治療内容を勘案のうえ、一定条件のもと全生命保険契約に関して引受を行っていくことを発表するなど、IBD患者さんでも入れる保険を販売する保険会社は増えています。
保険料の比較検討と特約の確認も
次に、気になる保険料の比較です。保険会社の商品ごとに、保険料も異なります。たとえば入院給付金の日額や日数など似たような保険であれば、保険料の安い商品を選ぶのも、選択肢のひとつではないでしょうか。
最後のポイントは、特約です。保険商品は特約という形で、オプションの保障をつけることが可能です。がんになってしまった場合の一時金や退院後の外来治療(通院)、先進医療の保障、死亡保障など内容は多岐にわたります。特約の有り無しは、保険会社や保険商品ごとに異なった特徴があります。そのため、どの保険会社のどの商品を選択するのかで、付加できる特約も異なります。
保険会社ごとに告知項目、保険料、特約などが異なりますので、引き受け基準緩和型の商品も、やはり各保険会社の商品を調べて、比較検討する方が良いことがわかります。保険選びをする際には、是非自身でしっかりとさまざまな保険会社の商品を判断して申し込みするようにしましょう。
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