日本初となる「腸内細菌叢バンク」の運用開始、腸内細菌ドナーも募集

ニュース , 腸内細菌を学ぶ2024/4/10

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世界で広まる腸内細菌叢移植、国内での開発推進にはドナーが不可欠

メタジェンセラピューティクス株式会社は2024年4月2日より、日本初の腸内細菌叢バンク「J-Kinsoバンク」の運用と「腸内細菌ドナー」の募集を開始したと発表しました。

近年の研究により、腸内細菌叢の乱れは、潰瘍性大腸炎、がん、パーキンソン病、アレルギーなど、さまざまな疾患と関連することが明らかになっています。世界では腸内細菌を医療で活用する動きが広がっており、米国やオーストラリアで腸内細菌による医薬品が承認されています。

日本では、2023年1月より先進医療Bとして潰瘍性大腸炎を対象とした「抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」が承認され、腸内細菌叢移植(Fecal Microbiota Transplantation、以下、FMT)の有効性・安全性の検証が進んでいます。今後、日本においてFMTを社会実装し腸内細菌医薬品の開発を推進するためには、腸内細菌ドナーの協力が不可欠です。

全ての検査を通過し「腸内細菌ドナー」となれるのは全体の約10%の見込み

J-Kinsoバンクは、日本初となる腸内細菌を活用した医療技術や医薬品の開発を目的とした腸内細菌叢バンクです。同バンクでは便を提供する腸内細菌ドナーを募集し、スクリーニングを実施。適格となったドナーの便は腸内細菌の抽出などの製造工程を経て、FMTの臨床試験に使用されるとのこと。またドナーの便を、腸内細菌を活用した医薬品の研究開発にも活用するとしています。

同社は2024年4月2日より、J-Kinsoバンクにおける腸内細菌ドナー候補者の登録受付を開始しました。登録希望者はウェブサイトでウェブ問診に回答し、安全性基準を満たした人を「腸内細菌ドナー候補者」として登録します。さらに、ドナー候補者のうち医療機関での適格性検査を通過した人のみ、正式に腸内細菌ドナーとしての「献便(便の提供)」が可能となります。なお、全ての検査を通過して腸内細菌ドナーとなる人は、ウェブ問診回答者のうち、約10%と推定されています。

健康な人の腸内細菌が患者さんとシェアされ、病気の治療につながる未来を目指して

腸内細菌ドナーによる献便は4月2日より当面の間、順天堂大学医学部附属順天堂医院内の所定の場所で実施されますが、今後日本国内複数か所に献便施設を設け、より多くの腸内細菌ドナーに献便をしてもらえる環境を整えていくとしています。

IBDプラスの「腸内細菌を学ぶ」のコーナーでもご協力いただいている順天堂大学医学部消化器内科 准教授(メタジェンセラピューティクス取締役CMO)の石川大先生は、以下のように述べています。

「J-Kinsoバンクは、腸の健康のバトンをつなぐ全く新しいバンクです。健康な人の腸内細菌が、本バンクを通じて多くの患者さんとシェアされ、病気の治療につながる未来が目の前まで迫っています。今後FMTは医療技術としてのみではなく、医薬品に形を変え、より患者さん負担の少ない治療の選択肢となる可能性を秘めています。その成果を多くの患者さんにお届けするためには、ドナーの皆さまのご協力が必要です。何卒、ご協力をお願いいたします」

(IBDプラス編集部)

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