「新薬の開発に貢献できた」という思いが、今も強く残っている
IBDの治験体験談 | 2022/7/13 更新
藤岡さん 50歳(2013年3月時点)
藤岡さんは、首都圏に在住の会社員で、妻と2人暮らし。1996年に潰瘍性大腸炎を患い、大学病院に通院して内科治療を受けてきた。約17年の闘病生活のうち、最初の10年は再燃と寛解を繰り返してきたが、ここ7年は寛解状態が続き、2年に1回ほどの再燃で症状が安定している。患者会での役員経験があり、この病気のために何かできることがあればという気持ちを持っていた。
2010年に院内待合室に貼ってあった治験参加者募集のチラシが目に留まり、主治医に参加を相談した。チラシは目立つものではなかったが、「潰瘍性大腸炎」と書かれていたので敏感に反応した。主治医からコーディネーターを紹介され、話を聞いたところ、治験薬は常用している薬と同じ種類のものであること、しかも(試験薬の)プラセボに当たっても既存薬を飲めることがわかり(実薬対照試験)、治験への参加を決めた。家族には後で報告した。
治験期間は8週間で、毎日症状を記録し、週に1回、血液検査を受けた。治験開始時と終了時には内視鏡検査を受けた。通常より頻繁に通院が必要だったが、当時勤めていた部署は病気のために会社を休むことが許容される雰囲気があったので、抵抗なく休めた。8週間という期間は、終わってみたら結構短かったので、自分にとって障害になるようなことはなかったと思う。
これまでは、治験とは入院するような状態の悪い人が医師に勧められてやるもので、自分のような比較的症状が安定している人は対象にならないと思っていた。しかし、自分にも治験参加の機会があることを知り、自分がこの病気で苦労している方々の力になれればと参加を決めた。自身の症状は安定していたので、自分のためにやるという意識はなかった。
治験期間中は主に主治医とコミュニケーションを取っており、CRCは最初に説明を受けて以降ほとんど会っておらず、特別な印象は残っていない。自分が関わった治験薬の情報を知りたいとは思うが、主治医も変わってしまい、CRCと会う機会がないので話を聞く機会がない。治験に参加したことで、新薬の開発に貢献したという思いがある。また機会があれば、やってもいいかなと考えている。
新しい薬をつくるために、他の患者さんたちにも治験に参加することを選択肢の一つとしてもらえればと思う。希少性のある疾患なので、医療機関や研究者だけの努力だけではなくて国全体で新薬開発に取り組んでほしい。
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