【開催レポート】「I know IBDプロジェクト」メディア向けオンライン記者発表会 5月17日

月別のイベント2022/5/31 更新

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IBD患者さんの外出時の不安解消を目指して、協力企業がトイレを貸し出し

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アッヴィ合同会社は5月17日、「I know IBDプロジェクト メディア向けオンライン記者発表会」を開催。北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター 特別顧問の日比紀文先生、NPO法人IBD ネットワークの岡島靖幸さん、株式会社Lond代表取締役の石田吉信さんが登壇されました。

「「I know IBDプロジェクト」とは、社会が気づいていないIBD患者さんを取り巻くさまざまな課題を明らかにし、解消に取り組み、IBDを正しく理解する人を増やすことで、社会全体のIBDという疾患理解を高めることを目的としているそう。今回のプロジェクトでは、IBD患者さんの日常生活に影響する「見えない壁」の1つである「外出時のトイレ」の不安解消に取り組みます。

過去に同社が行った患者調査では「IBDの症状の困りごと」として、半数近くが「トイレの回数が多いこと」と回答。さらに、IBDプラスが調査した「IBD白書2020」でも、6割以上が「トイレの場所を常にチェックしている」と回答していました。

同プロジェクトでは、さまざまな企業や店舗の協力を得ることで、社会全体でのIBDの理解向上を目指していくとしています。

IBDすでに全国でヘアサロンを展開する株式会社Londをはじめ、ハイアットリージェンシー東京、トモエ薬局(一部店舗)などが同プロジェクトに賛同し、目印となるステッカーを施設・店舗内に掲出し、トイレの貸し出しを行うそうです。

外見からはわからないため「トイレを貸してください」と、言い出しにくい

記者発表会では、最初に日比先生が医師の視点でIBDの現状についてご講演されました。IBDは近年、患者数が増え、潰瘍性大腸炎の患者数は米国に次いで2番目に多いそうです。また、これまでは潰瘍性大腸炎とクローン病がほとんど同じ病気として扱われてきましたが、徐々に病態が異なることが明らかにされてきました。いずれも腸の病気ですが、下痢、軟便、血便、さらには、おなかに留まらず倦怠感などの全身症状にも悩まされます。

日比先生は「腸の病気と言われるが、実際には全身症状もある。しかし、外見からは全くわからないため、理解されにくい。私たちもこれまでいろいろな研究を行ってきたし、最近では良い薬も登場した。しかし、いまだに根本治療はない。そのため、できるだけ早く寛解導入し、その状態を維持しながら健康な人と同じ生活ができる人を増やしていくことが大切だ」と、述べました。

次に、岡島さんがご講演されました。岡島さんは27歳の時に潰瘍性大腸炎と診断され、病歴は26年。発症後、再燃を繰り返し毎年入院。その後、大腸全摘術を受け、ストーマを造設されたそうです。現在は公務員として働きながら、富山IBDの事務局やIBDネットワークの役員として活動し、患者さん支援やIBDに関する発信をされています。

まず、トイレの不安はあるかとの質問に対し、「不安しかないです」と回答。映画に行きたい、コンビニに行きたいと思っても、常に頭には「トイレがどこにあるか?」という不安とストレスが付きまとうと言います。一方で、「IBD=トイレではない。IBD患者さんが困っていることの1つだと理解して欲しい」と述べました。その上で、「外見からはわからないため、特に若い人は、トイレを貸してくださいと言い出しにくい。外出時の不安が解消される同プロジェクトに期待を寄せている」と締めくくりました。

続いて、石田さんがご講演されました。美容室業界は離職率が高いと言われているそうですが、同社は「与える側が豊かでなければ素晴らしい価値は提供できない」という想いから、経済的豊かさとやりがいを追求し、海外にも進出。近年は、会社をあげての地域ボランティア活動や、再生紙の利用、再生可能エネルギーへの切り替え、シャンプーの量り売りなどに取り組んでいるそうです。そのような取り組みの一環として、お客さまへのIBDの教育に取り組み、IBD患者さんへのトイレ貸し出しを実施していくことに決めたそうです。「髪を整えるだけではない、美容室の新しい価値創造としてプロジェクトに参加していきたいと思う」と述べました。

IBDの「社会的認知度向上」と「正しい理解」のために

最後に行われた質疑応答の内容も一部ご紹介します。

Q:患者さんは日常でどのような悩みを抱えているのか?

日比先生:寛解して炎症がなくなっても、おなかが鳴る、張る、便意があってトイレに頻繁に行くなど、全く普通に見えていても苦しんでいる人がいるのではないかと思う。

岡島さん:特に職場ではトイレの問題が大きい。「アイツ、またトイレに行った。サボってるんじゃないか?」などと言われ、退職に追い込まれた人もいる。また、食事に関しても、トイレの回数を減らそうと食べなかったり、食べる量を減らしたりすると「何で食べないの?」などと聞かれてしまうので厄介だ。

Q:近年、次々と新しい治療薬が登場しており、またオンライン診療やアプリの活用など、診療スタイルも変わりつつある。今後、IBD治療はどのように変わっていくのか?

日比先生:いろいろな薬剤が出てきているが、作用機序がそれぞれ異なる。しかし、根本治療に関してはどこまで進展するか、先がまだ見えず、これからの課題だと考える。既存薬で多くの人が普通の生活を送れるようにしなければならないと考える。

同社イミュノロジー事業本部三上事業本部長の「社会全体で「I know IBD」と言える世の中に変えていきたい」という言葉がとても印象的でした。IBDプラスもメディアを通じて、IBDの社会的認知度向上と正しい理解のために頑張っていきたいと思います。

(IBDプラス編集部)

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