潰瘍性大腸炎と飲み物【UCと食事のQ&A】
ライフ・はたらく | 2019/5/27
※潰瘍性大腸炎と食事(食材)の関連性は現在もなお不明な点が多く、緩解期か活動期か、手術の経験があるかないか患者さん個々人の状況によって食べられるもの・食べられないものが大きく異なります。医師や栄養士など専門家によく相談して、摂取の可否を判断しましょう。
潰瘍性大腸炎の特に活動期では下痢で水分や電解質を失いやすくなっていますので、水分不足にならないよう注意が必要です。ただし、一度に大量の水分を摂取すると腸の動きが活発になって下痢をしてしまうことも…。水分はこまめに少しずつ、ゆっくり摂ることが大切です。寛解期でも、腸に刺激を与える飲み物は避けたほうが安心です。
監修者プロフィール
管理栄養士・スポーツ栄養専門士(公認スポーツ栄養士取得予定)
優生
自身もIBD患者である病院栄養士。予防医療の普及や女性や子供の健康のために活動する、Luvtelli東京&New York公認カウンセラーとしても活動。得意分野はスポーツ栄養と予防栄養。Instagram:https://www.instagram.com/you.neeeee07
Amebaブログ:http://s.ameblo.jp/yu-ki-lifewith
1. 下痢をしているときにおすすめの飲み物は ?
食事がとれないほどの下痢をしているときは、応急処置として、経口補水液をゆっくりと飲み、早めに受診する必要があります。熱があったり、排便回数が多かったりして、食事の量も少ない時には、スポーツドリンクで、エネルギーやミネラルも一緒に補給するようにします。また、水分とあわせて塩分やカリウムも補給した方がよいので、果汁やみそ汁、野菜スープの上澄み、薄めのこんぶ茶・梅こんぶ茶などがおすすめです。
食べたもの、飲んだものの種類によってお腹が緩くなりやすい人は、毎日の水分補給として、白湯やカフェインを含まない温かいお茶を選択することをおすすめします。
市販の飲み物であれば、スポーツドリンク、トマトジュース(食塩入りのもの)、りんごジュース、野菜ジュースなども水分・塩分・カリウムが同時にとれるので、下痢のときは特におすすめです。ただし、スポーツドリンクは胃腸に負担がかりにくい反面、カロリーも高いので、普段からたくさん飲むのは控えた方がよいでしょう。りんごジュースは腸への刺激が少ない果汁ですが、レモン、みかん、グレープフルーツなどの柑橘類は、腸への刺激になることがありますので注意してください。
2.カフェなどで注文する際のポイントは?
寛解期であっても、冷たい飲物などに敏感な方は、普段から常温の飲物を飲むようにしておくと安心です。カフェなどで冷たい飲物を注文する場合には「氷なし」で注文しましょう。
ペリエ、コーラ、ジンジャーエールなどの炭酸飲料も腸管を刺激するので、体調が悪いときは避けましょう。甘味料やオリゴ糖の入った飲み物も、大量に飲むと下痢をすることがあるので、気を付けてください。
緑茶、番茶、紅茶などに含まれるタンニンには、整腸作用があると言われています。紅茶、ウーロン茶、日本茶 、番茶、ほうじ茶にはカフェインが含まれていますが、少量なので、あまり神経質になる必要はありません。しかし人によっては、カフェインが刺激になることもあります。特に「玉露入り」などと記載のある緑茶はカフェイン含量が高い可能性があるため、注意してください。心配なときは抽出時間を短くしてもらうなどして、あまり濃くしないで飲みましょう。
3.コーヒーは飲んでも問題ない?
コーヒーには、最近話題の健康成分ポリフェノール(クロロゲン酸)が含まれています。植物が活性酸素から身を守るために作り出す物質がポリフェノールですが、コーヒーにはカフェインよりも多くのポリフェノールが含まれています。ポリフェノールには日本人に多い2型糖尿病や肝疾患、心疾患や脳血管疾患、呼吸器疾患などで死亡するリスクを下げるという疫学調査の結果が報告されています。
しかし、健康効果のあるこのポリフェノールは、腸管を刺激する可能性もあるのです。さらにコーヒーには、紅茶の約2倍のカフェインが含まれています。紅茶かコーヒーか選べるのであれば、紅茶を選んだほうがよいでしょう。もし、コーヒーを飲むのであれば、食後にアメリカンコーヒーなど、あまり濃くないものを楽しむ程度にしましょう。
4.カフェオレやカフェラテは、温めた牛乳を使うこと
カフェオレやカフェラテには牛乳が含まれています。低脂肪乳や無脂肪乳を選択できる場合は、変更をお願いするのもよいと思います。乳脂肪が気になる方や、乳糖不耐症の方は、牛乳の代わりに豆乳を使ったものを注文したり、可能であれば変更してもらうようにしましょう。
(ライター:植田晴美)
- 参考文献
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- 松本誉之、斎藤恵子ほか:潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事, 女子栄養大学出版部, 2003
- 田中可奈子、酒井英樹ほか:クローン病・潰瘍性大腸炎の安心ごはん, 女子栄養大学出版部, 2014
- 石川秀樹」:潰瘍性大腸炎と上手に付き合う本, 三雲社, 2010
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