【IBD食事のキホン】料理初心者でも心配無用!食事作りのポイント丸わかりガイド

ライフ・はたらく2023/5/10

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自炊

「IBDレシピ」でおなじみ、管理栄養士のIzumi Ohbaさんに、食事や栄養に関するさまざまなギモンにお答えいただきます。最終回となる今回は、初心者が気負わずに楽しみながら自炊を始めるポイント、そして、みなさんから寄せられた食事作りのお悩みにもご回答いただきました。特に「料理が苦手でストレス…」「面倒なことはやりたくない」というみなさんはご一読を!

ポイントまとめ

  • 初心者は「電子レンジ」と「スキレット」が強い味方
  • インスタント味噌汁は「具なし」が便利!
  • 普段の食事にも冷凍のお弁当用おかずを活用
  • 家族との食事は作り分けではなく「取り分け」を

Q:料理初心者のIBD患者さんにオススメの料理道具や、簡単調理のコツを教えてください!

初心者の方は電子レンジで調理してみてはいかがでしょうか。最近では電子レンジでご飯が炊けたり魚が焼けたりする便利グッズがありますし、硬い野菜も電子レンジで加熱するだけで柔らかくなります。また、オーブントースターやコンロの魚焼きグリルを使って、スキレット(鋳鉄製のフライパンで小ぶりのものも多い。最近ではテフロン加工してあるものも)の併用もオススメです。調理後、皿に盛りつけず、そのままテーブルに出せます。鶏肉の脂質が少ない部分を冷凍しておいて食べたいときにスキレットで焼いて出すだけでも立派な一品になります。

脂質が気になる一方、脂質が少ない肉は硬くて食べづらいのが難点です。脂質が気になる場合には、しゃぶしゃぶのように一度湯通しをすると脂質を減らすことができます。夏であれば、一度湯通ししてから、冷しゃぶにしてもいいかと思います。また、しゃぶしゃぶに限らず、一度湯通ししてから生姜焼きや野菜炒めに使うなどしても、脂質摂取量は、かなり減らせます。スライス肉を購入し、一度全体を湯通しして、食べる分ずつの小分けにして、冷凍にしておくと、いろいろな料理に使えて便利です。また、脂質の少ない赤身の肉を使う場合には、できるだけ薄くスライスしてあるものを選ぶと、硬さが軽減されます。

もも肉のような肉は硬いものが多いので、しゃぶしゃぶくらいに薄くスライスしたものを選ぶ、また、少し脂質のある部位の肉は、湯通ししてから使うなど工夫して、料理に使い分けしていただければと思っています。

水煮のツナ缶は、大根おろしをのせてポン酢をかけるだけで立派なおかずになります。ツナ缶をサンマの蒲焼きやサバ缶、鮭フレークにしてもいいですね。サンマの蒲焼きのように味がしっかりついているものであれば、ご飯に混ぜ込むだけで「混ぜご飯」になりますし、すし酢を加えれば「混ぜ寿司風」になります。味付けも面倒だと思われがちですが、めんつゆポン酢を買っておくといろいろ使えて便利です。充填豆腐(豆乳と凝固剤を直接パックに充填して固めた豆腐。通常の豆腐に比べ日持ちする)や卵豆腐も常備しておくと便利です。

Q:超手抜きしたいときの献立を教えてください!

近頃は味噌味や醤油味など、最初から味がついているお魚が売っていますので、それを焼き魚用のグッズに入れてレンジでチン、ご飯を炊くのが面倒だったらパックご飯でもいいと思います。それもレンジでチンするだけです。そこにプラスしてお味噌汁があるといいですね。

インスタント味噌汁に入っているわかめなどが心配であれば具は入れず、代わりにお豆腐を入れるのが良いと思います。インスタント味噌汁も具沢山のものではなく、お寿司のおまけでついてくるような具がほとんど入っていない味噌汁を買っておきましょう。それにお湯を注ぎ、レンジでチンしたお豆腐を入れれば、お豆腐の味噌汁の完成です。焼き魚、ご飯、お豆腐の味噌汁。これに、冷凍かぼちゃなどをレンジでチンしてドレッシングをかけるだけでも豪華な食卓になります。

それも面倒という人は、冷凍のお弁当用のおかずを上手に使いましょう。お弁当のおかずとしてだけでなく、一品足りない時のおかずとしても活躍してくれます。小分けになっているものが多いので、使いたい分だけ出せるのも便利です。コンビニのお惣菜を買うよりは安価だと思います。このような工夫をちょこっとプラスしていくのがオススメです。

Q:節約のために「お弁当」を作ろうと思うものの、どうしたらいいのかわかりません!

お弁当はきれいに詰めるのが大変ですよね。オススメは、上にどんどんのせていくスタイルのお弁当です。まずご飯の上に炒り卵や鮭フレークを敷いて、その上に野菜をのせるだけでOK。おかずは、冷凍のお弁当用の焼き魚(いろいろな種類があります)や、1人分ずつ容器に入っているような煮豆(柔らかく煮てあります)が使いやすいと思います。

これだけではおなかが空くというのであれば、スープジャーを活用しましょう。お好みの冷凍野菜(少量をあらかじめレンジでチンしておく)、スープの素、熱湯をスープジャーに入れるだけ。食べる頃には野菜が柔らかくなっています。お弁当作りも上手に手を抜きながら気軽に楽しみましょう!

Q:家族がIBDなのですが、毎日のご飯を作る際の工夫などあれば教えてください!

私も次男が潰瘍性大腸炎なので、お気持ちがよくわかります。IBDの家族だけ別のものを作るって大変ですよね。そんな時は、取り分けという方法をお試しください。同じ食材に違う加工をして2品作るという感じです。

我が家の場合ですと、アジを買ってきたら次男は「アジのつけ焼き」にして、他の家族は「アジのフライ」にするなど、1品を取り分けメニューにして、もう1品は「かぼちゃの煮物」など、みんなで食べられるものを作るというパターンが多かったですね。

Izumi Ohbaさんからのメッセージ

食事は毎日のことなので、1食1食にそこまで力をいれる必要はありません。また、患者さんたちには「1日ごとの食事で一喜一憂するのではなく、1週間単位で見て」とアドバイスしています。今日脂質を取り過ぎてしまったら、明日は控えめにすればいいんです。自分なりのリズムを、楽しみながら見つけてみてください。ただ、一度にたくさんの脂質や食物繊維を取ることは、おなかに負担がかかりますので、取り過ぎないことは大切です。食事作りも、頑張り過ぎてすぐに力尽きてしまっては意味がありません。少しの工夫で上手に手を抜きながら、長く続けていくことが大切です。私もみなさんの日常に活かしていただけるよう、IBDレシピを今後も頑張って作っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

※患者さん個々人の状況によって食べられるもの・食べられないものが大きく異なるため、記事の内容が全員に該当するわけではありません。医師や栄養士など、専門家によく相談しましょう。

(IBDプラス編集部)

監修者プロフィール

栄養士のプロフィール

管理栄養士

Izumi Ohba

病院栄養士、調理師養成専門学校教員などを経て、現在は介護福祉施設栄養士。家族がIBD患者。得意分野は嚥下調整食。簡単で、すぐできて、おいしいレシピ作りを心がけています。彩り豊かで楽しいお食事を!!

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