ストレスがIBSを引き起こす仕組みを解明、高血圧症治療薬で症状改善

ニュース2018/1/17

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ストレスが主な原因となるIBS、その仕組みとは?

炎症性腸疾患(IBD)に合併することもある過敏性腸症候群(IBS)。腹痛や下痢、便秘を慢性的に繰り返す疾患で、その主な原因はストレスとされています。名古屋大学医学部附属病院の研究グループは、マウスを使った実験で、ストレスがIBSを引き起こす仕組みを明らかにしたと発表しました。

研究グループはこれまでに、マウスを使ってストレスが全身に及ぼす影響を解析し、ストレスが内臓脂肪のなかで血圧を上昇させるホルモン系である「レニン-アンジオテンシン系」を活性化させ、さらに脂肪組織の慢性的な炎症を引き起こし、メタボリックシンドロームと同じような影響を及ぼすことを明らかにしてきました。

ストレスで慢性的な炎症、腸内環境も悪化

今回、研究グループは、ストレスを与えてIBSの病態を再現したマウスを解析。すると、大腸でもレニン-アンジオテンシン系が活性化して、身体に有害な酸化ストレスや、炎症を引き起こす物質「炎症性サイトカイン」が増加していることを確認しました。また、小腸では、ストレスに対処するために重要な「セロトニン」を作り出すアミノ酸の一種「トリプトファン」を吸収する受容体が減少。吸収できなくなったトリプトファンが血液中から減少しただけでなく、トリプトファンを代謝してセロトニンを作るための酵素までもが減少し、血液中のセロトニンも減少していました。さらにストレスは、小腸から分泌される抗菌物質「α-ディフェンシン」も減少させるため、腸内の善玉菌の割合が減り、悪玉菌の割合が増加して、腸内環境を悪化させていることもわかりました。

次に研究グループは、ストレスを与えたこれらのマウスに、高血圧症治療薬「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」を投与しました。すると、ストレスによって活性化していた腸内のレニン-アンジオテンシン系が抑えられ、慢性的な炎症が改善。トリプトファンの吸収やセロトニンの産生、腸内環境が改善することも確認しました。


(画像はプレスリリースより)

研究グループは、これからもストレスが関連する病気の仕組みを解明することを通じて、健康増進に貢献していきたい、としています。

(IBDプラス編集部)

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