新卒入社の会社で10年以上勤務、潰瘍性大腸炎と上手に付き合うコツとは?

仕事・はたらく2021/2/26

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井出さま

今回の「仕事・はたらく」でご紹介するIBD患者さんは、大手電機メーカーで正社員として働く、井出さん。海外営業のお仕事を経験された後、法務のお仕事を長く担当されています。

潰瘍性大腸炎と診断を受けたのは大学生の頃。何度も入院治療が必要な状況となり、大学を1年休学された経験をお持ちです。病気を抱えながらの就職活動も、決して楽なものではなかったそうですが、その時に正社員として採用された会社で、10年以上勤務されています。

1つの会社で長く働き続けるコツとして、「上手に病気と付き合うこと」と語ってくださった井出さん。再燃により入退院を繰り返した時期もあったそうですが、どのようにして上手に病気と付き合えるようになったのでしょうか?これまでのご経験とともに、お話を伺いました。

井出貴之さん(36歳・男性/潰瘍性大腸炎歴16年)

20歳の頃に、潰瘍性大腸炎と診断を受ける。
現在は、大手電機メーカーの正社員として、法務・コンプライアンス部門の仕事を担当。病気に対する職場の理解もあり、新卒での入社から10年以上勤務している。将来、弁護士として働く夢があり、少しずつ勉強中。

大学生の頃に潰瘍性大腸炎の診断、そして就職活動へ

――潰瘍性大腸炎を発症されたときのことについて、お聞かせください。

井出さん: 当時、大学生だった私は、血便や下血に悩まされていました。この頃に、人との別れがあったため、今思えば、大きなストレスを抱えていたのだと思います。

最初、近くのクリニックを受診して「急性胃腸炎でしょう」と言われました。1週間ほどの入院で回復するとのことでしたが、入院し、2〜3週間経っても症状が改善しなかったため、大腸内視鏡検査を受けることになったんです。その後、大きな病院に転院した際に、主治医より「重症の全大腸炎型潰瘍性大腸炎です」と説明を受けました。2004年10月、20歳の頃でした。

診断を受けたときは、食事がとれず中心静脈栄養(IVH)が続いていたため、「難病」だったというショックよりも、「いつから食べられるようになるのか?」という不安の方が大きかったですね。発症後、約1年間は、再燃により入退院を繰り返していたので、大学も1年間休学しました。

――就職活動時、会社側にはどのタイミングで病気のことを伝えましたか?

井出さん: 今の会社には、内定後に人事の方に伝えました。病気のことを伝えた際に、会社側から「主治医が、働くことは問題ないと言えば、入社は問題ありませんよ」と言われたんです。そこで、主治医に確認したところ「問題ない」という回答をいただき、無事入社することができました。現在も、病気のことを知っているのは、人事、上司、そして、数人の同僚のみです。

就職活動を行っていた頃、病気については、自分から積極的にお伝えしていたわけではなく、面接時に会社側から病気のことを聞かれた場合に、正直に答えるようにしていました。実際に、「今まで、大きな病気に罹ったことはありますか?」「現在、大きな病気を患ってはいませんか?」といった質問があった場合には、「私は、潰瘍性大腸炎を患っています」と正直に答えました。

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現在、学生で就職活動をされている方や、転職活動をされている方にも、「面接の際、もし病気のことを聞かれたら正直に伝える」ということをお勧めしたいです。聞かれなかった場合は、内定が出た段階で会社側にお伝えしましょう。もし、ここで「採用できない」と言われたら、その会社はキッパリと諦めたほうが良いかもしれません。きっと、病気に対してあまり理解のない会社だと思いますので。

再燃する前に早めの対応が大切、上手にストレス発散も

――入社してからのお仕事内容について、教えてください。

井出さん: 2009年4月に、今勤めている会社の子会社に入社しました。最初は、海外営業の部署に配属されましたが、その後、海外営業本部の中の法務担当として異動。そして、コーポレート法務に異動となるなど、入社以来「法務・コンプライアンス部門」の仕事を長く続けています。

また、会社のグループ内の組織再編により、入社した子会社が今の会社に吸収合併されました。その後は、法務・業務サポート本部というところに所属し、コンプライアンス部に配置となりました。2016年〜2017年に、一時、海外本部という部署に異動しましたが、2017年に現職復帰しています。

――潰瘍性大腸炎の再燃時、業務でサポートなどは必要でしたか?

井出さん: 私の場合は、特にサポート無しで業務を進めることができました。

ただ、2016年頃に「双極性障害」と診断され、1年ほど休職した経験があります。その際には、自分の担当業務を、同僚や上司が代わりに対応してくれるなど、サポートしていただきました。

現在、潰瘍性大腸炎に関しては2か月に1回程度通院し、年に1回の大腸内視鏡検査を受けながら、治療を続けています。双極性障害も、治療を継続中です。

――仕事をする上で、症状が悪化しないように気を付けていることはありますか?

井出さん: 一番は、ストレスを溜めないようにすることですね。私は、ドライブが特に好きなので、休日は音楽を聴きながらドライブをすることで、上手にストレス発散しています。

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また、下痢が続くなど、再燃につながるような症状が現れたときには、すぐに病院を受診するようにしています。症状が悪化する前に、早めに対応することを心がけていますね。そのため、今のところ休んだとしても1日程度のことが多く、業務に大きな影響を与えることなく済んでいます。

病気は自分の個性の一部。上手に付き合っていこう

――今後の目標について、教えてください。

井出さん: 司法試験にチャレンジし、弁護士資格を取ることです。法務の仕事に関わるようになり、法律に興味をもったことがきっかけで、弁護士を目指すようになりました。一時期、学校に通って勉強していましたが、今は双極性障害の発症もあり、お休みしています。双極性障害と上手に向き合えるようになってから、少しずつ勉強を再開したいと考えています。

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――発病をきっかけに「会社に迷惑がかかるので、辞めたほうがいいのではないか?」と悩まれている患者さんに、井出さんならどのようなアドバイスをされますか?

井出さん: 難しい問題ですね。「もし、会社が病気を受け入れてくれるのであれば、多少ハンディがあったとしても働いてみたらどうか?」と、答えると思います。

ただ、今まで通りの仕事内容で働き続けることが難しいと感じた場合は、例えば、部署異動が可能かを会社側に相談されるのもひとつの手段だと思いますよ。

――最後に、IBD患者さんにメッセージをお願いします。

井出さん: とにかくストレスを溜めないように、上手に気分転換してほしいです。そして、病気は自分の個性の一部だと思って、ぜひ上手な付き合い方を身につけてほしいですね。私も、発症当時は、潰瘍性大腸炎との付き合い方が分からず、何度も再燃し、入退院を繰り返していました。そういった苦い経験があるので、今は、下痢が続いたり、血便などの症状が現れたりするなど、「再燃しそうだな」と感じたら、すぐに受診するように気を付けています。

皆さん、それぞれ症状の程度も違うと思いますので、ぜひご自身にあった病気との付き合い方を見つけてみてくださいね。

(IBDプラス編集部)

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