潰瘍性大腸炎、血液検査で将来の発症を予測できることが判明

ニュース2025/6/20

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UCの早期診断、内視鏡検査の負担が課題

東北大学は、日本人8万人を対象とする大規模な研究により、潰瘍性大腸炎(UC)の発症は血液検査で数年前から予測可能であることを明らかにしたと発表しました。

UCは早期に診断し、治療を開始することが極めて重要とされています。しかし、確定診断には内視鏡検査が必要で、この検査のハードルの高さが診断の遅れにつながることが課題となっていました。

研究グループは、これまでに「抗EPCR抗体」という自己抗体(自分の体の成分を外敵と誤認し作られるタンパク質)がUCの診断に有用であることを明らかにしてきました。また、米国では「抗インテグリンαvβ6抗体」を測定することで、将来のUC発症を予測可能であることが報告されていますが、日本人では検証されていませんでした。

血液中の自己抗体量と数年後の発症リスク・重症度の関連を確認

そこで今回の研究では、将来的なUCのリスク因子を明らかにするために、東北メディカル・メガバンク計画で収集された約8万人の血液と生活スタイルを詳しく分析しました。

その結果、UCを発症した人の50%以上で、診断される約5年も前から、これらの自己抗体が血液中に存在することが判明しました。2つの抗体を組み合わせると、予測の精度はより高くなりました。また、自己抗体の数値が高い人ほど近い将来にUCを発症する可能性が高く、発症後の症状も重くなる傾向があることがわかりました。

さらに、生活習慣の分析からは不眠がUCの発症リスク要因となることも明らかになりました。以前にも慢性不眠がUCの再燃リスクを高めるという報告があり、睡眠とUCが深く関連することが示唆されました。

今回の研究によって、将来的に血液検査によるUCの早期発見やスクリーニング検査が実現する可能性が示されました。不眠などの生活習慣の改善がUCの発症予防に効果があるかどうかについては、今後さらなる研究が期待されます。

(IBDプラス編集部)

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