世界初!病気に関連する腸内細菌を制御できる「粘膜ワクチン」を開発

ニュース2019/8/27

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IBDを含む複数の疾患に関わる腸内細菌叢の乱れ

大阪市立大学大学院医学研究科 ゲノム免疫学の植松智教授、藤本康介助教(東京大学医科学研究所国際粘膜ワクチン開発研究センター自然免疫制御分野を兼任)らの研究グループは、全身の粘膜において、致死的な感染症だけでなく、疾患特異的な腸内細菌の制御へ応用できる新規粘膜ワクチンを開発しました。

近年、腸内微生物のゲノム解析研究が進み、腸内細菌叢の乱れと、炎症性腸疾患(IBD)や大腸がんを含むさまざまな疾患との関係性が明らかにされています。疾患の発症と直接的に関わる腸内細菌も発見され、胃がんにおけるピロリ菌のように、発症予防のための除菌が期待されています。

しかし、抗菌薬の使用は、体に有益な菌も殺傷し、腸内細菌の乱れを助長する可能性があるため、病原常在腸内細菌だけを特異的に排除できる方法が求められています。一方、粘膜ワクチンも多数開発されていますが、ワクチン接種により、全身の粘膜で抗原特異的な免疫応答を自在に誘導できる方法はまだありません。

発症する前に抑制する、全く新しいコンセプトのワクチン開発に期待

研究グループは今回、新しい粘膜ワクチンを開発しました。このワクチンを接種後に感染防御が必要な粘膜面へ抗原を加えると、免疫グロブリンA(IgA)という種類の抗原特異的な抗体が、非常に高濃度で誘導されます。それによってコレラ毒素による下痢の抑制、肺炎の最大の原因菌である肺炎球菌感染の制御、ヒトの肥満・糖尿病の原因となる腸内常在細菌の制御などが可能となるのです。

実際に動物実験で、この粘膜ワクチンを接種しているグループに肺炎球菌を感染させたところ、肺炎球菌の定着が阻害され、重篤な肺炎は起こらなかったそうです。さらに、肥満・糖尿病で増加する腸内常在細菌に反応するワクチンを作成し、ヒト肥満者の糞便を定着させたマウスに接種したところ、高脂肪食で誘導される肥満・糖尿病が抑制されました。

今回の研究成果である新規粘膜ワクチンの方法をヒトで実用化できれば、「発症する前に抑制する」という、全く新しいコンセプトのワクチンの開発が可能になるかもしれません。さらに、この方法を、疾患特異的な腸内細菌を標的として応用することで、これまで制御不可能だった腸内細菌叢の乱れに関連する難治性疾患の新たな治療アプローチとして使える可能性も期待されます。

(IBDプラス編集部)

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