大腸カプセル内視鏡、日本人での有用性を大規模研究で確認
ニュース | 2025/5/13
飲み込むだけの大腸検査、海外ではさまざまなデータが報告されている
藤田医科大学は、日本人を対象とする大規模研究で、大腸カプセル内視鏡の有用性を確認したと発表しました。
従来の大腸検査は、大腸内視鏡や注腸造影、大腸CTなど、いずれも肛門から器具を挿入する必要がありました。これに対し、大腸カプセル内視鏡は小型カプセルの両端にカメラが付いており、飲み込むだけで検査が可能です。
海外では、さまざまな腸管洗浄法での大腸カプセル内視鏡の成績が報告されています。しかし、体格や腸管洗浄剤の種類が異なる日本人を対象とした大規模な研究は、これまで行われていませんでした。
86.1%で大腸全体の観察に成功、IBD患者さんでも良好な結果
今回の研究では、全国44施設で1,006人に対して大腸カプセル内視鏡と通常の大腸内視鏡を実施し、検査所見を分析しました。参加した患者さんの数は、海外も含め過去最大となりました。
その結果、大腸カプセル内視鏡で大腸全体を観察できた割合は86.1%で、特に63歳未満の人や炎症性腸疾患(IBD)の患者さんで良好な結果が得られました。また、検査の成否に影響するのは、腸管洗浄剤を使用するタイミングや量、ブースター用ヒマシ油の量であることが判明しました。
腸内の洗浄度(内視鏡的洗浄度)は、66.5%が「適切」と評価されました。洗浄度には、慢性便秘症、前日の腸管洗浄剤・下剤の使用、当日の腸管洗浄剤の量が影響することもわかりました。
6mm以上のポリープ発見感度は大腸内視鏡の約9割、カプセル滞留は0.2%
大腸ポリープや腫瘍(がんも含む)を発見する感度は、従来の大腸内視鏡を100%とすると、大腸カプセル内視鏡は6mm以上のポリープで92%、10mm以上では89%でした。安全性については、1,006人中2人(0.2%)でカプセルの滞留が報告されました。また、次回も大腸カプセル内視鏡検査を希望する人は63%でした。
今回の研究により、大腸カプセル内視鏡が日本人でも高い精度と安全性を持つことが示されました。研究グループは、「今後、適切に大腸カプセル内視鏡を用いることで大腸検査の受診率向上に貢献することが期待される」と述べています。
(IBDプラス編集部)