コロナ禍でUC診断、仕事も治療情報も「オンライン」のつながりを大切に

仕事・はたらく2022/6/30

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ibd-work-shizukuaosaki-prof400写真/Makeup by Saori Hara Photo by Megumi Grace Okamoto

今回の「仕事・はたらく」で取材したIBD患者さんは、歌手・アイリッシュハープ奏者としてライブ活動、オンラインでレッスン講師を務める蒼咲雫(あおさき・しずく)さんです。潰瘍性大腸炎と診断されたのは2020年2月、新型コロナウイルス感染症が日本に上陸したばかりの頃。コロナと潰瘍性大腸炎、ダブルでの活動制限に見舞われ、いろいろな葛藤もあったそう。診断後、約2年半の仕事や大切にしてきたことを伺いました。

蒼咲雫さん(潰瘍性大腸炎歴2年)

3歳からエレクトーンを学び、16歳から作詞・作曲・歌を始める。アイリッシュハープを田中麻里氏などに師事。2015年から2年間ドイツに滞在し、ストリート演奏をはじめ、ヨーロッパ各地でライブを行う傍ら、オンラインでのアイリッシュハープのレッスンを開始。2017年帰国。2019年に一時渡米。2020年2月、潰瘍性大腸炎と診断。

アイリッシュハープに魅了され、海外演奏活動も

――アイリッシュハープは、どんな楽器か紹介していただけますか?

アイリッシュハープは、オーケストラなどに登場するハープと比べて、持ち運びしやすい小型で軽量な楽器です(大きさにはばらつきがあります)。音は素朴で、あたたかく、やわらかい音色が特徴です。ポロロ~ンと鳴らすと、癒やされますよ。手頃な金額で手に入るものもあります。

ibd-work-shizukuaosaki-4661.jpg写真/Makeup by Saori Hara Photo by Megumi Grace Okamoto

アイリッシュハープを始めたのは2009年。16歳の頃から作詞・作曲・歌を始めて、「次は持ち運びができる楽器で弾き語りをしたい」と考えていた時に、米国の有名なアイリッシュハープ奏者のCDを聴き、この楽器を弾いている自分の姿が頭に浮かんだことがきっかけで始めました。主に独奏で弾き語りをしています。

――海外で演奏活動をされていた時期もあったそうですね。

2015年から2年間、ドイツを中心にヨーロッパ各地で演奏活動を行っていました。ストリートやカフェ・バーで、主に投げ銭スタイルで演奏をしていました。ヨーロッパは、音楽をはじめとするさまざまな芸術に対する考え方や、お金の流れが日本とは良い意味で異なり、とても刺激を受けました。

2017年に帰国して、日本での活動を再開。2019年にはファンの方からの協力を得ながら一時米国に渡り、ハープを始めるきっかけとなったアーティストとの共演もさせていただきました。

――アイリッシュハープのレッスン講師は、いつから始めたのですか?

ドイツに行ったタイミングです。Skypeを使った講師の活動を始めました。コロナ流行以降は当たり前となったオンラインレッスンも、当時は今より普及していなかったと思います。

生徒さんは、性別も年代もさまざまです。私は弾き語りをしているので、歌をうたう方が、「ハープで伴奏をできるようになりたい」と、習われるケースもあります。個人差はありますが、数か月練習すれば、簡単な曲なら演奏できるようになりますよ。

新型コロナ流行初期、潰瘍性大腸炎と診断も「受診控え」に

――潰瘍性大腸炎の診断に至るまでの経緯を教えてください。

2019年の暮れに、胃を含めておなかのあたりに痛みを感じ、近所の病院で診てもらうことに。「胃の入口のあたりに炎症があるようだ」とのことで、薬を処方され、様子見になりました。

胃の痛みは次第に治まりましたが、腹痛は続き、便に血が混ざることも時々ありました。そして、漠然とした不安感もありました。「PMS(月経前症候群)なのかなぁ」と考えたりもしたのですが、やっぱりおかしいと再受診。その病院は大腸内視鏡検査をいつでも行える体制ではなかったので、すぐには検査が受けられず、別の病院を探して2020年2月に検査、直腸型の潰瘍性大腸炎であることがわかりました。

――診断された時のお気持ちは?

