楽しいことだけ、楽しんでやる―23歳UC男子が語る、就活・仕事・将来の夢

仕事・はたらく2020/12/25

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お刺身加工済

今回の「仕事・はたらく」でご紹介するのは、10月30日に開催されたIBDプラス主催「IBD YouTube座談会」で司会進行を務めてくださったSOUさんです。学生時代、インフラなどの安定した業界に焦点を定めて就職活動をしたSOUさん。希望通りガス関連の会社に就職が決まり、ガス機器の点検や営業の仕事をされています。社会人1年目、まだ駆け出しのSOUさんが考える「はたらく」、そして、いつか叶えたいと温め続けている夢とは?

SOUさん(23歳・男性/潰瘍性大腸炎病歴8年)

15歳の頃に潰瘍性大腸炎の診断を受ける。新卒で入社したガス関連の会社で、外回りの仕事を担当。幼い頃から「発信」することが好きで、小・中・高は生徒会長、高校では軽音楽部でギター、現在はInstagramで自身の描いたイラストを投稿したり、Twitterで潰瘍性大腸炎について発信したりしている。IBDプラスの「IBD YouTube座談会」ではピンチヒッターで司会を務め、見事なトーク力を発揮した。今後は自身のYouTubeでもさまざまなことにチャレンジしていく予定。

病気のことを伝えて余計な心配をされるくらいなら、「言わない方がマシ」

――子ども時代は、どのようなお子さんだったのでしょうか?

SOUさん: 外で遊ぶのが大好きな、活発でやんちゃな子どもでした。小学4年生くらいからサッカークラブに入り、サッカー選手になることを夢見ていました。性格はシャイで内弁慶ですが、担任の勧めで生徒会長をやってから、人前で話すことがだんだん好きになっていきました。あとは絵を描くことが好きで、家族の誕生日とかには、よく似顔絵を描いてプレゼントしていましたね。

――高校に入学した頃から症状が出始めたと伺っていますが、発病のきっかけとして何か思い当たることはありますか?

SOUさん: 父が潰瘍性大腸炎であること、高校入学を機にサッカーを辞めて生活スタイルが変わったこと、ストレスをため込んでしまう性格なので、それが症状として出たなど…本当にいろいろなことが考えられます。

――潰瘍性大腸炎と診断されるまでの経緯を教えてください。

SOUさん: 高校に入学した頃から下痢が続いていました。下血や腹痛はなかったのですが、とにかく便意を抑えられず、漏らしてしまうような状態でした。トイレの回数も異常に増え、さすがにおかしいと、近所のクリニックで検査を受けました。しかし原因はわからず、大きな病院を紹介され、そこで内視鏡検査を受けた結果、潰瘍性大腸炎と診断されました。その時のことはよく覚えていないのですが、大変な病気だという実感はあまりなかったように思います。家族も悲観するような様子はありませんでした。食事に関しては、母が僕の分だけおなかに優しいメニューに変えるなどして気遣ってくれました。アサコールが処方され、飲み始めてからは、症状もかなり落ち着きました。

――学校の先生や友達に、病気のことは説明されましたか?

SOUさん: 月に1回通院で早退する必要があったので担任には伝えていましたが、心配されたり気を使われたりすることが苦手なので、自分から友達に病気のことを話したりはしませんでした。「おなかが弱いから病院行かないとなんだよねー」と、自分を守りながら、適当にごまかしていました。

それでも、お付き合いしていた彼女には、一度きちんと説明したことがあるんですよ。でも、ポカーンという顔をされてしまって…やっぱり伝えたところで当事者じゃないし、わかってもらえないと感じました。余計な心配をされるのはイヤですし、それからは「言う必要がない」と考えるようになっていきました。

――余計な心配をして欲しくないということに関しては、先日の「IBD YouTube座談会」でも、みなさん意見が一致していましたよね。

SOUさん: IBDの方は性格的に似ている部分があるのかもしれません。「相手に大変な思いをさせたら申し訳ない」という気持ちが、人一倍強いのだと思います。僕自身、最近になってようやく、少しずつ話せるようになってきた感じです。僕みたいな人も多いと思いますし、まだ話せていない人もたくさんいると思います。

