就活中に潰瘍性大腸炎を発症。社会人2年目のビジネスパーソンが考える、「はたらく」とは

仕事・はたらく2017/12/27

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学生から、社会人へ。その第一歩を踏み出す大きなライフイベントが「就職」です。2017年3月に卒業した大学生の就職率はなんと97.6%と、厚生労働省が調査を開始して以降、過去最高を記録しました。先行き不透明な社会情勢をものともせず、多くの学生が企業から内定を勝ち取ろうとしのぎを削っています。人材不足とは言われるものの、決して甘くはない就職活動。周到な準備が求められるだけでなく、スピード勝負の様相をも呈しています。

就職活動中というタイミングで潰瘍性大腸炎(UC)を発症したのが、今回取材をさせていただいたMさんです。人生において大きな決断を迫られる時期に入退院を繰り返したMさんは、どのようにして内定を得たのでしょうか。また、社会人としてのキャリアをスタートした後は、仕事に、そしてUCに、どう向き合っているのでしょうか。お話を伺いました。

※平成28年度(2016年度)大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000164865.html

Mさん(24歳、潰瘍性大腸炎歴3年)

IBDプラス_はたらく_インタビュー第三弾
大学3年の冬にUCを発症。以後、在学中に2回の入退院を繰り返す。同時期に就職活動に取り組み、大学4年の秋に専門機器メーカーであるA社から内定を得る。2016年3月に大学を卒業し、同年4月、A社に内勤職(経理)として新卒入社。現在、社会人2年目を迎えている。

就職活動スタート直前の大学3年2月に潰瘍性大腸炎の診断を

――大学3年の冬に、UCと診断されたそうですね。その時は、率直にどのように感じましたか?

Mさん: 風邪やインフルエンザになったことはあっても、子どものころから大病とは無縁でしたので、もちろん、診断を受けるまで「潰瘍性大腸炎」なんて言葉も聞いたこともありませんでした。医師から説明を聞き、そのあとネットで調べてみて、とんでもないことになったと思いました。「まさか、自分が!?」という困惑が強かったことを覚えています。

医師からUCと診断を受けたのは、就職活動解禁直前の大学3年の2月でした。ただ、UCとは言われたものの、お腹の具合がちょっと悪いくらいで、じきに良くなるだろうと少し楽観していたところもあったんです。当時、私は商学部で学んでいて、就職先として大手企業を中心に考えていました。特に、銀行や生命保険・損害保険などの金融業界を志望していたんです。総合職や営業職志望で、外回りなどもバリバリやっていこうと考えていました。

――就職活動を始めて、体調面での不安はありませんでしたか?

Mさん: 幸いにも、説明会や面接の場で体調が悪化することはありませんでした。しかし、就職活動で知らず知らずのうちに無理をしてしまったようで、大学4年の夏についに倒れてしまったんです。そして、1週間入院することになり、これにはとても焦りました。大学の友人たちには、ぽつぽつと内定が出始めていた時期です。一方、私は病床で動くこともままならない状態。就職活動もできない、大学に行くこともできない・・・何もできなくて歯がゆい気持ちでした。アルバイトをしていたレストランでのキッチンの仕事を辞めたのも、入院がきっかけです。

就職活動は継続するも、営業職から内勤職へ志望を変更

――入院を機に、就職活動の軸は変わりましたか?

Mさん: それまでは、総合職や営業を志望して就職活動をしていましたが、体調のことを本気で考えると、営業など外に出る仕事は難しいのではないかと感じ始めました。客先を訪問して、挨拶もそこそこに、「トイレを貸してください」というわけにもいきませんし。そこで頭を切り替えて、内勤職を中心に探すことにしたんです。会社の規模についても、入院中に大手企業の採用がどんどん進んでしまったこともあり、大手にこだわらず、中小企業も視野に入れることにしました。

内勤の仕事にもいろいろありますが、私の場合、幸運なことに、大学時代にたまたま簿記2級を取得していました。資格を取った当時は仕事に活かせるとまでは思っていなかったのですが、いざ内勤の仕事について考え始めたとき、資格を活かせる経理という仕事に興味を持ちました。中小企業も含めて幅広く企業を見ていくなかで、職種別採用を行っていた専門機器メーカーのA社を受け、10月に経理職として内定をいただきました。