潰瘍性大腸炎という病気をこの時初めて知ったので、「あなたは難病の患者さんです」と突然言われても、何が起こったのか理解できない状態でした。診断後、アサコールを処方されましたが、薬と自分の体が合っていない気がして、飲み切った後は病院に行かなくなりました。

コロナに関するいろいろな情報が錯そうしている頃で、病院に行くのが怖かったというのはもちろんありました。でも、今振り返ると、自分が「難病」であることに対して、抵抗感があったのだと思います。また、病気のことを詳しく知りたいという気もあまり起きませんでした。

2021年の冬に初めて再燃が起こるまで、薬なしの状態で過ごしました。

再燃をきっかけに「食事制限のある病気」と知る

――再燃をきっかけに本格的な食事療法を始められたそうですね。

大きな声では言えないですが(笑)、実はそうです。元々好きな食べ物は、ラーメン、パスタ、揚げ物にイタリア料理、キムチ、香辛料、キノコ類。IBD患者さんにとっては配慮が必要とされる料理や食材ばかり…。診断後の1年間も、普段通りの食生活で、食事制限も全くしていませんでした。元々やせ型で、食事の量は少ない方でしたけど、脂質ももちろん気にしていませんでした。

診断時の症状が重くなかったこともあり、食事制限について医師からは特に何も言われていませんでした。再燃をきっかけに、初めて潰瘍性大腸炎は食事制限をした方が良い病気であることを知りました。食事についての不安を相談したところ、管理栄養士の栄養指導を受けることを勧められました。脂質を1日30gに抑えるように言われ、その時やっと、自分がこれから何をしていけばいいのかの指針ができました。私にとって「食の大転換期」となりました。

これ以来、一緒に暮らしている家族とは、同じ料理を食べる時もありますが、自分のものは自分で作って食べるようになりました。

また、治療においては、リアルダを服用するようになり、定期的な受診も欠かさないようになりました。

「オンライン」のメリットを生かして

――診断後や再燃後、レッスン活動は続けられましたか?

オンラインレッスンは7年前から継続して取り組んでおり、当時から自分の都合に合わせてレッスンスケジュールを入れられる仕組みでした。体調が優れない期間は、レッスンを入れないよう、自分の判断で調整しています。

再燃した今、思うのは、楽器を外に持ち運ぶことなくレッスンができることは私にとってメリットだと感じています。生徒さんへの文章でのフィードバックも、ゆっくり落ち着いて行えるので、助かっています。ただ、対面ではないので、生徒さんと合奏することができないのは残念ですね。いつかは生徒さんと合奏ができたらいいな。

――体調悪化とコロナ、ダブルの制限があるなかで、新たに始められたことはありますか?

ライブ活動が激減してしまい、それまでアーティストや音楽関係者同士で横のつながりがあったものが、つながりづらくなってしまいました。そこで2022年から新たに「stand.fm」を利用してパーソナリティとして、さまざまなジャンルのアーティストをゲストに招いてトークする音声配信を始めました。人と話をしたり交流をするのが大好きなんです。stand.fmは、録音をして公開することが可能なので、自分の体調に合わせてタイミングを決められるというのも助かっています。

今年に入って再び再燃したのですが、体力の低下が著しかったので、家の中で歌をうたって投稿することも始めました。どんな状況下でも、音楽で人とつながることを楽しみながら暮らしていきたいと感じています。

「自ら発信すること」を恐れないで

――コロナ流行と共に始まった潰瘍性大腸炎の治療ですが、今振り返って思うことはありますか?

まさか自分がこんなことになるなんて…と、気持ちが不安定になったり、身構えて反抗的になったり、悩みました。同居する家族は私に気を遣って「何食べたい?」と聞いてくれるのに、うまく状況を伝えられなくて。自分では、なんとかしたい気持ちがあっても、食欲や食べたい時間をコントロールできないことがありました。そういう時はなかなか辛かったですね。でも、ふさぎ込んでいても何も変わらないですよね。

だから、IBDに関するいろいろな情報を、前向きに受け取っていきたいなと思っています。インターネットやSNSで調べると、知りたい情報だけでなく、目にしたくない情報も出てくるとは思いますが、リアルでつながることが難しい期間が続いていましたので、オンラインでのつながりや、そこで得る情報は大事だと感じています。

――同じIBDの患者さんに伝えたいことはありますか?

私にとって、オンラインで得たIBDに関する情報はすごく貴重なものとなりました。私は自らが発信者だからこそ、自分の情報が誰かの役に立つと信じて、これからも発信を続けていきたいと思います。

IBDは見た目にはわかりにくい病気です。皆さんの、自身の思いや経験を発信することが、誰かの励みになるかもしれません。

Twitterでいろいろなことを発信していますので、ぜひご覧ください!

(IBDプラス編集部)

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