腸内細菌が作る酢酸が、腸内細菌バランスの制御に関与していると判明

ニュース2021/7/29

腸内細菌を制御することで、疾患のなりやすさを変化させられる可能性

理化学研究所生命医科学センター粘膜システム研究チームの竹内直志研修生、大野博司チームリーダーらの国際共同研究グループは、腸内細菌の主要な代謝物である「酢酸」が「免疫グロブリンA(IgA)」の細菌反応性を変化させることで、腸内細菌の制御に関与することを発見したと発表しました。

腸内細菌は、栄養素を産生したり、外から入ってくる病原菌を排除したりすることで、健康維持に貢献しています。腸内細菌の中には、ある決まった環境では健康に悪影響を与える可能性がある細菌もあります。このような最近は「病原性片利共生細菌」と言われ、例えば大腸菌などがそれにあたります。このような細菌が増えすぎたときに制御できなければ、病気が引き起こされる可能性もあるため、腸内細菌の制御機構の解明は重要な課題とされています。

近年、腸内細菌が中枢神経や肥満・糖尿病などのさまざまな全身疾患に関与することが明らかにされており、腸内細菌を制御することで、疾患のなりやすさを変化させられる可能性も示されています。

IgAと腸内細菌の相互作用の理解が腸内細菌制御と疾患の予防・治療につながる

免疫系で体を守る「抗体」として機能する「免疫グロブリン」の中で最も多く産生されるIgAは、主に腸管などの粘膜面から分泌されます。IgAは腸内細菌と結合することで、腸内細菌の侵入、定着、増殖の制御に関与すると考えられています。しかし、常に変化する腸内環境に対応してIgAの反応がどのように調節されているのかは不明でした。

一方、酢酸、酪酸など「短鎖脂肪酸」と呼ばれる物質は、多くの免疫細胞の誘導・機能の制御に関与することが知られており、IgAについても短鎖脂肪酸が分泌量を増加させている可能性が示されていました。そこで研究グループは今回、「短鎖脂肪酸がIgAの機能制御に関与するのではないか」と考え、検証を行いました。

その結果、腸内細菌の代謝物として作られた酢酸がIgAの産生を増加させ、そのIgAが大腸菌などの病原性片利共生細菌に結合して大腸表面の粘液層への侵入を阻止していることが判明。また、細菌が作った酢酸が細菌自身の成分とともに、免疫細胞であるT細胞の機能を強化し、IgAを増加させていることも明らかになったそうです。

「IgAと腸内細菌の相互作用を理解していくことで、将来的に腸内細菌制御と疾患の予防・治療につながることが期待できる」と、研究グループは述べています。

(IBDプラス編集部)

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