抗体製剤「duvakitug」、臨床試験で潰瘍性大腸炎とクローン病に対する有効性・安全性を確認
ニュース | 2025/3/13
TL1Aを標的とするモノクローナル抗体製剤
サノフィ株式会社は、潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)を対象に実施されている臨床試験において、モノクローナル抗体製剤「duvakitug」の有効性・安全性を示すデータを公開したと発表しました。
duvakitugは、腫瘍壊死因子(TNF)様リガンド1A(TL1A)の働きを阻害するように設計されたヒトIgG1-λ2モノクローナル抗体製剤。TL1Aは炎症性腸疾患において、炎症を増強し、線維化を促進すると考えられています。
今回発表されたデータは、中等症~重症のUCまたはCDの成人患者さんに対するduvakitugの有効性と安全性、薬物動態、忍容性を検討する第2相試験「RELIEVE UCCD試験」で得られたもの。同試験には、日本を含むアジア各国、米国、欧州、イスラエルの医療施設が参加しました。
試験の対象は、従来治療および/または先端治療(Advanced therapy:AT)を受けたものの、効果不十分・二次無効または不耐がみられた患者さんです。参加者は試験開始前のATの実施状況によって層別化された上で、UCとCDそれぞれでプラセボ群とduvakitug 450mg群、900mg群の3グループに分けられ、隔週の皮下投与を14週間受けました。
UC臨床的寛解率、プラセボ群20%に対し450mg群36%・900mg群48%
14週時点で臨床的寛解(mMSに基づき判定)を達成したUC患者さんの割合は、duvakitug 450mg群では36%、900mg群では48%、プラセボ群では20%でした。また、AT実施の有無に関わらず、duvakitugでは450mg群、900mg群ともにプラセボ群より高い臨床的寛解率が認められました。
それ以外の評価項目における達成率は、臨床的改善(mMS)が450mg群で81%、900mg群で70%、プラセボ群では52%でした。内視鏡的改善(MES)は450mg群45%、900mg群50%、プラセボ群23%、組織学的・内視鏡的粘膜改善(HEMI)では450mg群30%、900mg群33%、プラセボ群16%でした。
CD内視鏡的改善率、プラセボ群13%に対し450mg群26%・900mg群48%
CDでは、内視鏡的改善(SES-CD)を達成した患者さんの割合は、450mg群で26%、900mg群で48%、プラセボ群で13%でした。AT実施の有無で分けた解析でも、duvakitugは450mg群、900mg群ともにプラセボ群より高い内視鏡的改善率を示しました。
内視鏡的寛解(SES-CD)の達成率は450mg群17%、900mg群26%に対し、プラセボ群9%でした。臨床的寛解(CDAI)率については、450mg群50%、900mg群54%、プラセボ群41%でした。臨床的改善の割合は、CDAIによる評価で450mg群61%、900mg群62%、プラセボ群41%、PRO2による評価では450mg群50%、900mg群53%、プラセボ群29%でした。
UC/CDともにduvakitugの安全性に関する新たな懸念はなし
UC/CDどちらの患者さんにおいてもduvakitugの忍容性はおおむね良好で、安全性に関する新たな懸念も認められませんでした。
同社は「今回の試験結果に基づき、第3相プログラムを2025年下半期に開始する見込み」と、述べています。
(IBDプラス編集部)