小学生のIBD患者さんとご家族にインタビュー~クローン病編

ライフ・はたらく2024/12/11

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小児のクローン病の患者さんは、どこでどのような治療を受けている?日頃から何に気を付けているの?おやつは?保護者と学校はどのように連携をとっているの?――。今回、リクエストが多かった「小学生のクローン病患者さんご本人とご家族」に取材しました。

Crohns Disease
患者さんのプロフィール
現在の年齢:8歳(小学2年生の女の子)
症状が出始めた年齢:4歳
診断を受けた年齢:6歳
居住エリア:関東地方
通院している病院:小児・周産期専門の医療施設
習い事:ピアノ(発症前から)、フラダンス(発症後から)
 

病状と治療、通院している病院のこと

――症状が現れてから診断に至るまでの経過を教えてください

ママ:娘は、幼稚園(年少)に入ってすぐくらいから外陰部の腫れ、排膿などがあり、尿路感染が疑われ入院しました。この時は1週間ほどで退院。しかしその後も約2年間、外陰部の腫れはひかず、地元の病院で診てもらっていました。年長の秋頃から下痢や便秘が、冬になると胃腸炎のような症状が出てきました。痔ろうがあったのでシートンも入れたのですが、それでも症状は改善しませんでした。医師から痔ろうの手術を提案されたので、その方向で進めることに。その前に「潰瘍性大腸炎やクローン病ではないことを調べておきましょう」と言われ内視鏡検査を受けたところ、クローン病であることが判明したという流れです。1月に診断を受け、現在通院している病院に転院して入院、3月の卒園式にギリギリ間に合うタイミングで退院しました。

――通院している病院について教えてください

ママ:地元の病院は小児専門病院ではあったのですが、小腸カプセル内視鏡検査はできないところでした。「小腸カプセルができる病院に転院したほうがいい」、さらにコロナ禍真っ只中だったので、「面会の状況なども踏まえ、こだわりがあるようなら紹介するのでご自身で探してほしい」という話になり、新たに探すことにしました。長期入院になることがわかっていたので、娘の発達を止めることなく、年相応の人とかかわりを持ちながら、精神的なケアもしてくれるようなところを探し、面会時間の確保や通院時間なども考慮して、今の病院を紹介してもらいました。

――現在どのような治療を受けているか教えてください

ママ:イムラン、ステラーラ、酸化マグネシウムと、狭窄もあるので、週2回、訪問看護士さんに来てもらって直腸ブジー(狭窄を押し広げる処置)も行っています。通院はステラーラのタイミングなので、約1か月半~2か月に1回のペースです。これに加えてエレンタールを毎日飲んでいます。今の状態は寛解で、内視鏡検査の結果を見ても治療がよく効いているのだろうと思います。気になることとしては、頻繁ではないものの、便漏れがあります。

――苦手なお薬はありますか?

お子さん:酸化マグネシウムとステラーラ…です。

――エレンタールの好きな味はありますか?

お子さん:青りんご味です。学校に行く前、朝ごはんの時と、学校から帰ってきてから飲みます。学校には持っていかないです。(ママ補足:青りんご味しか飲みません 笑)

学校のこと、お友達への病気の伝え方

――学校での給食について、どのようなことに気を付けていますか?

ママ:入学前の面談で病状を伝えしました。進級(クラス替え)のタイミングでも担任と養護教諭の先生に改めて伝えしました。給食は、献立表を事前にもらって娘と一緒にチェックするようにしています。揚げパンと牛乳はなし、それ以外は、脂質が高いおかずは半分にする(あらかじめ半分量で出てくるわけではなく、自分の判断で半分量を食べる)などしています。2年生になって給食がパターン化してきたこと、そして、今娘は寛解していることもあり、食べたそうなものは「食べていいよ」と伝えています。

娘は自分の病識がはっきりできているので、食べる量を自分で調整できています。脂質が少し多いものを食べても下痢や腹痛といった症状がすごく出るタイプではないということはあるのですが、1日単位で脂質の量を考えるのではなく、1週間で許容量を超えないように考えるようにしています。

――病気について、お友達には伝えていますか?

