潰瘍性大腸炎の特徴的な抗体と「高安病」との関連を解明

ニュース2024/5/28

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高安病で潰瘍性大腸炎の合併が多いことが知られていた

理化学研究所、静岡県立総合病院、静岡県立大学の研究グループは、高安病(TAK)と潰瘍性大腸炎(UC)の病態形成機構を解明したと発表しました。

TAKは大動脈に炎症を起こす自己免疫性血管炎の一つで、20~30歳代の若い女性が多く発症します。UCも発症年齢はTAKと同様ですが、TAKのような明確な男女差は認められません。

TAK患者さんではUCの合併が、非TAK患者さんや健常者よりも高いことが知られています。また、UC合併TAK患者さんは非合併患者さんよりもTAKの発症年齢が若く、「HLA-B*52」の保因者が有意に多いことが知られています。HLA-B*52はUCのリスク遺伝子でもあることから、両疾患には共通の遺伝背景に基づいた病態形成機構が存在すると考えられていました。一方、TAK、UCともに血管内皮細胞に対する自己抗体を中心に、さまざまな自己抗体がこれまで報告されてきました。

研究グループは今回、TAK患者さん227人において、抗インテグリンαvβ6抗体の有無とUC合併の有無およびHLA遺伝子との関連を検討しました。

その結果、抗インテグリンαvβ6抗体が、UC合併のないTAK患者さんにおいてもわずかに認められるものの、両疾患の共通リスク関連HLA遺伝子「HLA-B*52」の影響は有意に認められず、致死的な合併症である大動脈弁閉鎖不全症と関連しないことを見出しました。

両疾患の「診断・治療・予後予測」などに応用できる可能性

UC合併のないTAK患者さんに抗インテグリンαvβ6抗体の有意な関連が認められなかったことは、共通の遺伝的背景を有するTAK患者さんにおいても、同抗体がUCに対して特異性が高いことを意味しており、両疾患における病態形成機構の違いを説明する要素の一つであると考えられます。

「共通の遺伝的背景を要するTAKとUCにおける病態形成機構の共通点・相違点の解明に基づいた両疾患の診断、治療、予後予測などへの応用に貢献すると期待できる」と、研究グループは述べています。

(IBDプラス編集部)

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