潰瘍性大腸炎の改善も期待できる「発酵米糠」、マウスで病的な骨吸収を抑制

ニュース2023/8/8

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関節リウマチや骨粗しょう症などを引き起こす病的な「骨吸収」が問題視されていた

東北大学の研究グループは、「発酵米糠」の摂取が病的な破骨細胞形成と骨吸収を抑制することを、マウスを用いた実験で見出し、その仕組みを初めて明らかにしたと発表しました。

超高齢社会を迎えたことで基礎疾患をもつ患者さんが増加し、それに伴う骨粗しょう症・関節リウマチ・歯周病など、病的な骨の破壊を伴う疾患が問題となってきています。これら病的な「骨吸収(破骨細胞による骨の破壊)」の抑制には、さまざまな薬剤の投与が行われていますが、より安全で簡便な「食物摂取」による抑制・予防が望まれています。

米糠は、食物繊維・ビタミン・各種アミノ酸・抗酸化物質などを含み、胃腸の健康を促進すると報告されています。

そこで研究グループは米糠を発酵させることで、ヒトへの利用に適するように、麹カビで発酵させ、さらに乳酸菌混合物を加えて発酵させて、殺菌後に濾過して凍結乾燥させた「発酵米糠」を開発しました。この2段階で発酵させる特殊な発酵米糠は、メタボリックシンドローム改善作用、サルコペニア改善作用、潰瘍性大腸炎予防および改善作用など、さまざまな生理活性があると報告されているそうです。

発酵米糠が、モデルマウスの破骨細胞形成と骨吸収を抑制

研究グループは、マウスに2段階発酵米糠とコントロール食を食べさせ、1週間後にマウス頭蓋部に毎日5日間炎症を誘導する成分を投与して炎症を起こし、破骨細胞形成を行いました。その結果、炎症を促進するサイトカインTNF-αの発現が抑制され、破骨細胞形成と骨吸収が抑制されたということです。

次に、マウスから骨髄細胞を採取し、試験管内で破骨細胞前駆細胞を調整しました。その培養液に発酵米糠抽出物を入れ観察したところ、破骨細胞形成が抑制されたそうです。

これにより、発酵米糠の成分が直接、破骨細胞形成を抑制できることが明らかになりました。この「発酵米糠の成分が直接作用し破骨細胞形成を抑制できる」ということは新しい発見だということです。

実験モデルで効果を検証し、実用化を目指す

今回の研究結果により、発酵米糠の摂取は、病的な骨吸収を伴う疾患の骨破壊を抑制することが期待できるということがわかりました。研究グループは、これらの実験モデルを使用して効果を検証し、実用化を目指すとしています。

「発酵米糠の成分は直接破骨細胞形成を抑制できることから、新規有効成分の発見が期待されます。新規有効成分をさまざまな分画から探索し、その効果を検証していく予定です」と、研究グループは述べています。

(IBDプラス編集部)

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