ラコールNF(たん白アミノ酸製剤)
潰瘍性大腸炎の治療で使用する主なお薬一覧 | 2019/2/27
潰瘍性大腸炎は大腸粘膜で原因不明の炎症が起こる疾患で、強い腹痛や血便などの症状が出る活動期と、病気の症状がおさまる寛解を繰り返します。症状がとても強い時には点滴などで栄養補給をすることが多いのですが、症状がおさまってきた後に、消化管に負担をかけずに栄養を補うため、ラコールNF配合経腸用液(以下ラコール)が処方されることがあります。ラコールは、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、微量元素をバランス良く配合した半消化態の経腸栄養剤です。
監修者:薬剤師 谷本かおり
効能・効果
栄養成分をバランスよく含む半消化態の経腸栄養剤です。長期にわたり食事が十分に摂れない場合や、手術後の栄養補給に使用されます。
ラコールの特徴
基本的には経口摂取ですが、それが難しい場合はチューブを通し、鼻の穴(経鼻)または胃や腸に開けた穴(胃瘻、腸瘻)から消化管に注入します。タンパク質は、日本人の食事のパターンにあわせて植物性タンパク質(大豆由来)が多めに配合されているほか、牛乳の成分であるタンパク質も含まれています。脂肪はn-3系脂肪酸 (α‐リノレン酸)を多く含有するシソ油を配合。n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸を1:3の割合に配合されています。現在、脂肪の種類によって腸への刺激や、炎症を引き起こす作用に違いがあると考えられていますが、ラコールは刺激をなるべく抑えながら、必要な脂質をとることができるように作られています。また、タンパク質や脂質を含むので消化する力が必要で、わずかですが、残りかす(便)も出ます。味は改良されて飲みやすくなっており、ミルク、コーヒー、バナナ、コーン、抹茶のフレーバー(2019年2月現在)があります。
※ラコールNFには半固形剤もありますが、胃瘻の場合のみ使用できます。
使用上の注意
- 調整方法や使用方法、注意点などについてよく説明を受けてください。
- 開封直前によく振ってください。
- 開封後はできるだけ早めに使い切ってください。やむを得ず冷蔵庫に保存する場合でも、24時間以内に使い切ってください。
- 一度に速いスピードで飲んでしまうと、下痢や腹痛を起こすことがあります。
- 過去に薬でアレルギー症状が出たことがある方、牛乳タンパクアレルギーがある方、腸管閉塞、肝・腎障害、糖尿病などの糖代謝異常、先天性アミノ酸代謝異常のある方、妊娠、授乳中の方、他に服用中の薬のある方は、使用前に医師と薬剤師に伝えてください。
用法・用量
【内服する場合】1日1,200~2,000mL(1,200~2,000kcal)を1回または数回に分けて服用します。
【チューブを使用して注入する場合】標準量として、成人は1日1,200~2,000mL(1,200~2,000kcal)を1時間に75〜125mLの速さで1日12〜24時間かけて注入しますが、注入量や濃度、注入速度は必ず医師の指示に従ってください。一般的には少量で開始し、徐々に増量していきます。使用量は年齢・体重・症状に応じて適宜増減されます。医師の指示を守り、自分の判断で変更したり中止したりしないでください。
副作用
比較的起こりやすいのは下痢で、そのほかには、お腹の張り、腹痛、吐き気などがあります。このような症状に気づいたら、医師や薬剤師に相談してください。
まれに下記のような症状があらわれますが、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。このような場合は使用を中止し、すぐに医師の診療を受けてください。
- 意識が薄れる、呼吸しにくい、吐き気、蕁麻疹 [ショック、アナフィラキシー様症]
コラム
ラコールは、患者さんが飲みやすいように5種類のフレーバー(2019年2月現在)があります。そのうちコーヒーと抹茶フレーバーには、わずかですがカフェインが含まれています。その量は、コーヒーフレーバーで1袋(200mL)に0.2mg、抹茶フレーバーで1袋(200mL)に0.7mgです。普通のコーヒー1杯に含まれるカフェインは60~75mgなので、ラコール数百袋で、普通のコーヒー1杯と同じカフェイン量になります。つまり、ラコールのコーヒーフレーバーや抹茶フレーバーを摂取しても、コーヒーを飲んだときのように「目が冴える」「トイレに行きたくなる」といったカフェインの作用は出ないので、安心して飲んでくださいね。
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