IBD患者さんの「遺伝子多型」ごとに異なる薬剤効果の違いに関する情報提供を開始

ニュース2023/9/11

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同じIBD患者さんでも「遺伝子多型」によって、薬剤の向き・不向きがある可能性

3Hメディソリューション株式会社と株式会社ジーンクエストは、共同で炎症性腸疾患(IBD)患者さんのレジストリ(患者さんの疾患・健康状態・治療内容・治療経過などの情報を管理するデータベース)を構築し、個々人で異なる遺伝子の変化のタイプ(遺伝子多型)ごとに異なる薬剤効果の違いに関する解析情報の提供を開始したと発表しました。

両者は計100人のIBD患者さん(潰瘍性大腸炎80人、クローン病20人)を対象とした遺伝情報や臨床情報のデータベースを構築。収集した遺伝情報と臨床情報(治療経過・服薬履歴、生活習慣情報)から、IBD患者さんが服用しているさまざまな薬剤の満足度に関連する遺伝子多型が存在するか探索しました。その結果、タイプごとに薬剤の満足度が異なる遺伝子多型が存在することが示唆されました。

例えば、「遺伝子多型B」はIBD発症リスクが低い傾向にあり、薬剤Bでは満足度が高く、薬剤Eでは満足度が低い傾向となる、というように遺伝子多型によって薬剤の向き・不向きがある可能性が示唆されました。

同結果を用いることで、患者さん個人に合った薬剤選択に役立つだけではなく、より満足度の高い薬剤の開発につながることが期待されます。なお、今回発表されているような結果以外にも、取得している患者さん背景の情報や、新たに取得する情報を組み合わせた解析レポートも提供していくとしています。

患者さんも「遺伝子多型による薬剤効果の情報」を知ることが可能に

製薬企業はこの定点調査に参画することで、定期的・継続的にIBD患者さんの遺伝子多型ごとの薬剤効果に関する情報が入手できます。また、患者さんの背景情報や治療経過など、ペイシェント・ジャーニー(患者さんが病気に気付き、治療し、寄り添い、回復していく過程を心理的な変化とともに記録したもの)を知ることで、新たな治療介入に対する気づきを得ることができます。その際、特定の患者さんにより深い聞き取りを行うことも可能です。今後、QOLの指標を定点調査に追加予定で、それにより薬剤がQOLの変化に与える影響を解析することが期待されます。

一方、IBD患者さんはこの取り組みを通じて、治療に有益な情報が公開情報として入手可能になります。特に、遺伝子多型による薬剤の効果に関する情報は患者さんごとに異なるため、ジーンクエスト社の会員専用のポータルサイト内など、パーソナライズ化された環境での提供が可能だということです。また、同取り組みに参加された患者さんには、データ解析で得られた結果の一部を共有し、自身が協力した研究成果を知る機会が得られるそうです。

両者は「遺伝子多型ごとの薬剤効果や満足度の違いに関する情報を活用し、新薬開発における新たな候補化合物の選定や治験における被験者募集の効率化、治療選択肢の拡大につながる情報提供を開始する。今後、幅広い疾患に対して応用することで、新薬開発の促進と患者の治療満足度向上に寄与する活動に貢献していく」と、述べています。

(IBDプラス編集部)

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