――大学生活はいかがでしたか?入院したと伺いましたが…。

SOUさん: 大学から1人暮らしを始めました。今思えば、調子の良いときは好きなものを食べてお酒も飲んでいたし…悪いときでも、ノリで飲みに行ったりしてましたね(笑)。それまでも調子が悪くなることはありましたが、母が食事に気を遣ってくれていたので、そこまで悪化せずに済んでいたのだと思います。

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SOUさんのイラスト『蜜です』。Instagramにはこれ以外にもユニークな作品がたくさん。

入院したのは大学3年生の夏です。その頃はステロイドもあまり効かなくなっていて、下血が続き、貧血状態でした。通院時に採血の数値を見た医師が「これはいよいよだね。明日から入院して」と、その場ですぐに入院が決まりました。それから1~2週間は絶食で、つらかったですね…。唯一の楽しみは「絵を描くこと」でした。基本的に、怒るなど、激しい感情を表に出すのが苦手なので、その分、絵で自分の内面を表現したいという気持ちが強いのだと思います。

甘くなかった就職活動。ひとりのIBD患者さんとの出逢いが心の支えに

――退院後は体調が落ち着かれたとのことですが、就職活動はいかがでしたか?

SOUさん: 「この仕事がしたい!」という明確なものはなかったので、まずは安定という視点で考え、生活に密着した「インフラ」業界を中心にエントリーしました。

また、難病という枠で考慮される制度がないかについても、いろいろ調べました。ハローワークの難病支援課の方に相談もしましたね。でも、難病で障害者手帳を持っていない人は、うまく会社に病気のことを伝えて就職するしかないということがわかり、現実は甘くないということを痛感しました。

――ほかのIBD患者さんに相談してみようとは考えませんでしたか?

SOUさん: それまでIBDに関することをSNSで見たり発信したりということは一切なかったのですが、就活に悩んでSNSを見ていた時に、たまたま知ったのが、みえIBD会長のしんちゃんさんでした。ダイレクトメールを送って、いろいろ話を聞いていただきました。しんちゃんさんはクローン病で、僕より症状が重いと思うのですが、共感し合える部分がすごくありました。同じ病気で頼れる人が1人できたということが、とても心強かったですね。自分の症状や、つらかったことを隠す必要もないし、すごく心が休まったことを覚えています。就活については、会社選びの方向性が間違っていないかなどについて、意見をいただくなどしました。

――面接で病気のことは話されましたか?

SOUさん: 病気であることよりも、自己PRの内容を印象に残したかったので、自分からは話しませんでした。履歴書に書くこともしていませんし、体調について聞かれたこともなかったですね。なので、病気について話したのは内定後です。人事の偉い方に「大学時代におなかが弱くて長期間休んだことがあったのですが、病気で入院することになった場合、どうなりますか?」といった感じで、病名は伝えず遠回しに聞きました。それに対して「何とかするから大丈夫だよ」と言っていただけたので、とても心強かったですね。

体力勝負だけれど恵まれた職場で日々奮闘中、いつかは絵に携わりたい

――今はガス関連のお仕事をされているとのことですが、仕事内容について具体的に教えていただけますか?

