オートファジーを誘導し、「腸管バリア機能」を高める乳酸菌を特定
腸管バリア機能は「加齢」や「慢性炎症」などで低下
株式会社明治と東京医科歯科大学難治疾患研究所の清水重臣教授らの研究グループは、明治保有の乳酸菌「ラクチプランチバチルス プランタルム OLL2712(以下、OLL2712株)」が、腸管上皮細胞であるCaco-2細胞を用いたモデル系において、生体の恒常性に関わるオートファジーを誘導し、腸管バリア機能の一つ「物理的バリア機能」を高めることを確認したと発表しました。
オートファジーとは、細胞内で不要になったタンパク質や侵入した細菌などを分解し、リサイクルして栄養素を生み出すことなどにより、細胞内の恒常性を保つ重要な仕組みです。オートファジーが正常に働かなくなると、糖尿病・がん・心血管疾患など、さまざまな病態に関わることが明らかになっています。また、加齢でもオートファジーが低下することが知られています。
一方、腸管には病原細菌や有害物質などの異物から腸管組織を保護するための「腸管バリア機能」が備わっています。しかし、加齢や慢性炎症などでこの腸管バリア機能が低下した状態では、さまざまな異物が体内に入ってくる可能性があります。
オートファジーを活性化すると、低下した腸管バリア機能が回復するという報告もあることから、腸管でオートファジーを活性化し、腸管バリア機能を高めることは健康維持に重要であると言えます。
オートファジー活性化が「炎症抑制」につながるという報告も
そこで研究グループは今回、オートファジー検出試薬を用いて、腸管上皮細胞におけるオートファジー誘導効果を確認しました。その結果、OLL2712株を加えることによってオートファジーが活性化されることが明らかになりました。
さらに調べると、OLL2712株がオートファジーを介して細胞同士の結合に関わる遺伝子を働かせ、物理的バリア機能を強化していることが判明したということです。
「腸管においてオートファジーを活性化することは炎症抑制につながることも報告されており、OLL2712株に関する先行研究で明らかにしている抗炎症作用による糖・脂質代謝改善効果のメカニズムの一端となる可能性がある」と、研究グループは述べています。
(IBDプラス編集部)
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