【開催レポート】オンラインセミナー「おなかに不安がある方へ 災害時に安心できる栄養とトイレのおはなし」 11月17日

ニュース2024/12/9

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日本の、いいトイレの日(11月10日)と世界トイレの日(11月19日)に挟まれた11月17日、NPO法人日本トイレ研究所と武田薬品工業株式会社は、オンラインセミナー「おなかに不安がある方へ 災害時に安心できる栄養とトイレのおはなし」を開催しました。のざき消化器IBDクリニック院長の野﨑良一先生を座長に、IBD患者さんが経験した熊本地震の共有、IBD患者のための災害時の食事のポイント、自宅での災害時のトイレの備え方など多岐に渡るプログラムが催されました。

熊本地震で経験したトイレと衛生面の課題

IBD患者である和田千景さんとその夫の和田正則さんご夫妻は熊本地震で経験したトイレ問題を共有しました。

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和田さんご夫妻(提供:武田薬品工業)

震災後、和田さんご夫妻はまず避難先として近所にあるコミュニティセンターを検討したそうですが、「プライベート空間がない」「トイレが2つのみ」という環境面を理由に避難先を変更しました。選んだのは千景さんが通う済生会熊本病院でした。病院は被災を免れており「トイレも十分確保できる」「主治医もいる」などの理由から、病院の駐車場で3日間車中泊をしたそうです。

飲料水・生活用水が確保できるようになって、自宅に戻った後もトイレの問題は続きます。清潔なトイレ環境を保つため、トイレットペーパーやトイレ用洗剤など衛生用品を購入しようにも、どこのドラッグストアも品切れで、手に入りませんでした。そんな中、ペットボトルに取り付ける携帯用おしり洗浄器の存在を知った和田さん夫妻はSNSを通じ、「どこで入手できますか」と尋ねると、NPO法人IBDネットワークからの呼びかけで、携帯用おしり洗浄器の提供があったそうです。さらに一般社団法人日本難病・疾病団体協議会などを通じて衛生用品などの救援物資も多数届いたそうで、和田さんご夫妻は、患者会を通じて、避難所にいるIBD患者や難病患者など、必要な方へ救援物資の配布活動を行いました。和田さんご夫妻は「震災から8年経った今も衛生用品のストックは怠っていません。トイレ同様に衛生用品のストックは重要です」と強調しました。

IBD患者のための災害時の食事のポイント

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中東真紀先生(提供:武田薬品工業)

続いて、機能強化型認定栄養ケア・ステーション鈴鹿代表・三重IBD患者事務局の中東真紀先生から、災害時の栄養摂取についての解説がありました。

中東先生は避難生活においても、三大栄養素をバランスよくとることが大切だといいます。

三大栄養素

  • エネルギー・炭水化物(力や体温になる)
  • たんぱく質(血や肉になる)
  • ビタミン・ミネラル・食物繊維(体の調子を整える)

災害用としては「長期間の保存が可能」かつ「少量高栄養(少ない量で栄養が多い)」という食料が適しています。

中東先生は、水(湯)を入れてまぜるだけの味付けご飯や、開けるだけで食べられるおかずなどを例に挙げながら、IBD患者さんの注意ポイントとして「狭窄のある場合や炎症期の場合、脂質の多いカレーやカルボナーラなどのご飯類は避ける。封を開けるだけで食べられるおかずの筑前煮などに入っているレンコンやごぼうなど消化しにくいものはご家族に食べてもらうとよい。チキンやじゃがいもなどは消化に良いのでおすすめ」と話しました。そして、中東先生は「最低3日分の食材を備蓄し、賞味期限を見ながら食べて買い足す備蓄方法『ローリングストック』がおすすめ」と紹介しました。

1人あたり7日間以上の携帯トイレの準備を

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NPO法人日本トイレ研究所 代表理事の加藤篤さん(提供:武田薬品工業)

NPO法人日本トイレ研究所 代表理事の加藤篤さんは、自宅でできるトイレの備え方について具体的なアドバイスを提供しました。

加藤さんは、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2024年の能登半島地震、それぞれの震災から数日後の避難所のトイレ写真(汚物で便器があふれ、床まで汚れた様子)を投影しながら「(1995年から)30年経過しても、ひとたび震災が起こればトイレが悲惨な状況になるのは変わりません。だからこそ、みなさんが個人でできるトイレの備えが大切です」と話します。

仮設トイレが設置されるまでに役立つアイテムとして、携帯トイレの備蓄について「携帯トイレは1日あたりのトイレ使用回数分×7日分を目安に準備してください。購入したら、緊急時にすぐ使えるように、一度試してみてください」と推奨しました。

災害時のトイレは多くの方々にとって大きな課題となります。IBDプラス編集部も、まずは携帯トイレを購入してみようと思います。

(IBDプラス編集部)

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