【開催レポート】潰瘍性大腸炎治療薬「トレムフィア」記者説明会 5月30日
ニュース | 2025/6/6
中等症から重症の潰瘍性大腸炎治療の新たな選択肢
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性的な炎症が続く病気です。血便、下痢、腹痛などの症状を伴い、再燃と寛解を繰り返すため、長期にわたって安定した状態を維持できる新たな治療選択肢が強く求められてきました。
ヤンセンファーマ株式会社は2025年5月30日、中等症から重症の潰瘍性大腸炎治療薬「トレムフィア(R)(一般名:グセルクマブ)」の発売を記念し記者説明会を開催しました。

杏林大学医学部消化器内科学教授の久松理一先生からトレムフィアについて解説がありました。
潰瘍性大腸炎が慢性的な炎症を引き起こす要因のひとつといわれる物質が、IL-23です。トレムフィアは、IL-23が「作り出される場所」と「炎症を起こす場所」の両方でブロックする特徴を持つ新しいタイプの薬剤です。
久松先生は「この二重作用により、従来の治療で効果が不十分だった中等症から重症の患者さんに対しても、高い効果が期待される」と解説しました。
潰瘍性大腸炎は若年層での発症が多く、患者さんのライフイベントに大きな影響を及ぼす可能性があります。
久松先生は「この新薬が、長期的に症状を安定させ、患者さんが自分らしい生活を取り戻す一助となることを期待する」と述べました。
患者さんの「適切な治療」への道

患者団体のNPO法人IBDネットワーク運営委員/大阪IBD共同代表を務める三好和也さんは、潰瘍性大腸炎に悩む当事者としての経験と治療への切実な思いを語りました。
現在51歳の三好さんは、仕事で多忙な日々を送っていた40歳で潰瘍性大腸炎と診断され、約10年間で10種類ほどの薬を試しました。薬が潰瘍性大腸炎の症状には効いても、胸やけ、だるさ、気分の落ち込みといった副作用に悩まされ、「自分に合う薬に出会うまでが本当に大変だった」と語ります。この経験から、「適切な治療に出会えれば、充実した生活を送れるようになる」と強調しました。
三好さんは「今、症状は落ち着いているものの、外出時のトイレの心配や体調悪化・再燃への不安は常にある」といいます。時間に余裕を持って移動し、行く先々でトイレの位置を確認し、体調が悪化しそうだと感じたら無理しない、疲れたら寝ることを心がけているそうです。
三好さんは、治療への期待として「少しでも長く安定した状態でいたい」「再燃への不安を減らしたい」と話しました。
潰瘍性大腸炎は、患者さんの日常生活や将来設計に大きな影響を与える疾患です。今回の記者説明会を通じて、三好さんの率直な経験談から、適切な治療に出会うことの重要性が伝わってきました。
治療の選択肢が広がることで、これまで治療に悩んできた多くの患者さんが、それぞれに適した治療法に出会える可能性が高まることでしょう。
(IBDプラス編集部)