SOUさん: 個人のお宅に伺ってガス機器の点検をしたり、営業したりする仕事をしています。いわゆる外回りの仕事ですね。1日のスケジュールは、会社で朝礼をやって、そこからは1人でお客さんのお宅をまわって、帰社して事務処理を済ませ、帰宅という感じです。基本的に1人で行動するので、トイレにも気兼ねなく行けますし、みんなでランチに行く機会も少ないので、その点は気楽ですね。

――仕事のメリット・デメリットについて教えてください。

SOUさん: メリットは、たくさんの人と会って話せるということです。お客さんとの会話を通じて、さまざまな考え方や価値観を知ることができるので、とても楽しいです。

デメリットは、体力勝負の仕事で、在宅ワークもできないので、本格的に体調を崩したら働けなくなってしまうという点ですね。ノルマなどはありませんが、外に出て身体を動かすので、脱水症状や貧血になったらということを考えると心配です。これがあと何年続けられるかという不安が常にあります。将来的には、身体のことを考えて、手に職をつけることも考えていかなければと思っています。プログラミングとか、何か絵に関われるようなことはないかな、と考えています。

――やはり、絵に携わりたいという気持ちがどこかにあるんですね。

SOUさん: 小さい頃から「SMAP」が大好きだったんです。何でもできるし、メンバーそれぞれが全て違う才能や個性を持っているじゃないですか。「何でもできる人がカッコいい」という思いがベースにあるので、これからも絵に限らず、やりたいことは全部しようと思っています。「楽しいことだけ、楽しんでやる」をモットーに、いろいろなことに挑戦し続けていきたいですね。

嫌なことはしなくていい。心から楽しめることや、幸せになれることを優先に

――病気を隠していた側の人間とおっしゃっていましたが、ご自身の病気についてSNSで発信しようと思ったきっかけは何ですか?

SOUさん: 最初は、何かおもしろいことをやろうと思ってYouTubeチャンネルを開設したんです。その話をしんちゃんさんにしたら、「IBD YouTube座談会に出てみない?」と、お声がけいただきました。そのときに、潰瘍性大腸炎の僕が楽しくやっている姿を見てもらうことで、少しでも元気になる人が増えたらうれしいと思い、病気について発信していこうと決めました。YouTube 座談会では、終了後に視聴者の方からたくさんの反応をいただくことができました。僕より年下の男の子や、僕くらいの潰瘍性大腸炎の息子さんがいるという親御さんまで、本当にいろいろな方からメッセージが届き、感動しました。

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YouTubeは、これからも楽しみながらやっていきたいですね。笑ってもらいたいという気持ちもあるので、YouTuber的なことにも挑戦していきたいです。「UC友達と踊ってみた」とか「UC友達に○○について聞いてみた」といった、自分だからこそできるようなことを発信していきたいですね。そして将来的には、全国のIBD患者さんと気軽につながっていろいろな相談ができるコミュニティツールみたいなものが作れたらと思っています。

――潰瘍性大腸炎になって気付いたこと、学んだことなどあれば教えてください。

SOUさん: 「健康は当たり前じゃない」ということに気付かされました。もし、潰瘍性大腸炎になっていなかったら、お酒もバンバン飲んでいたと思いますし、ハリウッドスターが好きなので、葉巻とか絶対吸っていたと思います(笑)。潰瘍性大腸炎は、僕を暴走させないための「セーブツール」なんだと思います。実際にうまくセーブできるようになりましたし、今では「自分の心も身体も大切にしろ!」と厳しく叱ってくれる、腐れ縁の友達みたいなものですね。

――将来の目標や夢についてもお聞かせください。

SOUさん: IBDのことに携わっていきたいのはもちろんですし、もう一つの夢は「絵本を出版すること」です。自分のストーリーを絵本にしたいと思っていて、それがIBDの理解につながればうれしいですし、最終的には小さくてもいいから絵の個展を開くのが目標です。

――最後に、IBD患者さんにメッセージをお願いします。

SOUさん: IBDという難病を背負って生きているみなさんは、本当にがんばっていると思います。決して甘えているわけでも、だらけているわけでもないですし、毎日懸命に生きているだけで十分に素晴らしいと思います。だから、無理をするのはやめましょう。これは自分にも言い聞かせていることですが、嫌なことはしなくていいし、心から楽しめることや、幸せになれることを優先にしていきましょう。それでも心と身体が限界になりそうなときは、誰でもいいから頼って、吐き出して欲しいと思います。これからも気楽にやっていきましょう!

(IBDプラス編集部)

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