――内定が出た会社は、A社以外にもあったそうですね。

Mさん: 実はA社から内定をいただくよりも前、9月にはB社からも、営業として内定をいただいていました。悩みましたが、やはり体調のことを考えると現実的に難しいと思い、辞退させていただきました。

A社への入社を決意した理由は、職種別採用を行っていて、外勤への異動がなくずっと内勤で働けること。そして、会社の雰囲気が落ち着いていて、自分の性格にフィットしているなと感じたからです。さらに言えば、年間休日が多くて、残業が少ない点も決め手のひとつになりました。やはり、再燃のリスクを考えますので、休みの取りやすさは重視しました。

入社2年目に再燃。入院を余儀なくされる

――A社の面接の際に、UCだということは会社側に伝えたのですか?

Mさん: 面接官から健康面を聞かれたら、話そうと思っていました。しかし、健康に関しては特に何も聞かれなかったため、UCだということは話さずに面接は終了したんです。今思えば、面接のときに話しておけばよかったと後悔しています。というのも、就職することができても、働いているうちに再燃する可能性がありますし、業務中にトイレへ行く回数が多くなることもあります。そうすると業務に支障がでてきてしまいますし、入社前にきちんとUCの症状について説明しておいたほうがよかったと思っています。

――実際に、入社してから周囲にUCだと言うタイミングはあったのですか?

Mさん: 入社して1年目は、トイレに行く頻度が少し多いくらいだったのですが、入社2年目の春に再燃してしまいまして。およそ2か月間も入院することになってしまったのです。そのタイミングで、上司に「自分はUCという病気だ」ということを打ち明けました。すると、私の上司はとても良い方で。入院中にも何回かお見舞いに来てくれて、「一緒にこれからの仕事の進め方を考えていこう」と前向きな言葉を投げかけてくれました。

上司にはとても恵まれたと感じています。入社前にUCだと会社に伝えなかったことを、私はずっと後ろめたく思っていまして、入院中もその後ろめたさを引きずっていました。そこで、何回目かに上司がお見舞いに来てくれたときに、思い切ってその気持ちを上司に打ち明けたのです。すると上司は、「うちの会社の採用では、『人』を見ている。健康か病気かではなく、Mという人を見て採用したのだから、言わなかったことについてはもうこれ以上、気にしなくていい」と言ってくれて。胸のつかえがとれましたね。現在は、体調を上司に報告しつつ、無理のかからない範囲で仕事をしています。

大事なのはやはり、睡眠と食事

――UCとうまく付き合いながら仕事をするために気を付けていることはありますか?

Mさん: 2つあります。1つ目は、十分な睡眠です。やはり、睡眠不足は体調悪化に直結しますので。朝は7時に起きて、夜は遅くとも24時には寝るようにしています。毎日7時間の睡眠を確保しています。

2つ目は食事です。体調が良いときには少しだけお酒を飲んだりすることもありますが、肉や脂物、刺激物は避けて、野菜と魚を主体とした食事にしています。ほとんど自炊です。

あとは、自分自身の体調管理をするために、アプリなども利用しています。症状や体調の変化を記録できるアプリがあるんです。私の場合、再燃するとき、しないときに、何か法則のようなものがあるのではないかと思っていまして。体調の変化を記録することで、再燃しやすいパターンがあるかどうかなど、振り返りができれば体調管理に役立てられると思って使っています。

――まずは体調が第一とは思いますが、仕事面・プライベート面での夢や目標を教えてください

Mさん: 仕事面では、経理としての専門性を高めたいと思っています。将来的には決算業務などにも携わり、数字面から会社の経営に寄与していきたいと考えながら、今は毎日一生懸命働いています。プライベートでは、趣味の旅行を続けていきたいですね。実は、国内旅行で47都道府県を制覇するという目標があります(笑)。まだまだ半分くらいしか行けていないのですが。

IBDプラス_はたらく_インタビュー第三弾02

――最後に、UCの方を含め、IBDのみなさんにメッセージをお願いします

Mさん: 診断されたばかりのときにはショックを受けましたが、UCになったからといって、なにもかもがダメになるわけじゃありません。紆余曲折はありましたが、私の場合は就職活動も乗り越えることができましたし、体調が良ければ、旅行もできます。悲観的にならずに、前向きに明るく過ごしてほしいですね!

(取材・執筆:眞田 幸剛)

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