潰瘍性大腸炎に対する「腸内細菌叢移植療法」、先進医療1例目を実施
抗菌薬で腸内細菌叢リセット後、健康なドナーの腸内細菌叢溶液を移植
順天堂大学とメタジェンセラピューティクス株式会社の研究グループは、「活動期潰瘍性大腸炎患者を対象とする抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」の臨床研究について、順天堂大学医学部附属順天堂医院で、先進医療として第1例目となる腸内細菌叢移植を実施したことを発表しました。
抗菌薬併用腸内細菌叢移植(Antibiotic Fecal Microbiota Transplantation:A-FMT)療法は、患者さんの乱れた腸内環境を改善するため、3種類の抗菌薬(アモキシシリン、ホスホマイシン、メトロニダゾール)を用いて患者さんの腸内細菌叢をリセットした後、健康なドナーの便から作成した腸内細菌叢溶液を内視鏡で注入し、バランスのとれた腸内細菌叢を構築する医療技術です。以前より行われてきた腸内細菌叢移植の前に抗菌薬の投与を追加することで、より効果的な腸内細菌叢移植となることが期待されています。
軽症~中等症の左側・全大腸炎型潰瘍性大腸炎患者さんを対象に、開始後8週時の寛解率を評価
同臨床研究は、軽症~中等症の左側・全大腸炎型の潰瘍性大腸炎患者さんを対象として、A-FMT療法の有効性および安全性を検討することを目的に、2023年1月に先進医療Bとして承認され、同月より先進医療B「アモキシシリン、ホスホマイシン及びメトロニダゾール経口投与並びに同種糞便微生物叢移植の併用療法」として、順天堂大学医学部附属順天堂医院で開始されました。概要は以下の通りです。
主要評価項目:A-FMT療法開始後8週時における寛解率 予定試験期間:2024年3月まで 予定症例数:37例 研究参加施設:順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂大学医学部附属静岡病院(2023年3月~)、金沢大学附属病院(2023年3月~)
なお、メタジェンセラピューティクスは共同研究機関として、腸内細菌ドナーのリクルーティング、便検体の管理、腸内細菌叢溶液の調製、品質管理などの支援業務を提供するということです。
両者は「引き続き、先進医療として同医療技術の有効性や安全性を検討し、標準治療化を目指して研究を進めていく」と、述べています。
(IBDプラス編集部)
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