ゼンタコート(一般名:ブデソニド)
クローン病の治療で使用する主なお薬一覧 | 2018/5/21 更新
ブデソニドは、ステロイド(副腎皮質ホルモン)の一種です。ステロイドには炎症を抑える強い作用があります。このお薬はクローン病治療薬で、小腸および結腸近位部で放出するように設計された腸溶性徐放製剤です。腸内でゆっくり溶け出し、患部に直接作用し抗炎症作用を発揮します。局所作用型なので、一般的なステロイド経口剤に比べ安全性が高くなっています。
監修者:薬剤師 小坂信夫
効能・効果
軽症から中等症の活動期クローン病に対し、寛解導入を目的として使用します。長期的な寛解維持療法には向きません。メサラジン製剤で十分な寛解導入効果が得られない場合、あるいは回腸または上行結腸に病変がある場合に推奨されています。臨床成績では、主要病変が回腸から回盲部および上行結腸またはそのいずれかに存在する、軽症から中等症の国内の活動期クローン病患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤の寛解率はメサラジンに比べ、劣っていませんでした。
使用上の注意
- 持病(特に、結核性疾患、 感染症、 高血圧症、 糖尿病、 骨粗鬆症、消化性潰瘍、 緑内障、 後嚢白内障、 重度の肝機能障害)やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
- 服用中の薬を医師に伝えてください。
- 妊娠している場合は、事前に医師と相談してください。
- 水痘(水ぼうそう)または麻しん(はしか)に感染しないように注意してください。
- β型肝炎ウイルスキャリアの患者さんに本剤を投与すると、肝炎があらわれることがありますので、医師に相談し、定期的な検査を受けてください。
- 中止する場合は、時間をかけて徐々に減量する必要がありますので、自分の判断で急にやめないでください。
- 服用中、中止時にいつもと違う症状があらわれたら、受診してください。
併用注意
他薬との併用によっては、この薬の血中濃度が上昇し、ステロイド薬を全身投与した場合と同様の副作用があらわれる可能性があります。以下のような薬を併用して使用する際には、医師・薬剤師に相談しながら指示をあおいでください。
- マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッドなど)
- アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール など)
- 抗エイズウイルス薬のうちのプロテアーゼ阻害薬(ノービア、カレトラ、レイアタッツ、プリジスタ、レクシヴァ、スタリビルド など)
- 薬ではありませんが、グレープフルーツにも同様の性質があるのでご注意ください。
用法・用量
【ゼンタコート3mgカプセル】
通常、成人にはブデソニドとして9mgを1日1回朝経口投与します。本剤投与中は患者さんの病態を十分観察し、投与開始8週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないようにします。本剤を中止する場合は、用量を徐々に減量します。
副作用
主なものとしては、ざ瘡(にきびや吹き出物ができ、肌が荒れたりします)、便秘、肝機能異常があります。局所作用型なので、一般的な経口ステロイド薬に比べ副作用は少なく、重篤な副作用は報告されていません。その他の副作用は、以下のものです。
- ざ瘡、発疹
- 脂肪の異常沈着(顔がふっくらする、肩やおなかが太る)
- 生理不順
- 吐き気、消化不良、便秘
- いらいら感、神経過敏、不眠
- 肝機能異常、低カリウム血症
コラム
グレープフルーツの果肉に含まれる成分には、肝臓での薬物代謝を阻害して、薬物の血中濃度を上昇させる作用があります。その結果として薬が効きすぎ、頭痛、めまい、頻脈(心拍数が増える)などの症状を引き起こすことがあります。なお、オレンジ、レモン、みかんではその作用は低いとされています。高血圧治療薬(カルシウム拮抗薬)などのお薬を服用している場合には、グレープフルーツジュースの飲用は避けてください。
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