説明可能なAIで、腸内細菌に基づく「大腸がん」の分類に成功

ニュース2023/4/20

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既存の解析法で、大腸がん発症に関係する細菌を個別判定することは不可能

東京工業大学と大阪大学の研究グループは、「説明可能なAI」を活用し、腸内細菌パターンに基づいて大腸がんを詳細に分類する手法を開発したと発表しました。

大腸がん患者さんにおける特定の細菌の増加と大腸がん発症との関連性が報告されており、便サンプル由来の細菌情報をバイオマーカーとして利用した大腸がん診断法の開発も進んでいます。しかし、既存の解析手法では、大腸がんの発症に関係しているのがどの細菌なのか、個人ごとに判定することは不可能でした。

大腸がん予測に重要な腸内細菌情報取得のため「ゲーム理論」を利用

そこで研究グループは今回、「説明可能なAI」を活用し、腸内環境情報からの大腸がん予測において、重要な情報を層別化して取得する手法を開発しました。これは、ゲーム理論のシャプレー値に由来する、SHAPと呼ばれるフレームワークを利用したものだということです。

シャプレー値とはゲーム理論において「どのようにすればチームを構成するプレイヤー同士で公平に配当を分配できるか」を示す値のこと。これと同様に、今回は「大腸がん予測における特定の細菌の影響」を示すためにSHAPを使用しました。

健常と大腸がんの判別に成功、潰瘍性大腸炎など腸内細菌が関連する他疾患への応用にも期待

その結果、SHAP値を用いた解析で、健常者と大腸がん患者さんを明確に判別できることを発見しました。さらに、このSHAP値を用いて大腸がん患者さんを層別化した結果、大腸がん患者さんが4つのサブグループを形成していることが明らかになりました。また、大腸がんであると判断される確率が最も高いサブグループは「大腸がんに関連する細菌も多い」ことがわかったということです。

「新しい解析手法は、今後さらなる研究を通して、よりパーソナライズされた大腸がん診断の実現に貢献するものだ。また、大腸がんだけでなく、将来は潰瘍性大腸炎や糖尿病、肝臓病など、腸内細菌が関連する他の疾患にも同様に対応できると期待される」と、研究グループは述べています。

(IBDプラス編集部)

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