【開催レポート】IBDreamプロジェクト5周年メディアセミナー「クローン病患者さんと考える、社会に知ってほしいIBDのこと」5月12日

ニュース2025/5/20

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IBD患者の願いに寄り添うプロジェクトの集大成

武田薬品工業株式会社は5月12日、IBDreamプロジェクト5周年メディアセミナーを開催しました。

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重光・ルマ・ナオミさん(左)と久松理一先生(右)

杏林大学医学部消化器内科学教授の久松理一先生が、IBDの病態・診断・治療法などについて解説しました。

IBDの発症者数は成人のみならず小児でも増加傾向にあります。久松先生は「腸管などで炎症が続くIBDは今のところ根治する方法はありません。ただし、症状をコントロールできていれば、病気のないときと同じような生活が可能で、いろいろなことへの挑戦もできる」と強調しました。

また若年層でのIBD発症は長期にわたって社会生活に支障をきたす可能性があるため、「小児期から成人期へ移行する際、シームレスな治療継続が重要だ」と久松先生は指摘しました。

クローン病とともに歩むモデルの挑戦

IBDの一種・クローン病の患者であるモデルの重光・ルマ・ナオミさんが、自身の体験について話しました。重光さんの場合、軽い腹痛と発熱から始まり、次第にトイレに駆け込む回数が増え、症状が悪化していったそうです。16歳(2019年)の診断時、「クローン病という一生治らない病気」と告げられ、ショックで絶望したという重光さんですが、適切な治療と脂質を避けるなど食生活を見直したことで徐々に症状が安定していきました。

心身の回復とともに病気との向き合い方も前向きになっていった重光さんは、2023年に世界中から応募者が集う美の祭典「ミス・グランド・インターナショナル」への挑戦を決めました。

重光さんは応募時点では不安もあり病気を公表していませんでしたが、途中で「クローン病は隠すものではなく、個性として受け入れ、前向きに生きることが大切」と考え方が変わり、プロフィールでクローン病を公表しました。その後、ミス・グランド・ジャパン2024として日本代表に選出された彼女は世界TOP20入りを果たしました。

重光さんは、「IBDは外見ではわからないので周囲の理解を得づらいし、どんな病気か知らない方も多いので多くの人に知ってほしい」と社会におけるIBDの認知度向上への思いを伝えました。

患者さんの旅行をサポートする新たな取り組み

武田薬品工業は5周年記念として『IBDreamお土産図鑑』を発表しました。この取り組みは、IBD患者さんの旅行時の悩みに応えるものです。IBD患者さんの場合、旅行先でお土産を選ぶ際、栄養成分や原材料が気になって悩んでしまうことがあります。

この図鑑は、全国47都道府県のお土産品の栄養成分や原材料情報を記載し、IBD患者さんが食べられる参考目安量を紹介しています。IBD患者さんへのお土産選びにも活用できます。

今回のセミナーでは久松先生によるIBDの医学的解説と、重光さんの実体験を通じて、適切な治療継続の重要性と、前向きな生き方の可能性が示されました。特に「症状をコントロールできれば、さまざまなことに挑戦できる」という見解を、重光さんが国際的なミスコンテストでの活躍によって体現されたのは、多くのIBD患者さんを勇気づけるお話だと感じました。また、『IBDreamお土産図鑑』のような実用的な取り組みは、患者さんの日常生活の質を高める大きな一歩となるでしょう。

(IBDプラス編集部)

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