からだを第一に考えて働きたい―雇用形態にとらわれない柔軟な働き方とは?

仕事・はたらく2020/8/11

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うきうきさん

今回の「仕事・はたらく」でご紹介するIBD患者さんは、クリニックの看護助手として活躍する潰瘍性大腸炎患者さんのうきうきさんです。うきうきさんは、これまでにさまざまな職種、雇用形態を経験され、潰瘍性大腸炎の発症をきっかけに「人の健康を支える仕事」に挑戦することを決意。ハローワークの職業訓練で介護福祉士実務者研修の養成講座を修了した後、クリニックの看護助手として働いています。

夢を叶えた一方で、体調面では度重なる再燃を経験。病気を抱えて働き続けるためには、いざというときに体調を優先できる環境で働くことが大切だと実感したそうです。そのため、今年の冬頃に転職することを検討しているという、うきうきさん。これまでのご経験はもちろん、さまざまな職種、雇用形態を経験されたうきうきさんが次に目指す働き方について、詳しくお話を伺いました。

うきうきさん(33歳・女性/潰瘍性大腸炎歴5年)

スポーツインストラクター、不動産会社での営業事務、コールセンター業務などさまざまな職種、雇用形態を経験。28歳の頃、出版社での編集補助業務に携わる中、潰瘍性大腸炎を発症した。出版社を契約満期で退職後、スポーツインストラクターのような「人の健康を支える仕事」に再度挑戦したいと考え、ハローワークでの職業訓練で介護福祉士実務者研修の養成講座を受講。現在は、クリニックの看護助手として活躍している。一方で、クリニックの看護助手として働きはじめてからは、再燃により入院も複数回経験した。そのため、体調を優先できるような働き方を模索している。

出版社勤務で多忙な日々を送っている最中、潰瘍性大腸炎を発症

――潰瘍性大腸炎を発症されたときのことについて、お聞かせください。

うきうきさん: 2015年2月、腹痛の症状が現れ始めました。しかし、子どもの頃から、お腹が冷えると腹痛の症状が現れることがあったので、「寒い時期だから、お腹が痛いのかな…?」と、あまり気にとめていなかったんです。また、当時はアルバイトで出版社に勤務していた時期で、多忙な日々を送っていました。この頃は、昼夜問わず働いていたため常に寝不足で、不規則な生活を送っており、さらに職場の人間関係にも気を遣い…と、正直、自分のからだのことを気にする余裕が無かったようにも思います。

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3月になると、下痢の頻度が高くなり、息切れや動悸、めまいといった症状も生じるようになりました。しかし、3~4月頃は特に仕事が忙しい時期だったこともあり、やっと近所の総合病院に行くことができたのは5月に入ってからでした。そこで内視鏡検査を受け、医師から「潰瘍性大腸炎の可能性がある」と説明を受けたんです。その後、IBD外来のある別の総合病院を紹介されて、そこで確定診断を受け、入院して治療を受けることになりました。

――診断を受けた時は、どのようなお気持ちでしたか?

うきうきさん: 「面倒な病気になってしまった…!」というのが、正直な感想でした(笑)。当時は、潰瘍性大腸炎のことを全く知らなかったので、「胃潰瘍の腸バージョンの病気かな?」くらいにしか考えていなかったですね。また、医師から潰瘍性大腸炎に関する説明を受けても、難しくてちゃんと理解することができなくて…。自分の腸の画像を見せられて、「炎症が起こっていますよ」と説明を受けても、あまり実感が湧かなかったように思います。

いま振り返ってみると、病気に対する不安よりも、両親を悲しませないために「潰瘍性大腸炎のこと、どんな風に説明しようか…」ということで頭がいっぱいでしたね。

――潰瘍性大腸炎とわかり、ご家族の反応はいかがでしたか?

うきうきさん: 診断を受けた直後は悲しんでいましたが、いまは前向きにサポートしてくれています。特に、再燃時などで体調が優れないときは、低脂質な食事を準備してくれたり、外出時もサポートしてくれたりするなど、家族には本当に感謝しています。そのおかげで、いまの生活を維持できていると思う部分もあるので、「自分も家族の支えになりたい」という気持ちが仕事のモチベーションのひとつにもなっています。

「人の健康を支える仕事」に就くためハローワークの職業訓練を活用し、看護助手の道へ

――その後、ハローワークの職業訓練で、介護福祉士実務者研修の養成講座受講を決意されたんですよね。新しい職種に挑戦しようと考えられたのはなぜですか?

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うきうきさん: 一度は諦めたスポーツインストラクターの仕事のように、「人の健康を支える仕事をしたい」と考えるようになったからです。実は、スポーツインストラクター養成の専門学校を卒業し、3年ほどスポーツインストラクターとして働いていたことがあるんです。主に、スポーツクラブの会員さん向けに運動指導や資料作りなどを行っていましたが、店舗縮小や身内の死などさまざまなことが重なり、退職したんです。そこからは、「経済的に余裕を持ちたい」という一心で、営業事務、コールセンターのオペレーターなど、さまざまな仕事に就いてきました。ただ、自分が潰瘍性大腸炎になったこともあり、誰かの健康を支えたいという思いが次第に強くなっていきました。そこで、介護福祉士実務者研修の養成講座を受講することを決意したんです。

養成講座では、高齢者福祉などの勉強はもちろん、おむつ交換といった実技も学び、施設研修などを経て介護施設や医療施設で働くための知識や技術を身につけました。そして、無事に講座を修了しました。

――講座受講の際に、印象的だった出来事はありますか?

