ママIBD患者さん聞いた妊娠・出産経験談-出産までの治療・仕事・食事は?

ライフ・はたらく2022/3/30

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女性にとっての大きなライフ・イベント、妊娠、出産。最近はIBD治療の進歩により、病気を安定化(寛解)させることが可能となったため、妊娠・出産、子育てができる環境になってきました。妊娠中の薬の使用についても、使用経験が増えたことで、使用可能な薬が増えてきているようです。 そこで今回、最近(3年以内)に妊娠・出産を経験されたママIBD患者さんに、妊娠から出産までの様子をアンケートで聞いてみました。これから予定のある方の役に立つ情報がもりだくさんですので、ぜひ参考にしてくださいね。

潰瘍性大腸炎・40代・Aさん(お子さん1人)

                   
発症時の年齢38歳
お子さんの人数・年齢1人・2歳8か月
計画的な妊娠だったかいいえ
妊娠管理を行った病院産婦人科があり、IBD治療も診てもらえる総合病院
妊娠中の就業状況妊娠後期(8か月~)まで就業し、産休・育休に入った
分娩方法緊急帝王切開
妊娠中のIBD治療薬の使用妊娠前と比べて変わりなし
   

Aさんは、妊娠前から妊娠中〜臨月直前まで寛解を維持。つわりもあったので、食べられるものを、特に気にせず食べていたそうです。

ところが、臨月に入り突如、再燃。ですが、あらかじめ、出産後の再燃に備えて、消化器内科と産婦人科のある有名な大学病院を自分で選び、近所の婦人科と今までのIBDの主治医に紹介状を書いてもらい転院していたことが功を奏した形に。婦人科の先生とIBDの先生が連携を取ってくれていたので、再燃してからの対応がスムーズだったそうです。

message

産婦人科と消化器内科の先生が連携をとれる大学病院にして大正解でした。 妊娠中〜出産後の再燃に不安があれば絶対におすすめです。

潰瘍性大腸炎・40代・Bさん(お子さん3人)

                        
発症時の年代36歳
お子さんの年齢・人数3人・2歳11か月(第3子)
計画的な妊娠だったかいいえ
妊娠管理を行った病院産婦人科があり、IBD治療も診てもらえる総合病院
妊娠中の就業状況妊娠後期(8か月~)まで就業し、産休・育休に入った
分娩方法自然分娩
妊娠中のIBD治療薬の使用ヒュミラ(医師は継続使用して問題ないとしていたが自ら申し出て、妊娠8週〜産後2か月の間休薬)
   

Bさんは第2子の妊娠中に潰瘍性大腸炎を発症。その時のさまざまな経験を踏まえ、第3子の出産は潰瘍性大腸炎に関する知識を持って、出産に臨まれたそうです。

体調は、妊娠前から寛解でしたが、妊娠後期から排便回数が増え、臨月になり下痢や下血など再燃症状が出るようになったそう。食事は、あまり気にせず好きな物を食べていましたが、 妊娠後期~再燃時は食物繊維を避け、腸に優しい食事を心がけたそうです。

以前、別のクリニックで出産した時は、医師⇔Bさん⇔もう一方の医師と、双方の医師に伝えるために受診するという状況が妊娠中幾度となくあり、大変だったそう。

一方、第3子の出産は、潰瘍性大腸炎で通院中の病院の産婦人科だったため、電子カルテを先生方がそれぞれ共有してくれたため、話が早かったそうです。「同じ病院だと、診察中に医師が感じた疑問を、そのままもう一方の医師に電話で確認してくれたおかげで、タイムラグがなく、問題が解決。安心して妊娠生活を送ることができました」。

message

妊娠後期から産後はホルモンバランスが急激に変動し、IBDも再燃しやすいらしいと聞きました。再燃した時に、体調が悪い中、どこに相談しても煮え切らない返事が返ってくると、精神的にもとても辛いと思います。おいしい病院食が食べられる施設、きれいな施設、産婦人科にはたくさんの魅力的な病院がありますが、病気のことを相談できる施設かどうか、そこも確認した方が良いかもしれません。

潰瘍性大腸炎・30代・Cさん(お子さん1人)

                        
発症時の年齢13歳
お子さんの年齢・人数1人・1歳9か月
計画的な妊娠だったかいいえ
妊娠管理を行った病院IBD治療とは別の病院
妊娠中の就業状況妊娠後期(8か月~)まで就業し、産休・育休に入った
分娩方法自然分娩
妊娠中のIBD治療薬の使用使用なし(サプリメントのみ)
   

Cさんは10代で大腸全摘していたため、IBDの諸症状はなく、妊娠期を通して、おおむね、体調は良好。日頃から体調管理には気をつけていたそうです。

食事は、ご飯(エネルギー源として)、タンパク質(肉・魚・大豆製品・卵・乳製品)のほか、サプリメント(ビタミンB群(葉酸含む)、ビタミンD、DHA)を意識して摂取していたそう。生もの(刺身、明太子、生卵など)、カフェインは控えたそうです。つわりも軽かったそうです。

message

私の場合、幸いにも自然妊娠・自然分娩できました。出産は体力勝負ですので、日頃からきちんと食べて、適度な運動などをして、体力維持に努めることをおすすめします。
私の場合、20年近く前に潰瘍性大腸炎で手術を受けており、お腹に大きな傷があり、これ以上傷が増えないように、できたら自然分娩で産ませてあげたいと先生さんから言っていただいたことが印象に残っています。もちろん、緊急帝王切開になった場合のお腹の切り方や形成外科の先生との連結も考えてくださっていました。ただ出産のことだけでなく、そういうことを考慮してバースプラン(出産計画)も考えてくださったので、とても心強かったです。
妊娠・出産に関して不安なことや思っていることなどがあれば、主治医や産科の先生にしっかり相談することをおすすめします。妊娠・出産は、女性にとって大きな出来事ですが、体調が落ち着いている場合は、IBDだからといって、大きく構えすぎることはないと思います。普通の方と同様に、妊娠期間を大切に過ごし、赤ちゃんに会える楽しみを味わってほしいと思います!何より、産んだ後が大変(^^;)。自分の体力ががた落ちしますし、すぐに育児も始まるので、そのことを心しておいた方がよいと思います(笑)。

