イムラン、アザニン(一般名:アザチオプリン)
クローン病の治療で使用する主なお薬一覧 | 2018/5/15 更新
クローン病は、非特異性腸炎の一種として分類されています。潰瘍性大腸炎とは異なり、大腸だけではなく、小腸にも炎症が起きるのが特徴です。その原因は不明ですが、免疫反応が過剰に働き、腸の壁に炎症を起こすと考えられています。このお薬はIBDに適用する免疫調節薬です。免疫の働きを抑えることで腸の炎症をしずめます。炎症がしずまることで、下痢や腹痛もしだいにおさまっていきます。治療効果はゆるやかにあらわれますので、症状が中等度の場合や炎症が持続している場合に使用されることが多いです。また、手術後の再燃予防としても使われます。
監修者:薬剤師 小坂信夫
効能・効果
アザチオプリンは体内で6-メルカプトプリンという物質に変わり、免疫を担当するリンパ球の合成を阻害します。最終的に6-メルカプトプリンがさらにさまざまな酵素により分解され、その分解された有効成分が炎症を抑えると考えられています。標準治療薬のメサラジンやステロイド薬で効果が不十分な場合、あるいはステロイド薬の減量を目的として使用します。また、そのような症例における長期維持療法にも有用です。
イムラン、アザニンについて
どちらも先発医薬品で、商品名は異なりますが、有効成分は同じです。
使用上の注意
- 決められた飲み方を必ず守ってください。
- 遅効性で、効果の発現に2か月以上かかることがありますので、根気よく服用を継続してください。
- 腎機能や肝機能が低下している方、出血素因のある方は副作用が強く出ることがありますので、必ず医師や薬剤師にお伝えください。
- 感染症、出血傾向があらわれる可能性があるため、使用後の体調の変化にご注意ください。
併用注意
以下のような薬と併用する際には、医師・薬剤師にご相談ください。
- 痛風治療薬のアロプリノール
- 抗凝固薬のワルファリンカリウム
- 不活化ワクチン(B型肝炎ワクチン、インフルエンザワクチンなど)
- 細胞障害または骨髄抑制作用のある薬剤(ペニシラミンなど)
- 高血圧症治療薬のカプトプリルおよびエナラプリル
- クローン病治療薬のメサラジンおよびサラゾスルファピリジンなど
- 抗ウイルス薬のリバビリン
- 免疫抑制剤のメトトレキサート
用法・用量
【イムラン50mg錠/アザニン50mg錠】
通常、成人及び小児には、1日量としてアザチオプリン1~2mg/kg相当量(通常、成人には50~100mg)を服用します。
副作用
発疹、食欲不振、吐き気、下痢、発熱、悪寒、脱毛、口内炎などがあります。重篤な副作用はほとんどみられませんが、下記に[ ]で示した疾患を引き起こす可能性があります。体調の変化を感じた場合はすぐに医療機関を受診し、使用している薬剤名を医師に伝えて指示をあおいでください。
- 発熱、喉の痛み、口内炎、倦怠感、皮下出血や鼻血・歯肉出血など出血傾向[血液障害]
- ショック様症状(悪寒、戦慄、血圧降下など)
- 倦怠感、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色になる[肝機能障害、黄疸]
- リンパ節の腫れ、発熱、食欲不振、体重減少、出血傾向、皮膚にできもの、ホクロの異常[悪性新生物]
- 発熱、倦怠感、のどの痛み、咳や痰、息苦しさ、嘔吐、下痢、皮膚がピリピリ痛い、皮膚の発赤・水ぶくれ・できもの[感染症]
- から咳、息苦しさ、少し動くだけで息切れ、発熱[間質性肺炎]
- 重度の下痢
- 頭痛、もの忘れ、ボーッとする、歩行時のふらつき、手足のしびれ・まひ、うまく話せない、動作がにぶる、けいれん、二重に見える、見えにくい[進行性多巣性白質脳症]
コラム
お薬は「有効成分からできている薬物」と、「体内へ吸収された後、代謝されて有効成分に変わり、効果を発揮する薬物(プロドラッグ)」の2種類があります。アザチオプリンはプロドラッグです。有効成分をそのまま薬物として投与すると、体内で分解されて効果が弱くなる場合や、効果の持続時間が短くなる場合がありますが、プロドラッグは、これらを回避したり、有効成分の副作用を軽減したりするために工夫された薬剤です。
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