お子さん:お友達は「おなかの病気」ということを知っています。

ママ:担任の先生からクラスのみんなに「油の多い料理は食べられない」ということをしっかり伝えてもらっています。最近、子ども同士で集まる会があったのですが、そういう場合は、「出されたものは食べていいけど、後で何を食べたかママに教えて」と伝えてあり、報告をもらうようにしています。

――そのほか、学校に依頼していることはありますか?

ママ肛門周囲膿瘍と直腸狭窄が主な症状で、膿が少し下着につくこともあるため生理用ナプキンを常時つけている状態です。水泳授業の着替えの場所は、ナプキンの交換などがあるので、みんなとは別にしてもらっています。

――クローン病の症状が原因で学校を休むことはありますか?

ママ:いわゆる風邪や、ちょっと調子が良くなさそうな時などは無理せず学校を休みますが、クローン病の症状が悪化して休んだということは、これまでありません。少し疲れやすさなどはあるのかもしれませんが、持久走なども普通に走りますし、学校から帰ってきても犬の散歩に行ったり、公園に遊びに行ったりして過ごしています。

おうちでの好きなごはん、作り分けについて

――ご家族の食事は作り分けなどされていますか?

ママ:作り分けはしていないです。脂質が低めな食事を中心に、みんなが一緒に食べられるものを作るようにしています。

――好きな食べ物は何ですか?

お子さん:(おかしでは)グミが好きです。

ママ:ココアを使った手作りおかし、無添加の米粉クッキーなどもときどき食べています。ごぼうなど食物繊維が多い野菜はもともと好まなかったので、狭窄を意識して食材を考えるということはあまりないかもしれません。

画像右寄せ

お子さん:(ごはんでは)オムライス(低脂質な冷凍チキンライスに、電子レンジでできる薄焼きたまごを乗せるだけ)、から揚げ(ノンフライ)、鶏の照り焼き(トースターで作る)、あとは、「ライスペーパーピザ」(写真)が好きです。

ママ:ライスペーパーピザは、ケチャップ・乾燥パセリ、手作りの鶏ハム、低脂肪チーズを使います。ライスペーパーは3枚か4枚、ピーマンや玉ねぎなど乗せても良いと思うのですが、娘は野菜が苦手なのでいつも鶏ハム、マッシュルーム、パセリが多いです。半分くらいの量を食べています。焼き加減にもよりますが、結構パリッと仕上がります。

役に立ったアドバイス、小児IBD患者さんのご家族へのアドバイス

――医療者とのコミュニケーションで役に立った、うれしかったアドバイスなどはありますか?

ママ:診断直後は不安が大きく、小学校に入学してもお弁当生活で、給食は食べさせてあげられないのかなと思っていました。診断後から現在までずっと同じ病院の同じ先生が診てくださっていますが、その先生が「入学式までに退院して、みんなと同じように給食を食べられるようになることが目標です」と言ってくれて、私はすごく救われた気持ちになりました。いつも前向きな言葉をかけてくださる先生で、とても助かっています。

――最後に、IBDの小児患者さんやご家族へのメッセージをお願いします

ママ:今は寛解しているから、娘も家族も普通に、前向きな気持ちで過ごせています。でも、いざ再燃した時、今の気持ちを保つことができるだろうか…と常日頃から思っています。

娘の病気がわかってから、情報収集をしたり、栄養学の勉強をしたりしてきました。世の中には情報があふれていますが、いざという時でも、何を選択するべきかを判断できるだけの知識をつけてきたので、そういう面での不安は大きくはないかもしれません。

10歳以下の発症で、将来を不安視される方もいるでしょうけど、親の病気に対する発信の仕方、考え方次第で、子ども自身の病気に対する考え方は変わってくるのではないかと私は思っています。若年発症であることをプラスにとらえて、お子さんとコミュニケーションをとってみていただけるといいのかなと思います。

(IBDプラス編集部)

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