クローン病・30代・Dさん(お子さん1人)

                        
発症時の年齢16歳
お子さんの人数・年齢1人・9か月
計画的な妊娠だったかはい
妊娠管理を行った病院産婦人科があり、IBD治療も診てもらえる総合病院
妊娠中の就業状況自営業のご主人の仕事を無理のない程度に手伝い
分娩方法吸引分娩
妊娠中のIBD治療薬の使用大建中湯、ペンタサ、ビオスリー錠、プロマック錠、エレンタール。ステラーラは妊娠22週で中断し(産後2か月で再開)
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Dさんは、結婚3年目に寛解となったことから、妊活を開始。その際、医師には「処方されている薬は妊娠しても飲み続けて大丈夫か?」「ステラーラ治療中だけど妊娠に影響はないか?」と相談されたそうです。

食事は、妊娠中も変わらず脂質を、また、他の妊婦さんと同様に、生ものなどは控えたそうです。つわりがなかったそうで、いろいろ食べることができたとのこと。「葉酸の多いイチゴは意識してたくさん食べていました。しかし、妊娠後期に妊娠糖尿病になり、糖質制限もしなくてはいけなくなった時は食べられるものが少なくて苦労した」そうです。

message

妊娠・妊活をする前に寛解状態にしておくことが大切だと思います。妊娠中はIBDの症状が出ても治療が限られてしまうので、悪化したら大変だと思います。妊娠中は、いろいろ不安になったり心配事が増えますし、不安要素はなるべく減らした方が、精神的に安定したマタニティライフをおくれると思います。とはいえ、体調が悪くなるんじゃないかって不安になる時もあると思います。
そんな時、私はIBD主治医が言ってくれた「もし体調が悪くなっても絶食入院すれば大丈夫だよ」という言葉をお守りにしていました。
もし悪くなっても手段はあるんだと心強くなれました。
IBDを抱えての妊娠・出産は不安だと思いますが、私は意外と何とかなりました。
IBDだからって妊娠・出産をあきらめないで無理せずがんばってほしいです。

クローン病・30代・Eさん(お子さん2人)

                        
発症時の年齢24歳
お子さんの人数・年齢2人・7か月(第2子)
計画的な妊娠だったかはい
妊娠管理を行った病院産婦人科があり、IBD治療も診てもらえる総合病院
妊娠中の就業状況妊娠後期(8か月~)まで就業し、産休・育休に入った
分娩方法自然分娩
妊娠中のIBD治療薬の使用第1子=妊活前:ヒュミラ+イムラン、妊娠中:ヒュミラのみ(イムラン中止)、妊娠後期:ヒュミラ中止
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Eさんは、第1子の妊娠前〜出産まで寛解期を維持。産後も体調が良かったことから、薬を再開していなかったそうですが、産後半年ほどから体調を崩すようになったそう。急いでヒュミラを再開したものの、そのまま安定せず入院に。その後、薬が合わず1年に1度入院する状況が続いたそうです。 ようやく合う薬が見つかり、体調が安定しはじめたところで、第2子について主治医に相談して妊活を開始されたそうです。

妊娠管理は、過去に同じクローン病患者の妊婦さんを担当した経験・知識のある産婦人科の医師を担当にしてもらったそう。話が伝わりやすく、安心したそうです。「産後の産褥食もクローン病に気をつけた食事を指定できて良かったです。地元のクリニックは、持病に何かあったらいけないからと最初から断られ、食事も脂質オーバーな内容から変更できなかった、結果的にクローン病を診てもらっている同じ病院で良かったと思います」。

message

IBDになっても妊娠出産を諦めないでください!
身体に合う食事や治療を続ければ、安定している間に健常の方と同じように妊娠や出産が可能です。腸の状態にもよると思いますが、私の場合は普通分娩も大丈夫でした。 胎児に影響がないとわかってきている薬もあり、妊娠出産は母体の体調を一番に考えて、恐れずに薬の治療を続けて欲しいです。
私自身は一人目の産後に体調が安定していたことから主治医と話し合い、治療を一度やめたのですが、その後体調が悪化し入院となってしまったので後悔しています。二人目は治療を続けてきたおかげで産前産後も寛解が続いています。
産後に体調が崩れかけた時は、すぐに医師に相談したり、周りに頼り、身体と腸を休めるようにしてください。体調が崩れた時のためにレトルト食品やレトルト離乳食を準備しておくと安心です。 妊娠出産を恐れ諦めないで、かわいい赤ちゃんに出会えますように**

先輩ママさんたちの経験談、参考になりましたか?みなさんの回答から「妊娠前に寛解になっておくこと」「産婦人科がありIBD治療もしてもらえる総合病院で妊娠管理」のほか、「主治医や担当医など医療者とのコミュニケーションが重要」といったIBDに配慮した共通点が見られましたね。

これらは、「IBDの女性患者さんの妊娠出産を考えた治療指針」の中でも、ポイントとして挙げられています。下記の関連リンクから閲覧できますので、こちらも併せて参考にしてみてください。

(IBDプラス編集部)

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