IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)を含む指定難病や小児慢性特定疾病への医療費助成制度について

マネー2018/12/6

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IBDを含む指定難病や小児慢性特定疾病への医療費助成制度について

原因の特定が難しく、症例が少なく、治療方法が確立されていない難病。長期間の治療が必要な慢性疾患。こうした病気に罹患された方やそのご家族にとって、今後の医療費は大きな心配事です。

平成27年1月1日より、「難病の患者に対する医療等に関する法律」と「児童福祉法の一部を改正する法律」が施行されました。この制度により一定の要件を満たす難病(指定難病)と、小児慢性特定疾病に対して医療費の助成することが目的です。以前もこうした助成制度がありましたが、助成対象となる疾患がより拡大しました。そして、この医療費助成制度をより安定化するために、助成費用の2分の1は消費税から充当することになりました。今回は、こうした医療費の助成制度について解説します。

1.指定難病

1-1.指定難病に対する助成とは

まず、指定難病に対する医療費の助成制度について説明します。その名の通り、指定された難病に対する助成制度です。かつては対象となる難病は56疾患でしたが、現在では331疾病が指定難病として認定されています。潰瘍性大腸炎やクローン病も指定難病となっています。(平成30年4月現在)

どの疾患が指定難病となっているのか?は、「難病医学研究財団/難病情報センター」のURLで確認することが出来ます。
http://www.nanbyou.or.jp/entry/5461

指定難病の治療の場合、具体的にどの様な助成を受けることができるのでしょうか?公的な健康保険の場合、通常治療費の3割が自己負担です。これに対して、指定難病の治療に関しては、2割の自己負担となります。通常の治療費よりも安く済むという事ですね。指定難病のためといっても、そもそも健康保険適用外のサプリなどは助成の対象外です。

また、外来と入院の区別なく、治療費の自己負担の上限額も決まっています。この自己負担の上限額は、所得に応じて異なりますので、以下の表をご参照ください。

表1:指定難病の治療費の自己負担上限月額(平成27年1月現在)

階層区分 所得の目安
(市町村税額)
自己負担上限額(外来+入院)
一般 高額かつ長期 人工呼吸器等装着者
生活保護 0 0 0
低所得1 市町村民税非課税世帯
本人収入:80万円以下
2,500 2,500 1,000
低所得2 市町村民税非課税世帯
本人収入80万円超
5,000 5,000
一般所得1 市町村民税 7.1万円未満 10,000 5,000
一般所得2 市町村民税 7.1万円以上
25.1万円未満
20,000 10,000
上位所得 市町村民税 25.1万円以上 30,000 20,000

なお、医療費総額が5万円(自己負担割合2割とすると、上限額の1万円)を超える月が年間6回以上ある場合は、「高額かつ長期」の扱いとなります。また、平成27年以前から難病治療の助成を受けていた方は、この制度への移行に対する経過措置がありましたが、平成29年12月31日をもって経過措置期間が終了しています。

今後、新たな難病が出てきた場合も以下の6つを満たす疾患は、厚生労働大臣が指定難病として追加指定する可能性があります。

1)発病の機構が明らかでない
2)治療方法が確立していない
3)希少な疾患であること
4)長期の療養を必要とするもの
5)患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと
6)客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が確立していること

1-2.申請方法と注意点

続いて、「指定難病」に対する医療費助成の申請方法について説明します。指定難病に対する医療費の助成を受けるには、指定難病になっているという支給認定を受ける必要があります。

簡単に申請までのフローを説明すると、以下の通りです。

  • 指定難病であることを証明するために、医師から診断書を交付してもらう
  • 診断書と保険証の控えなど必要書類を用意して、都道府県に助成の申請
  • 都道府県の審査結果を待って、支給認定を受ける
  • 認定後、都道府県から医療受給者証(認定証)の交付を受ける
  • 医療受給者証を持参して、治療を受ける
    ※医療受給者証は、有効期限あり(最長1年)

申請時の注意点は、難病の診断をしてもらう医師や、実際に治療を受ける病院が都道府県ごとに指定されていることです。具体的には指定難病の診断を行う医師を「指定医」、実際の治療を行う病院を「指定医療機関」と呼びます。指定医以外の医師からの診断書は無効ですし、指定医療機関以外で受けた治療は助成の対象外となります。どの病院が指定医療機関なのか?どの先生が指定医なのか?をご自身で見つけることは大変ですよね。担当窓口は、お住まいの都道府県※1の福祉担当課などになります。申請する際の申請書を取り寄せて、申請する先になりますので、合わせて確認するようにしましょう。

※1平成30年4月から一部の自治体で医療費助成に関する申請書類の提出先が変更になりました。
詳しくはこちら⇒難病の医療受給者証をお持ちで指定都市に居住されている皆さまへ

また、症状などによっては申請の結果、否認されることもあります。新規で申請する際はもちろんですが、医療受給者証の有効期限(最長1年)が切れて、更新をする場合も同様です。認定基準として、「日常生活や社会生活に支障があるのか?」という点が設けられています。服薬の結果、症状が安定していると、更新時などに否認となる事も予想されます。もちろん服薬を辞める訳にもいかないので、後述の「軽症者の特例」という制度も別途用意されています。

