小麦ブランに含まれる成分が腸内の免疫機能を高める可能性、培養細胞で確認

ニュース2025/3/19

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整腸作用以外にも多彩な機能を持つ小麦ブラン

農研機構は、日清製粉グループ本社との共同研究において、小麦ブラン(ふすま、小麦粒の表皮)に含まれる成分に免疫に働きかける機能があることを培養細胞の実験で確認したと発表しました。

小麦ブランは、全粒粉パン、シリアル、飲料などさまざまな食品に用いられ、小麦ブランそのものも食材として販売されています。小麦ブランは食物繊維による整腸作用がよく知られていますが、それ以外にもさまざまな機能を持つことを示唆する報告が増えています。今回の研究は、小麦ブランが免疫系に及ぼす作用と、それに関与する成分を明らかにすることを目的として行われました。

免疫に作用する成分を特定、実用化に向け研究を継続

抗体の一種である分泌型IgAは粘膜を守り、細菌やウイルスの感染を防ぐ働きがあります。腸管内のIgA量は、その産生量と腸管内への輸送を担う分子の量という2つの仕組みで制御されます。研究グループは、IgA産生量を増やす「BAFF」と、IgAを運ぶ「pIgR」という分子に着目し、培養細胞を用いて、これらを増やす働きを持つ小麦ブランの成分を探索しました。

その結果、小麦ブランに含まれる「アルキルレゾルシノール」という物質にBAFFを増やす作用があることを見出しました。また、小麦ブランには、アルキルレゾルシノールとは別に、pIgRを増やす活性を持つ成分も存在することがわかりました。このことから、小麦ブランは腸管内のIgA量の制御に関わる分子を増やすことで、抗体量の維持に働くことが示唆されました。

研究グループは「今後は小麦ブランの一日摂取目安量などを明らかにすることで、免疫機能への働きについて、さらなる科学的根拠の確立を目指す」と、述べています。

(IBDプラス編集部)

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