うきうきさん: 「病気のことを相手に正直に伝えることで解決する問題もあるんだ」と、学んだ出来事がありました。当時、私は授業中にトイレへ行くために何度も離席しており、養成講座の講師から「やる気のない生徒だ」と誤解されていました。その講師には、潰瘍性大腸炎のことを伝えていなかったんです。しかし、勇気を出して病気のことを伝えたところ、事情を理解してくださり、席をトイレに近い場所に移動してくれるなど、さまざまな配慮をしてくださるようになりました。病気のことを伝えるって、決して簡単なことではないと思います。ただ、この件については、病気のことを正直に伝えたことで問題解決ができたので、伝えて本当に良かったと感じました。

いま振り返ってみると、年齢やこれまでの職歴もさまざまな受講生たちとともに、「介護福祉士実務者研修」という資格の取得や再就職のために努力した経験は、とても貴重だったと思います。

――そして、見事「看護助手」としてクリニックに採用されたんですよね。いまのお仕事をする中で、症状が悪化しないように気を付けていることはありますか?

うきうきさん: 野菜中心のお弁当を持参する、寒さ対策で厚着するなどして、からだに負担をかけないように心がけています。また、精神的な面では、人間関係の悩みについては上司に相談するなどして一人で抱えないようにする、仕事量が多いと感じたときは周りに助けを求めるようにするなどして、ストレスを溜めないように工夫しています。

クリニックの看護助手の仕事では、患者さんとの関わりの中での感じるやりがいがとても大きいです。一方で、体力勝負の仕事がほとんどなので、疲労を溜めないようにすることが大切ですね。

度重なる再燃…からだのことを考え、新たな働き方を模索中

――現在、転職を検討されている理由について、教えてください。

うきうきさん: 「いざというときに、自分のからだのことを優先できる職場で働きたい」と考えたためです。私は、いまの職場で看護助手として働いて4年目になりますが、2度の再燃によって、それぞれ1か月程度の入院を経験しました。いま務めているクリニック側には、転職活動の面接時に「潰瘍性大腸炎を患っていること」「定期的な通院が必要なこと」「再燃時には入院の可能性があること」を伝えており、病気について理解していただいています。しかし、入院で2度も休んだ上、これ以上休んで職場に迷惑をかけるわけにはいかないと感じ、転職を決意したんです。

また、現在の職場は、同僚の退職などもあり、体調が優れない日であっても多少は無理して働かないといけない環境です。もちろん、仕事中に自分の行きたいタイミングでトイレに行くこともできません。こういったさまざまな事情から、いまの職場で働き続けることは難しいと考えました。

実はいま、3度目の再燃中なんです。今年の5月頃に、体調を崩したことをきっかけに再燃しました。1日5回程度の下血、腹痛、悪寒、吐き気などの症状が現れていますが、職場には伝えずに働いています。主治医にも相談し、入院せずに通院で治療を受けているので、なんとか職場にも迷惑をかけずに働くことができています…。今年の冬から退職金制度を利用できるようになるので、そのタイミングで転職できるように、いまから準備をしているという状況ですね。

――転職活動の際に、潰瘍性大腸炎に関連してどのような点を事前に確認したいですか?

うきうきさん: 体調に関わる部分では、自分の行きたいタイミングでトイレにいけるか、気軽に有給を取得できるかということは確認したいですね。また、IBDなど難病の患者さんの受け入れ実績があるかどうかという部分も気になります。その他、求人情報では、災害時などに徒歩で帰宅出来る距離か、入院時に自分がいなくても業務が回る従業員数か、などを確認するようにしています。

――これまでにさまざまな職種や雇用形態を経験されてきたご経験を踏まえて、次は、どのような仕事に挑戦されたいですか?

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うきうきさん: 正社員や契約社員といった雇用形態よりも、「急に具合が悪くなった時に休みを取れる職場環境であること」を優先したいと考えています。私の場合は、今後また再燃して入院する可能性があり、そのタイミングを正確に予測することは難しいので、急に仕事をお休みすることが十分に考えられます。そういった状況になったときに、うまく連携をとってお休みをとれる職場環境で仕事をしたいですね。このような条件がクリアされた職場で、可能であれば看護助手のような、人の健康を支える仕事に引き続き携わりたいと思っています。

また、潰瘍性大腸炎のことは、入社前、できれば転職活動の面接時に、こちらからお話ししたいと考えています。今後も定期的な通院が必要になるので、病気のことを理解していただいたうえで採用していただけたらうれしいですね。

――最後に、IBD患者さんにメッセージをお願いします。

うきうきさん: Twitterを通じて同じIBD患者さんたちとつながるようになってから、以前よりも視野が広がったと感じています。これまでは、病気を理由に苦しい思いをしたことも多くありました。でも、IBD患者さんたちとつながることができたおかげで、さまざまな情報を知ることができ、以前よりも前向きに病気と向き合えるようになった気がします。だから、自分の経験もひとつの情報として、他のIBD患者さんに知ってもらえたらうれしいです。

最後に、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響もあり、働き方の概念が少しずつ変化しています。こうした変化が、多くのIBD患者さんたちの働きやすさにつながっていくことを心から願っています。

(IBDプラス編集部)

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