大腸内視鏡検査、前処置の負担を減らす方法を開発

ニュース2025/4/14

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大腸内視鏡検査は前処置で飲む腸管洗浄剤の負担が大きい

大阪公立大学は、大腸内視鏡検査の前処置において、慢性便秘症治療薬「リナクロチド」を使うことで、腸管洗浄剤の量を従来の半分に減らしても高い洗浄効果が得られることを確認したと発表しました。

大腸内を内視鏡で観察する大腸内視鏡検査では、検査前に腸管をきれいにするための前処置が必要で、一般的にポリエチレングリコール(PEG)腸管洗浄剤4リットル(L)かアスコルビン酸を含むPEG製剤(PEG-Asc)2Lを服用する方法が用いられます。しかし、どちらも服用量が多く、患者さんの負担が大きいことが課題です。

研究グループは、以前の研究でPEG-Ascに刺激性下剤「センナ」を組み合わせることで、必要量を1Lまで減らせることを証明しました。しかし、この方法では腹痛を感じる人が多く、便秘症の患者さんには効果が不十分という課題がありました。

リナクロチドはセンナより効果「高」、前処置不良リスクの高い患者さんにも有効

今回の研究では、慢性便秘症治療薬「リナクロチド」に着目しました。この薬は腹痛を抑える作用もあるため、センナより洗浄力が高く副作用が少ない可能性があると考えられました。

5つの病院で合計1,464人の患者さんを対象に、PEG-Asc 1Lとリナクロチド0.5mgを使用するグループと、PEG-Asc 1Lとセンナ24mgを使用するグループに分けて比較しました。その結果、リナクロチドを使ったグループの方が腸の洗浄効果が高く、前処置成功率も高いことがわかりました(リナクロチド群:92%、センナ群:86%)。一方、患者さんが感じる負担や辛さの程度に大きな違いはありませんでした。

さらに、年齢や併存疾患などが原因で腸がきれいになりにくい「前処置不良リスクの高い患者さん」と、「リスクが低い患者さん」で比較したところ、リナクロチドはリスクが高い患者さんでより効果的でした(リナクロチド群:94%、センナ群:86%)。

今回の研究から、リナクロチドを補助薬として使うことで、より負担の少ない前処置法を実現できる可能性が示されました。今後は、現在の標準的な前処置法との比較や、さらに服用量を減らす方法の検討が進められる予定です。

(IBDプラス編集部)

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