腸内細菌情報を肝臓が集めて脳に伝え、過剰な炎症が起こらないよう制御していると判明

ニュース2020/6/16

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脳は腸管の環境変化をどうやって認識し、病気の発症を抑制しているのか?

慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器)の金井隆典教授、寺谷俊昭特任講師、三上洋平助教を中心とするグループは、京都府立大学、九州大学、金沢医科大学、理化学研究所、早稲田大学、東京大学などとの共同研究により、生体には腸管からの腸内細菌情報を肝臓で統合し脳へ伝え、迷走神経反射によって腸管制御性T細胞(pTreg)の産生を制御する機構が存在することを世界で初めて明らかにしたと発表しました。

近年、ライフスタイルや環境の急激な変化により、炎症性腸疾患(IBD)をはじめ、うつ病やがんなどの病気が増加しており、主な原因として腸内細菌などの「腸管環境の乱れ」が指摘されています。しかし、特にうつ病などの精神疾患では、脳が腸管環境の変化をどのような仕組みで認識し、病気の発症を抑制しているのかについては解明されていませんでした。

今回、研究グループは、マウスを用いてこの仕組みを調べました。その結果、腸内細菌の情報を肝臓が統合し、「肝臓→脳→腸管」という迷走神経反射(自律神経によって起こる生体反応)を通じて、腸管の過剰な炎症を抑える働きをするpTregという細胞の産生量をコントロールしていることを世界で初めて発見しました。

さらに詳しい解析により、肝臓が腸管内の情報の平均値を正確に集積・統合し、誤作動なく脳へ伝える機能をもつこと、また、腸管免疫が過剰に活性化しないように適切な指令を脳から腸へフィードバック伝達する働きをしていることも明らかになりました。

ムスカリン型アセチルコリン受容体作動薬・阻害剤が腸の炎症を抑制、IBDの新規治療薬として期待

さらに、腸炎モデルマウスの迷走神経を切断すると病態が悪化しましたが、「ムスカリン型アセチルコリン受容体作動薬・阻害剤」という、迷走神経にはたらく薬を投与したところ、腸管pTregの数が回復し、腸炎増悪作用を無効化したそうです。

研究チームは、「本発見は、これらの薬剤候補がIBDなど腸の炎症を抑える可能性があり、潰瘍性大腸炎などの治療薬として期待がかかる。さらに、本研究は、腸管での迷走神経肝臓枝を介した腸管pTreg維持機構新型コロナウイルスの排除や同ウイルスによる免疫過反応の制御にも応用可能であり、COVID19治療に応用される可能性もあると考えられる」と、述べています。

迷走神経に作用する薬が腸炎に効いたというのは驚きです。IBDの新薬登場に期待したいですね!

(IBDプラス編集部)

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