1-3.申請時に必要な書類

申請時には、以下の書類が必要となります。

  • 指定医の診断書
  • 特定医療費の支給認定申請書
  • 住民票
  • 課税証明書
  • 保険証のコピー
  • 同意書

その他、必要に応じて人工呼吸器等装着者であることの証明書などが追加されることもありますので、お住まいの都道府県の福祉担当課などにお問い合わせください。

1-4.軽症者の特例

前述の通り、指定難病で治療を続けている方には、服薬などで症状が安定している軽症者の方は、「指定難病」に対する医療費助成で除外される恐れがあります。当然重症化しないために服薬を続けているわけですから、「重症にならないと助成が受けられない」となると困ってしまいますよね。

そのため、検査などを行い治療が今後も継続して必要と指定医に診断された場合、以下の特例を受けられる可能性があります。具体的には、1か月あたりの医療費が33,330円(自己負担割合が3割の場合、自己負担10,000円)を超える月が1年で3回以上あることが条件です。

この特例を利用すれば、前回解説した「指定難病」の医療費助成を受けることが出来ます。軽症者の特例を申請する場合は、都道府県の窓口に医療費申告書等とともに医療費の領収書を添付します。

2.小児慢性特定疾病

2-1.小児慢性特定疾病に対する助成

次に小児慢性特定疾病への医療費助成について説明します。こちらは、18歳未満の児童(18歳以降も引き続き治療が必要と認められた場合は20歳まで)を対象とした制度です。

以下の要件を満たし、厚生労働大臣が指定した疾患が対象となります。

<対象疾患群>
1)悪性新生物 2)慢性腎疾患 3)慢性呼吸器疾患 4)慢性心疾患 5)内分泌疾患 6)膠原病 7)糖尿病 8)先天性代謝疾患 9)血液疾患 10)免疫疾患 11)神経・筋疾患 12)慢性消化器疾患 13)染色体または遺伝子に変化を伴う症候群 14)皮膚疾患
<条件>
1)慢性に経過する疾病である事
2)生命を長期に脅かす疾病である事
3)症状や治療が長期にわたって、生活の質を低下させる疾病である事
4)長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病である事

現在では、756疾患が対象となっています。(平成30年4月現在)指定難病と同じく、小児慢性特定疾病には潰瘍性大腸炎もクローン病も含まれています。

それでは、実際にどんな助成を受けられるのでしょうか?前述の指定難病同様、医療費の自己負担割合が2割となります。外来と入院区別なく、治療費の自己負担の上限額も決まっています。自己負担上限額は、指定難病の半額となっています。

表2:小児慢性特定疾病の治療費の自己負担上限月額(平成27年1月現在)

階層区分 所得の目安
(市町村税額)
自己負担上限額(外来+入院)
一般 高額かつ長期 人工呼吸器等装着者
生活保護 0 0 0
低所得1 市町村民税非課税世帯
本人収入:80万円以下
1,250 1,250 500
低所得2 市町村民税非課税世帯
本人収入80万円超
2,500 2,500
一般所得1 市町村民税 7.1万円未満 5,000 2,500
一般所得2 市町村民税 7.1万円以上
25.1万円未満
10,000 5,000
上位所得 市町村民税 25.1万円以上 15,000 10,000

なお、以下の2つの要件を満たす場合は、「重症」という扱いになります。

  • 医療費総額が5万円(自己負担割合2割とすると、上限額の1万円)を超える月が年間6回以上ある場合
  • 部位や疾患ごとの所定の状態になっていること(重患者基準を満たすこと)

2-2.小児慢性特定疾病に対する助成の申請方法と注意点

次に小児慢性特定疾病に対する医療費助成の申請方法を説明します。基本的には、指定難病の場合と同様ですが、対象者が18歳未満という事で保護者が申請することになります。

申請までのフローを説明すると、以下の通りです。

  • 小児慢性特定疾病の指定医から、診断書の交付を受ける
  • 診断書と保険証の控えなど必要書類を用意して、
    都道府県または、指定都市・中核市に助成の申請をする
  • 都道府県または、指定都市・中核市の審査結果を待って、支給認定を受ける
  • 認定後、都道府県または、指定都市・中核市から医療受給者証
    (認定証)の交付を受ける
  • 医療受給者証を持参して、治療を受ける
    ※医療受給者証は、有効期限あり(最長1年)

指定難病の場合と同様、指定医に診断書を書いてもらう必要がありますし、治療は指定医療機関で受ける必要があります。

相違点としては、指定難病の窓口が都道府県単位だったのに対し、小児慢性特定疾病の場合は、指定都市や中核都市にも窓口が拡大していることです。そのため、より身近な場所を窓口にする事が可能です。

3. まとめ

今回は、指定難病や小児の慢性疾患などに対する医療費の助成制度をご紹介しました。

重要なことは、「医療受給者証」の交付を受けることです。そのためには、「指定医」や「指定医療機関」をきちんと調べて、申請をする必要がありますので、情報収集を欠かさずにきちんと申請をするようにしましょう。

短期的な治療で治すことが難しい疾病ですので、助成を受けられるか否かで医療費負担が大きく異なります。投薬等で今は症状が安定していることで、否認されたとしても軽症者の特例が受けられる可能性もあります。

是非とも申請を忘れない様にしましょうね。

平原 直樹先生
講師紹介
平原 直樹(ひらはら なおき)
ブロードマインド株式会社 マーケティング部 マネージャー ファイナンシャルプランナー 第一種証券外務員、旅行業務取扱主任者
略歴
東京都出身。 日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催し、 相談業務やコラムの執筆等幅広く活動。
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