潰瘍性大腸炎の闘病経験から管理栄養士に-IBDレシピのポイントは?

仕事・はたらく2021/5/20

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MIKIさん

IBDプラスの人気コーナー「潰瘍性大腸炎・クローン病患者さんのレシピ」でレシピ作成をしていただいている管理栄養士の「MIKIさん」こと小林美貴さん。ご自身が潰瘍性大腸炎を患った経験を生かし、これまでにさまざまなIBDレシピを考案しています。

管理栄養士としての仕事のこと、IBDのレシピづくりのポイントなど、いろいろお聞きしました。

小林美貴さん(37歳/潰瘍性大腸炎歴23年)

1983年、大阪府生まれ。管理栄養士として高齢者施設に勤務後、フリーランスでの活動をスタート。クリニックでの栄養相談、地域での介護予防講座、高齢者施設での研修講座での講師、レシピ考案など、多方面で活躍中。

IBDレシピのポイントは「時短・簡単・彩り・ひと手間」

――いつもおいしそうなレシピを作っていただき、ありがとうございます。管理栄養士として幅広く活躍されていますね。

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MIKIさん: クリニックでの栄養相談、レシピの考案から、食品系のウェブサイトの監修のほか、高齢者施設の職員さん向けの研修講座、スーパーでの食育レシピなど、食に関わるさまざまな仕事に携わらせていただいています。昨年出産し、現在は在宅でできる仕事が中心となっています。IBDプラスのレシピ作成には、2017年から携わっていますね。

――IBDのレシピをつくる時、どんなことを意識していますか?

MIKIさん: 私の場合、「時短・簡単・彩り・ひと手間」でしょうか。おいしくて、油控えめ、食物繊維控えめにというのはもちろんですが、簡単に手に入るもの、家にありそうなもので、パパっと作れることを意識しています。

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体調によっては長時間料理をするのがつらい方もいらっしゃるでしょうし、料理が得意な人ばかりでもないはずなので、できるだけ簡単な手順でできるよう工夫しています。

彩りは、どんな食事でもそうですが、見た目が「真っ茶色」だと食欲湧かないですよね。ですが、彩りのいい食材でも、トマトなどの場合は「皮をむく、種を取る」工程が入ることを考慮して、手順が多くならないよう考えます。

中学2年で重症の潰瘍性大腸炎と診断、中学3年で大腸全摘

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――管理栄養士を志したのは、潰瘍性大腸炎になったことがきっかけと伺いました。

MIKIさん: 中学2年生の時、熱や風邪のような症状があり、ガスが異常に臭うようになってきました。検査入院したところ、血便が出始め、徐々にその量が増え、重症の潰瘍性大腸炎と診断されました。

7か月ほど入院し、内科的治療で様子を見ることになったのですが、当時は病気や治療、食事に関する情報がほとんどなく、今では考えられないほど厳しい食事制限がありました。病院で出た食事を参考にするため、写真に撮っておいて、退院後は自宅で再現するなどしていました。

中学3年生の秋、大腸の全摘出手術を受けました。医師からは「(腸が)ペラペラやね」と言われたかな(笑)。

入院生活を送る中で、「将来は病院で働きたい」という思いが湧いてきたんですね。看護師か、栄養士か。昔から料理が好きでしたし、また、自宅から自転車で通える距離に管理栄養学科がある専門学校に進学できることが決まったので、管理栄養士を目指すことにしました。

管理栄養士として高齢者施設に就職、体調不良で退職…

――管理栄養士としてのキャリアのスタートは高齢者施設だったそうですね。

MIKIさん: 特別養護老人ホーム、ケアハウスなどがある総合老人福祉施設で働き始めました。施設によっては、管理栄養士が厨房に入って食事づくりに関わることもあるようですが、私は厨房での業務はなく、そこまで激務ということもありませんでした。

ところが、7年目になった頃、自律神経系の乱れからめまいなどの症状が現れ、体調を崩し、しばらくしてから仕事を辞めることに。その後、1年くらいはゆっくり過ごしました。漢方薬などを服用するのと同時に、全身の栄養状態などを検査して、栄養療法を行い、サプリメントなどで不足している栄養素を補い、身体のベースアップも図りました。

静養後にフリーとなり、管理栄養士としての仕事を再開したのですが、考えてみると、潰瘍性大腸炎による直接的な影響ではないかもしれないけど、やっぱり影響が出ていたのかなと思います。大腸がないことで、夏は脱水になりやすく、ちょっと体調が悪いと下痢になりやすいですし。腸内環境や、他の臓器とのバランスがよくないとか…。

妊娠中は体にやさしいものを「ちょこちょこ食べ」

――昨年出産されたとお聞きしました。大腸がないことに配慮して、妊娠中の食事で気を付けていたことはありますか?

MIKIさん: 妊娠前には薬の服用が必要なくなるほど体調が安定していました。揚げ物は避けるようにしていましたが、それ以外は割と何でも食べていましたね。私は「食べづわり」するタイプでしたので、ちょこちょこ食べるように心がけました。おやつも、普通のスナックとかではなく、干し芋とか豆菓子とか、体にやさしいものを選んでいましたよ。

でも、安定期に入る前、無性に「ドリア」が食べたくなって(笑)。「大丈夫かな~?」と思いつつも食べてしまいましたが、私の場合は体調を崩すことはなかったです。そうした食生活のおかげ?もあってか、妊娠中の体重増加は約6kgで、出産後はマイナスでした。

患者さんのため、地域のために

――食事についてIBD患者さんへ一言お願いできますか。

MIKIさん: その日その日の体調に応じて食事を作るのは、とても大変だと思います。患者さんにとっての食事の悩みが軽減できるよう、私はこれからも「おいしい」IBDレシピをつくっていけたらと思います。

いくつかポイントを挙げると…
・鶏肉: もも肉でも、皮や脂の部分をそぎ落せば、むね肉と変わらないくらいの脂質量に抑えることができるので、調子が良い時は選んでみる
・ささみ/白身魚: そのままでは淡泊なので、表面につける味を濃くすると満足度が高まる
・野菜: トマトの例を紹介しましたが、「便にそのまま出てきた」ものは皮をとったり、細かく刻んだり、またよく噛んで食べる

――今後こんなことをしていきたいなど、思い描いていることはありますか?

MIKIさん: 今は育児中心の生活ですが、クリニックや在宅訪問などの活動に復帰して、一般の方はもちろん、病気療養や介護生活を送る上で食について迷子になっている方々の気持ちを軽くしながら、上手に食と向き合い付き合っていけるように、サポーターとして寄り添っていきたいと思っています。また、生まれ育った街で、地域の方々がいつまでもそこに住みやすく、健康的な街となるよう、地域を盛り上げていく一員にもなりたいですね。

(IBDプラス編集部)

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