食習慣を変えることで「潰瘍性大腸炎」を予防できる可能性
ニュース | 2021/8/4
潰瘍性大腸炎患者さん384人、下痢や腹痛のないIBDではない666人の栄養データを調査
愛媛大学が主導する多施設共同研究「日本潰瘍性大腸炎研究」は、野菜などに含まれる「レチノール」の摂取が、潰瘍性大腸炎発症を予防的であることを示す研究成果を、世界で初めて論文報告しました。
酸化ストレスと潰瘍性大腸炎のいくつかの症状との関連が指摘されています。一方、野菜や果物の摂取が、潰瘍性大腸炎に予防的であることも示されています。しかし、野菜や果物など、「抗酸化物質」の摂取と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を調べた研究は、全世界を見渡しても少ない状況でした。
今回の研究では、参加した症例群(潰瘍性大腸炎患者さん)384人、対照群(下痢や腹痛の症状がなくIBDと診断されていない)666人の栄養データを「半定量食事摂取頻度調査票」という調査票で集めました。
野菜、果物、抗酸化物質の摂取量が低い人から並べ、人数が均等になるよう4グループに分け、統計解析を実施。野菜、果物、抗酸化物質の摂取が最も低いグループを基準とした場合の、他のグループにおける潰瘍性大腸炎のリスクを比較。野菜は「緑黄色野菜」と「その他の野菜」に分けました。抗酸化物質として、ビタミンC、ビタミンE、レチノール、αカロテン、βカロテン、クリプトキサンチンを評価しました。
緑黄色野菜以外の野菜、ビタミンC、レチノール摂取と潰瘍性大腸炎リスク低下に関連性
その結果、「その他の野菜」の摂取が最も少ない群に比較すると、3番目に摂取の少ない群と、最も摂取の多い群で、潰瘍性大腸炎のリスクが低下していました。
「ビタミンC」の摂取が最も少ない群に比較すると、最も摂取の多い群では、潰瘍性大腸炎のリスクが55%低下していました。
「レチノール」の摂取が最も少ない群に比較すると、最も摂取の多い群では、潰瘍性大腸炎のリスクが36%低下していました。
一方、緑黄色野菜、果物摂取、ビタミンE、αカロテン、βカロテン、クリプトキサンチンの摂取は、潰瘍性大腸炎のリスクと関連が見られなかったとしています。
今回の研究成果により、緑黄色野菜以外の野菜、ビタミンC、レチノール摂取と潰瘍性大腸炎リスク低下との関連性が認められました。研究グループは、「今後さらなる研究データの蓄積が必要となるが、食習慣の変容により潰瘍性大腸炎を予防できる可能性を示す、非常に関心の高い研究成果であると言える」と、述べています。
食習慣を変えることで潰瘍性大腸炎を予防できるかもしれないという研究結果でしたが、今後さらに研究が進み、「潰瘍性大腸炎患者さんが積極的に摂取すべき食べ物」が明らかにされることに期待します!
(IBDプラス編集部)
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