教えて、仲瀬先生! IBDの治療と食事、治験に関するQ&Aまとめ

医師インタビュー2022/7/27 更新

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3月19日に開催された「IBD YouTube座談会 vol.3」。厚労省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班のメンバーで、「JAPAN IBD COVID-19 Taskforce」のリーダーも務める札幌医科大学医学部 消化器内科学講座教授・仲瀬裕志先生にもご参加いただき、みなさんから寄せられた質問にご回答いただきました。今回は、「IBDの治療・食事」と「IBDの治験」に関する質問について、ご紹介します。

具合が悪くなったら”すぐ受診“のメリットは?「脂質」で気を付けるべきポイントは?

Q 状態がかなり悪くなってから病院に行くのと、早い段階で行くのとでは、やはり治療の効果が違うのでしょうか?

炎症が軽いときに治療を開始すれば、その後の具合が良くなりやすいです。状態がどのくらい悪くなっているかで、治療の種類も変わってきますので、早期での治療を繰り返し受けることが大事です。僕はこのことを「ブレないようにする」と言っていますが、初発でも、再燃でも、早い段階で治療を開始することがとても大切です。

Q 一度悪くなってしまうと、日常生活に戻るのにも時間がかかります。そのような場合は、どう過ごしたらよいのでしょうか?

悪い状態で来院される方の中には、精神的に不安定になっている方もいます。でも、僕たち医師は、精一杯その方に合う治療を考えて行います。また、昔に比べて病気の原因がわかってきていることで、良い治療がいくつも登場しています。ですから、中途半端に治療を受けるのではなく、主治医の指示をしっかり聞いて、良い状態にしっかり戻すことが大切です。「無理しないで」と言われた時はきちんと休みましょう。働いている人も、必要な時にはきちんと伝えて、休みを取ることが大切です。そのためにも、職場の理解を得る必要がありますし、病気のことを職場の人に「伝える」ことがとても大切です。

Q 食事は脂質に気を付けるように指導されますが、本当のところはどうなのでしょうか?

おなかの具合が悪いときは、脂肪は炎症を引き起こすので、控えていただいた方がよいでしょう。ただ、全く取らないと、ビタミンDなど、いくつかの種類のビタミンの吸収が悪くなってしまいます。

Q 油は「鮮度」も重要なのでしょうか?

そうですね。体に良いと言われている油も、一度開封してしまうとどんどん古くなっていきます。ですから、できるだけ小さい容器のものを使って、短期間で使い切る方が良いと考えます。

IBDの治験に対する仲瀬先生のお考えは?治験に参加したいと患者側からお願いできる?

Q IBDの治験に対する先生のご意見をお聞かせください

IBDは原因が徐々に解明されつつあり、今後、一人ひとりの患者さんに合わせた治療を行う「個別化医療」が進んでいくと思います。でも、今はまだ「あの人はこの薬が効いているのに、私には効かない」ということがありますよね。そんなときの治療選択肢の一つとして治験があると言えます。ですが、治験の説明をするときはプラセボ(偽薬)があたる可能性があるということもお伝えしなければなりませんし、具合が悪い時に説明されても、患者さんは聞く気になれませんよね。ですから僕は病状が安定しているときに、「悪くなった時の選択肢の1つ」として、説明するようにしています。

Q 患者側から医師に「治験に参加したい」とお願いすることはできますか?

治験にはそれぞれ、参加できる「基準」が設けられています。基準に合う人に治験薬を使ってもらって、正確に効果や安全性を評価するため、患者層をそろえる必要があるのです。ですから、「適格基準」に合わないと参加できない場合もあります。ですが、主治医の先生に治験参加について相談してみるのはとても良いことだと思いますし、セカンドオピニオンを受けてみるのもよいと思います。患者さんには「選ぶ権利」があるわけですから、いろいろな薬があるということを、1人でも多くの患者さんに知って欲しいです。薬がピタッと合えば、急に良くなる人もいるわけですから。そういう意味で、治験は、患者さんの治療選択肢が1つ増えることでもあるんです。そのことがまだ、患者さんたちにあまり知られていないというのは、僕らの力不足です。IBDの研究が、多くの患者さんたちの役に立てば嬉しいです。

仲瀬先生からIBD患者さんへのメッセージ

IBDという病気を世の中に、もっと広く伝えていくことが大切です。患者さんたちにはいつも笑顔でいて欲しいので、医療者である僕らも、引き続き全力でがんばっていきます。

(IBDプラス編集部)

仲瀬裕志 先生
札幌医科大学医学部 消化器内科学講座教授
仲瀬裕志 先生
神戸大学医学部医学科卒業、京都大学大学院医学研究科内科系専攻博士課程修了および学位取得。米国ノースカロライナ大学消化器病センター博士研究員、京都大学消化器内科学産学官連携講師、同大医学部附属病院 内視鏡部 部長などを経て、2016年より現職。

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