潰瘍性大腸炎と麺類【UCと食事のQ&A】
ライフ・はたらく | 2019/5/30
※潰瘍性大腸炎と食事(食材)の関連性は現在もなお不明な点が多く、患者さん個々人の状況によって食べられるもの・食べられないものが大きく異なります。医師や栄養士など専門家によく相談して、摂取の可否を判断しましょう。
うどんやそばなど、古くから日本で愛されてきた麺類に加え、ラーメン、焼きそば、パスタ、インスタント麺、カップ麺、最近はベトナムのフォーや韓国の冷麺など、世界各国の麺類が気軽に食べられるようになってきました。手軽でおいしく、リーズナブルな麺類ですが、潰瘍性大腸炎の人が食べる際には、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか?
監修者プロフィール
管理栄養士・スポーツ栄養専門士(公認スポーツ栄養士取得予定)
優生
自身もIBD患者である病院栄養士。予防医療の普及や女性や子供の健康のために活動する、Luvtelli東京&New York公認カウンセラーとしても活動。得意分野はスポーツ栄養と予防栄養。Instagram:https://www.instagram.com/you.neeeee07
Amebaブログ:http://s.ameblo.jp/yu-ki-lifewith
1. こってり系のラーメンやカップ麺は大丈夫?
炎症性腸疾患の人が食事指導で「脂質を一度に多く摂り過ぎないように」と指導されるのは、腸管が刺激され、腹痛や下痢を招く恐れがあるからです。
麺類の中で脂質が多いものといえば、ラーメンでしょう。特にスープを鶏ガラや豚骨をベースにしているものは脂質が多くなりがちです。スープまで飲み干せば、かなりの量の脂質を摂ることになってしまいます。特に、最近人気の高い「背脂」を使ったこってり系のラーメンには要注意です。最近では、魚介ベースのものやシンプルな醤油・塩ベースで脂質が抑えられているスープもあるので、メニューを選ぶ際の参考にしてください。ヘルシーさを売りにしているお店を選ぶのも良いかもしれませんね。ただし、あっさり系でも辛さをウリにしたラーメンは、腸に刺激を与えるので避けましょう。また、一説では麺のコシや風味を出すために使われる「かんすい」という食品添加物が下痢を引き起こすとも言われていますが、真偽のほどは定かではありません。
カップ麺も脂質が多く、食品添加物も含まれているので、同じく注意が必要です。ラーメン以外も、焼きそばやエスニック系の麺類などは脂質が多かったり、スパイスが腸への刺激になったりする可能性があるので気を付けましょう。
2.パスタを食べるときのポイントは?
パスタ(スパゲッティ)そのものは、安全とも注意が必要ともいえない食材です。一般的に「やや硬めのアルデンテがおいしい」とされていますが、潰瘍性大腸炎の人は、やや柔らかめに茹でたほうが、消化がよく安心です。
また、パスタソースでの脂質の摂り過ぎにも注意してください。バターや生クリームを使ったクリーム系のソースやミートソースより、魚介類や鶏肉、野菜やきのこを具にしたトマトソース系 がおすすめです。トマトには、リコピンという抗酸化物質(炎症を抑えることが期待されています)も含まれています。また、和風系のパスタ・オイル少なめのスープパスタ(トマトベース・和風ベース)も良いでしょう。オイルを使わないと麺同士がくっついてしまい、調理しにくいうえに美味しさも半減してしまいますが、スープパスタにすれば、オイル少なめでも麺がくっつきませんし、消化のために多少柔らかく茹でても美味しく、食べやすいというメリットもあります。
3.うどんはOKでも、そばはNG?
うどんやそうめんは消化がよいので、比較的安心して食べられます。ビーフンも、お米が原料で高カロリーですが、一般的に野菜などと一緒に油で炒めて食べることが多いと思います。炒めて食べる場合にはフッ素樹脂加工のフライパンを使うなどして、使う油の量を少なくする工夫をしましょう。
そばは不溶性の食物繊維が多いため、「注意が必要」と指導される場合があります。しかし、最近では「食物繊維はある程度は食べたほうがよい」と言われるようになってきました。また、そばにはビタミンB群やビタミンE、タンパク質など、潰瘍性大腸炎にとって良いとされる栄養素であるルチンやカテキンなどの抗酸化物質が含まれています 。消化を良くするためにも、よく噛むことを意識し、そばの香りを楽しみながら食べましょう。
4.食事制限を続けるコツは?
日頃から、食べると体調が悪化するものを把握しておくことが大切です。そして、麺類を食べるときは、以下のことを意識して調理したり、食べたりするようにしましょう。
- よく噛んで食べる
- 柔らかめに茹でる(お腹の調子に合わせて美味しいゆで加減を優先しても良い)
- 脂質控えめのスープやソースとあわせる
食事制限は大事ですが、「あれもこれも食べられない」と、神経質になりすぎると、そのストレスで再燃したり、症状が悪化したりするというリスクもあります。自分にとってベストな量や食べ方を、楽しみながら見つけていきましょう。「食べない」ではなく、「食べ方を工夫する」と、食事制限も長続きします。
(ライター:植田晴美)
- 参考文献
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- 松本誉之、斉藤慶子ほか:潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事, 女子栄養大学出版部, 2003
- 田中可奈子、酒井英樹ほか:クローン病・潰瘍性大腸炎の安心ごはん, 女子栄養大学出版部, 2014
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