IBD発症にも関与。腸のオートファジー機構の役割が明らかに
ニュース | 2017/8/25
傷ついた器官を分解するオートファジーと、腸の表面の再生に関わる幹細胞の関係は?
炎症性腸疾患(IBD)の発症への関与も報告されているオートファジー。細胞のなかで変性したタンパク質や、ダメージを受けた小器官を分解する機構です。この機構に異常が起こると、IBDなどさまざまな病気を生じる原因となると報告されています。
腸の表面(上皮)は、腸上皮幹細胞が複製して上皮細胞へ分化することで、2~5日で新しい細胞に入れ替わり、再生します。腸炎などで腸の表面が傷ついた場合も、腸上皮幹細胞が起点となって腸の上皮が再生されますが、腸上皮幹細胞がうまく働かないと、再生が行われません。これまで、腸上皮幹細胞でオートファジーがどのような役割を果たしているのかは、明らかになっていませんでした。
オートファジー機構の欠損で、腸上皮幹細胞が減少
東京医科歯科大学難治疾患研究所・生体防御学の樗木俊聡教授らの研究グループは、腸上皮幹細胞でオートファジーが果たす役割を検討。まずは、腸上皮幹細胞でオートファジー機構が常に活性化していることを複数の指標を使って確認しました。次に、オートファジーを欠損した腸上皮幹細胞をもつ遺伝子改変マウスを作製して調べたところ、正常のマウスに比べてオートファジーを欠損したマウスでは、腸上皮幹細胞の数が少なく、傷ついた腸上皮細胞の再生が正常に起こらないことが確認されました。さらに詳しく調べたところ、オートファジー機構が欠損すると活性酸素種が蓄積することが判明。これによって腸上皮幹細胞が減少すると考えられるとのことです。
腸上皮幹細胞で重要な役割を果たしていることが明らかとなったオートファジー。今後、オートファジー機構を介した治療法の開発につながることが期待されます。
(IBDプラス編集部)
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