短腸症候群治療剤「レベスティブ皮下注用3.8mg」発売

ニュース2021/9/28

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生活の質を低下させ、重篤な合併症や生命予後低下の恐れもあるSBS

武田薬品工業株式会社は8月18日、短腸症候群治療剤「レベスティブ(R)皮下注用3.8mg」(一般名:テデュグルチド(遺伝子組換え)開発コード:TAK-633、以下、レベスティブ)を発売したと発表しました。

同剤は、海外で行われた複数の試験と、国内で小児および成人を対象として実施された臨床第3相試験などの結果をもとに、2020年10月27日に厚生労働省に製造販売承認申請され、2021年6月23日に製造販売承認されました。

短腸症候群(以下、SBS)は、まれで重篤な慢性疾患です。食事から十分な水分や栄養を吸収できないため、生命を維持するために静脈栄養が必要となります。病因は小児と成人で異なり、小児では「壊死性腸炎」と「先天性異常」、成人では「炎症性腸疾患」「腸間膜血管疾患」「術後合併症」が一般的な原因です。多くは腸管機能が順応していきますが、一部の患者さんでは腸不全を伴うSBS(SBS-IF)として、生涯にわたり静脈栄養や静脈内輸液が必要となります。

静脈栄養や静脈内輸液は生命維持に不可欠である一方、SBSの病態や静脈栄養への依存は患者さんの生活の質を低下させ、カテーテル関連血流感染症、敗血症、血栓症、腸管不全関連肝障害などの重篤な合併症につながり、生命予後が低下する恐れがあります。また、SBS患者さんは、栄養失調、脱水、下痢、疲労、脱力など、多くの症状を抱えながら生活しています。しかし、SBSの有病率と罹患率は日本を含め、多くの国で明らかになっておらず、多くの推定値はSBSで長期的な在宅静脈栄養を要する患者数のデータに基づいています。

残存小腸の表面積を広げ栄養吸収能を高める効果で静脈栄養依存度低下に期待

レベスティブに含まれる成分のテデュグルチドは、天然型グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)よりも長く腸管へ作用する「組換えヒトGLP-2アナログ」です。レベスティブは、日本では、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いと判断され、開発要請されました。その後、2014年11月20日付けで厚生労働省より、予定される効能又は効果を短腸症候群として希少疾病用医薬品に指定され、短腸症候群の治療剤として日本で開発が進められた結果、製造販売承認に至ったものです。

同社は「レベスティブが残存小腸の表面積を広げ、栄養吸収能を高めることにより、患者さんの静脈栄養への依存度を下げることが期待されます。同剤が短腸症候群の新しい治療選択肢となり、一人でも多くの患者さんのより良い生活や人生に貢献できるよう企業として取り組んでいきたい」と、述べています。

(IBDプラス編集部)

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