絶食マウスで判明、命を維持するために腸管の免疫細胞が消えた!?
ニュース | 2019/8/28
経口ワクチン投与後に絶食し、その後再摂食すると、効果が激減
慶應義塾大学薬学部の永井基慈(博士課程学生)、長谷耕二教授、土肥多惠子客員教授、NCGM 肝炎・免疫研究センター 消化器病態生理研究室の河村由紀室長らの研究グループは、腸管の健康維持に重要な「特定の病気を狙い撃ちする免疫のはたらき」が、絶食によって消失する仕組みを発見したと発表しました。
これまで、栄養が免疫系の機能に影響を与えることは知られていましたが、栄養が遮断された絶食状態で免疫のはたらきがどのように変化するかについては、ほとんど解明されていませんでした。
今回研究グループは、マウスを一時的に絶食させて調べました。その結果、小腸のパイエル板という部分で、免疫に重要な活性化B細胞が死んでしまうことを発見しました。そのため、経口ワクチン投与後に絶食し、その後再摂食しても、活性化したB細胞が絶食によりすでに死んでしまっているので、経口ワクチンの効果は激減してしまうことがわかりました。
絶食時には利用可能な栄養が限られるわけですが、その際には、まず脳や心臓など、生きるために不可欠な組織への栄養を優先的に確保する必要があります。そのために、今回発見された仕組みにより、生命維持には直結しない小腸の活性化B細胞を減らすことでエネルギーを節約していると考えられるそうです。
今後の研究の発展により、食事介入による効果的なワクチン接種方法の開発へつながることが期待されます。
(IBDプラス編集部)
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